ザ・クルー:共に第9惑星へ(Die Crew: Reist gemeinsam zum 9. Planeten)

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♪希望の星にめぐりあうまで歩きつづけるだろう
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協力して50の目標を順次達成し、太陽系の片隅にあるプラネット・ナイン(海王星でも冥王星でもないらしい)を目指すトリックテイキングゲーム。シュピール’19のスカウトアクションで1位となった作品で、延々と遊んでいられる。
トリックテイキングゲームは、ドイツでさまざまなバリエーションがあり、広く親しまれている。日本語版になっているものでも『ヴァスシュティッヒ』『ティンダハン』『トランプ、トリックス、ゲーム!』『ブードゥープリンス』『スカルキング』『ペッパー』など、国内での知名度はさておき、枚挙に暇がない。
国内での知名度がいまひとつなのは、トリックテイキング自体の馴染みがあまりないところにある。「トランプありのマストフォロー」などと初めての人に何の断りもなく説明するのは憚られるが、「全員順番に、手札から1枚ずつカードを出しますが、最初に出された色と同じ色があったら出さなければならず……」と説明が長くなるのも考えものである。そんなトリックテイキングがスカウトアクションで1位になるのも、ドイツならではといえるだろう。
このゲームの新機軸は協力ゲームという点である。しかも複雑なルールや例外処理を加えず、極めてシンプルな方法で協力ゲームに仕立て上げたところが魅力となっている。
ゲームの最初に、今回のミッションを決める。ミッションカードを引いて例えば「赤の4を最初に取り、次に黄色の2、最後に黄色の5を取れ」というようなミッションが定められる。
赤・青・緑・黄各1~9と、黒1~4のカードを混ぜて全員に配り、一番強い黒の4を持っている人がキャプテンとなって、今回のミッションカードの担当を決めていく。上の例ではキャプテンは黄色の2、次の人は黄色の5、次の次の人は赤の4というように。こうして担当を決めたらゲームスタート。定められたミッションを達成するように、トリックテイクを行う。達成したら次のミッションへ。失敗したらやりなおし。
手札の相談ができれば簡単なのだが、何しろ宇宙空間が舞台なので、通信は制限されている。1ゲーム中に各自1回だけ、自分の手札を1枚みんなに見せて、それが「自分が持っているその色の中で一番数字が大きい」「一番小さい」「唯一」ということをチップで表示できる。これをもとにして、ほかの人は出すカードを調整し、ミッション成功に近づけていく。上手なヒントの出し方と、ヒント解釈の仕方が勝敗を分けるだろう。
ある程度の経験者ならば、第10ミッション(順番指定なしで4枚)ぐらいまでは何とかいくようだが、そこから4枚に順番が指定され始め、コミュニケーションもさらに制限されるなどして、難易度がぐんと上がる。ミッションカードの引きにも大きく左右されるが、何度も失敗すると失意の内に終了せざるを得ないことも。それがまたやりたくなる中毒性を生み、達成したときの嬉しさはひとしおとなる。ミッションが50もあって、一生かかってもプラネット・ナインに行ける日は果たしてくるのだろうか?
Die Crew: Reist gemeinsam zum 9. Planeten
ゲームデザイン・T.ジング/イラスト・M.アームブルスター
コスモス(2019年)
2~5人用/10歳以上/20分

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