最後の一撃、間に合うか?
アニメ・映画化もされている諫山創の人気コミックを、ゲーム大賞作家のボザがボードゲーム化した作品。アメリカで発売されたものだが、コミック発信地の日本で発売されるかどうかはまだ分からない。版権の関係で簡単にはいかないかもしれない。
プレイヤーのひとりが巨人役となり、残りが人間となって協力して戦う1対多のゲームである。巨人4種類、人間は8キャラクターから選ぶことができ、毎回違ったゲームが楽しめる。今回は4人プレイで、人間側はエレン、リヴァイ、アルミンを選んだ。それぞれ特殊能力があり、それに合わせた戦略が生まれる。
舞台は巨大な巨人像と城壁からなり、巨人の足元から首まで、1~8階層になっている。妙に大きい立体コンポーネントが臨場感を増す。人間側のプレイヤーは足元や城壁から巨人の首へと登り、ダメージを与える。
ゲームは巨人と人間が交互にアクションを行う。まず巨人プレイヤーがアクションカードをプロット。1枚は表で1枚は裏にしておき、ラウンドの最後にどちらも発動する。人間側はこれを見て対抗手段を考えなければならない。
次に人間プレイヤーがダイスを振る。ダイスには巨人、移動、攻撃、大砲、盾、銛の6種類があり、振り直しは自由だが巨人の目が出たら巨人プレイヤーに渡さなければならない。出したい目が出るまで振り続けていると、巨人の餌食になってしまう。巨人の目がたまると、巨人プレイヤーが攻撃したり回復したりできるようになる。
巨人プレイヤーが使ったダイスは返却され、もう1度振って使えるようになる。しかしダイスを使う前に巨人のアクションカードが発動する。ある階層にいる人間にダメージを与えたり振り落としたり、周囲にいる市民を殺したり、城壁にある大砲を破壊したり、勝利条件となる戦術カードを変更させたりして、人類は苦境に追い込まれる。盾や銛の目で防げるものもあるので、極力対策を打っておきたい。
最後に人間プレイヤーの手番。ダイス目を使って巨人を登り、斬撃を与えたり、大砲でダメージを与えたりする。人間側が勝利するには、7枚のうち2枚ある必殺の戦術カードを出し、そこに書かれている条件(特定の階層で、特定の目を出すこと)を全て満たさなければならない。
これで1ラウンド終了。これを繰り返しているうちに、巨人を倒せないまま大砲がなくなるか、市民が全員殺されるか、プレイヤーのキャラクターが1人殺されると人類は敗北する。
4人プレイで40分くらい。私はリヴァイを担当した。巨人の目が出ても巨人プレイヤーに渡さなくてよいという能力がある。hataさんはアルミンで、必殺の戦術カードを出せる能力。これで条件を全て満たした……かに見えたがその前に巨人が最後の大砲を破壊して敗北。ダイスゲームながら、出目の緻密な使い方が勝敗を分けるため、振り直しをするかどうか、出た目を何に使うか皆で考える。巨人は巨人で、アクションカードの選択や巨人の目の使い方を考えるところが多く、知能戦の様相を呈する。充実したプレイ感が味わえる作品である。
Attack on Titan: The Last Stand
ゲームデザイン・A.ボザ/クリプトゾイク(2017年)
2~5人用/14歳以上/30分