シティ・オブ・ローマ(City of Rome)

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運命は、志ある者を導き、志なき者を引きずってゆく(セネカ)

自分の前にカードを並べてローマの街を作り、得点を競うゲーム。シュピール’18の会場内で、ドイツのボードゲーム専門誌「フェアプレイ」が行った人気投票「スカウトアクション」で1位となり、多くのゲーマーがノーマークだったために「フェアプレイのサプライズ」とも呼ばれている。プレイ時間は1時間に収まらないが、プレイ感はゲーマーズゲームというには軽い。1位になる要素はどこにあったのだろうか。
ゲームの流れは同じ作者の『ピラミッドのつくり方』(イエロ、2017年)を踏襲している。スタートプレイヤーから時計回りに、中央にある手番順ボードにコマを置き、全員が置いた後、皇帝コマから近い順に手番を行う。手番が早いとカードの選択肢が多いが、できるアクションは限られる。手番が遅いとできるアクションは増えるが、カードの選択肢が少なくなる。
自分の手番には、中央に並んだ建物カードを1枚取って手札に入れ、建設と生産を1回ずつ行うことができる。手番順ボードにコマを置いた位置によって、このラウンドで使えるレンガと歯車の数が決まり、その数までは無料でアクションができるが、足りなければお金を支払ってレンガや歯車を買い足さなければならない。
建物は住居、生産地、公共施設、水道橋、神殿があり、レンガ1~3つを使って自分の場に置く。最初は全員、2点の住居と1金を生産する生産地をもっている。
・住居は得点源。同じ点数のものをつなげて置き、公共施設を隣接させることで得点が増える。
・生産地は歯車2つで稼働し、お金、星、レンガを生産する。複数あれば歯車2つで全部稼働する。
・公共施設は置いたときに1回だけ、隣接するカードの枚数によってお金、星、カード、勝利点が入る。
・水道橋は多く置くほど得点が上がっていくが、同じ列には置けないという制限がある。
・神殿はどれも得点になる条件が異なり、ほかの建物の数によってゲーム終了時にボーナスをもたらす。
全員の手番が終わったら、スタートプレイヤーを交替して次のラウンドへ。数ラウンドに1回、星の決算があり、その時点で単独トップのプレイヤーにボーナスが与えられる。14ラウンドで街が完成してゲーム終了。街の広さは4×4枚までだが、前に置いた建物の上に、より点数が高くなるように別の建物を置いて改築(重ね置き)もできる。
イギリスのデザイナーコンビが作ったこの作品は、ユーロゲームの王道ともいうべき作りで、手番順の選択、カードの選択にインタラクションがあり、悩ましい展開をもたらす。ポイントは神殿ではないかと思う。難易度はさまざまだが、得点の高いものは最後まで達成できるかどうか分からず、そこに夢がある。さらに2つの神殿の両立を狙って、どちらも最終手番でぎりぎり達成できたときは非常に嬉しい。
4人プレイで60分強。船山さんが巧みな手番取りで得点の高くなる街づくりを進めて1位。私は1番手を取る勇気がなくて後手に回ってしまい、最後に15点神殿の条件を達成できたものの追いつけなかった。
建物の効果は全てアイコン表示されており、言語依存はない。また複雑な効果はなく、建物ごとに系統立てられており、確認に手間取ることもなかった。だからこそカード選択が「あれもほしい、これもほしい」になり、神殿の条件達成も相まって夢の膨らむゲームだ。
City of Rome
ゲームデザイン・M.ダンスタン&B.J.ギルバート
イラスト・M.ホフマン&C.シュテファン
アバクスシュピーレ(2018年)
2~4人用/10歳以上/60分