本がゲームボードに『アルマナック ~ドラゴン街道紀行録~』日本語版、6月下旬発売
ホビージャパンは6月下旬、『アルマナック ~ドラゴン街道紀行録~(Almanac: The Dragon Road)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・S.アルメス、アートワーク・J.デイヴィス、2~4人用、12歳以上、60~90分、8800円(税込)。
コロッサルゲームズ(アメリカ)がキックスターターで昨年製品化された作品。タイニーエピックシリーズのアルメスがデザインし、本がそのままゲームボードになっているというコンセプトで話題を呼んだ。プレイヤーは「ドラゴン街道」と呼ばれる隊商路を、キャラバンを率いていくワーカープレイスメントゲーム。
各駐留地にワーカーを配置することで交易品を取引したり、その土地ならではの品物(例えば「書簡」や「予言球」など)を入手したり、積載量が決まっている荷車の強化をしたり、途中の護衛を雇ったりできる。土地ごとにワーカーを配置するルールが異なり、新しい土地に来るたび新鮮なプレイが待っている。さらに道は分岐しており、立ち寄る土地をオークションで決めるが、次の駐留地では今持っている品物の価値が大幅に下落することもある。
道の途中ではさまざまな事件が待ち構えている。「ドラゴン街道」の名前の由来となったドラゴンに遭遇するかもしれない。苦難を超え旅の目的地であるドラゴンの都に到着し、最も成功した商人になるのは誰か。ナラティブな体験ができるファンタジー交易ゲームだ。
内容物:商品トークン 120個、金貨トークン 75個、場所トークン 49個、隊商カード 30枚、契約カード 24枚、ワーカー 24人(各色6人)、遭遇カード 20枚、プレイヤースクリーン 4つ、初期隊商カード 4枚、6面ダイス 1個、ドラゴン街道紀行録ゲームブック 1部、戦闘ダイス 1個、ガイドトークン 1個、ルールブック 1部、護衛トークン 12個
盆暮れ正月両彼岸(Bon, Year End, New Year’s Day, and Both Higans)
考えるお墓参り
お墓参りをテーマにしたトリックテイキングゲーム。お寺ボードゲームシリーズをリリースしている陽岳寺不二の会がクラウドファンディングを経て、ゲームマーケット2021春に発表した。12トリックでの得点を予想するビッド式のトリックテイキングだが、手札を使ったビッド、得点の異なる7スート、ラウンドごとに変わるフォローのルール、カードによる特殊能力と、たくさんの要素が詰め込まれている。
テーマはお墓参りなので、スートは「誰のお墓にお参りに行きたいか」で、数字は「お参りに行きたい思いの強さ」を表す。基本はマストフォローでカードを1枚ずつ出し、一番思いの強かったプレイヤーがお墓参りを果たせる。「おぼうさん」はジョーカーでリードスートより強いが、複数出た場合は強いおぼうさんが勝つ。
余談ではあるが大都市の斎場や墓地では、お互いを知らないおぼうさん同士が鉢合わせすることがある。そういうときは年長者を優先し、若い人は頭を下げて譲るのがひとつの礼儀となっている。年齢不詳の場合は、衣や袈裟の色が派手か地味かで判断し、それも微妙なときは動きが早いかゆっくりかで判断する。そのため妙に若く見える方が派手な衣を着てゆっくり歩いていると違和感がある。
それはさておき、ゲームの始めに手札から1枚を出してビッドする。そのスートのお墓参りを果たし、その数字ぴったりの「ゴエンポイント」を集めることを目指すという意味がある。全員がビッドしたら、残りの手札でゲームスタート。今遊んでいる時期から一番近い行事(今だったら「7月盆」)からラウンドを始める。
ラウンドごとにフォローのルールが変わり、お盆には指定されたスートでリードしなければならず、お彼岸にはメイフォローとなってどこにでもお墓参りできる。また、「おじさん」と「ぼうや」、「おじいちゃん」と「おばさん」というように対応するスートを出していると得点できる「ビンジョー参り」もある(同じ墓地にいるという設定)。
さらにトリックに勝つと特殊効果が発動するスートもあり、他のプレイヤーと手札を交換したり、予想を変更したりすることもできる。
12トリックで獲得したカードの「ゴエンポイント」を合計し、予想との差分で勝敗を決める。ただし予想に使ったカードのスートを獲得していない場合、行きたかったお墓にお参りできなかったことになり、脱落となってしまう。
トリックテイキング自体がゲーマー向けのメカニクスである上に、要素がたくさん加えられているので、難易度の高いゲームとなっている。お墓参りもいつどこに行くべきか、実はこれくらい考えたほうがよいのかもしれない。
盆暮れ正月両彼岸
ゲームデザイン・向井真人/イラスト・前川ユウ&三上鮎子
陽岳寺不二の会(2021年)
3~5人用/10歳以上/20分