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目を揃えて一気に進め『ラインダイス』12月16日発売

サニーバードは12月16日、『ラインダイス』を発売する。ゲームデザイン:居椿善久、2/4人用、8歳以上、15~45分、3960円(税込)。ゲームマーケット2022秋を皮切りに現在先行販売中。

2個のダイスを振って自分のダイスをすべてゴールさせたら勝ちというバックギャモン系のレースゲーム。居椿善久氏の幻の作品が、美しいアートワークで一般発売された。

ダイスで出た目で、6個ある自分のダイスをその数だけ進めるか、その出目に変える。同じ目(1はジョーカー)で横一列に並べると「ライン」となり、その目が出ればラインのすべてのダイスを一気に進めることができる。単独で進めるか、手間がかかってもラインを作って一気に進めるかの戦略が勝敗を分ける。

ボードの途中にある「チェンジマス」に止まると相手のダイスの目を変えることができる。この攻撃がインタラクションを生み出す。ダイス運もあるが、終盤の寄せにはテクニックがあり、何連戦かすると実力が出るという。

サニーバード:ラインダイス(先行発売)

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アティワ(Atiwa)

汚染のない生活と森林再生

アフリカのガーナを舞台に、フルーツコウモリとフルーツで森林再生に取り組むワーカープレイスメントゲーム。ローゼンベルクの作品で、今秋にルックアウトシュピーレ(ドイツ)から発売された。ローゼンベルクの新作ゲーマーズゲームとしては『ハラータウ』(2020年)以来。広がっていく土地で、リソースが増減する感覚が新しい。

手番にはワーカーをアクションスペースに配置してアクションを行う。ワーカーは3人しかおらず、全ラウンドを通して増えも減りもしないが、アクションスペースは30(4人プレイの場合)もあり、大いに迷う。

地形カードを獲得して土地を広げ、そこに樹木、野生動物、ヤギ、フルーツコウモリを配置していくといのが基本的な流れ。樹木にはフルーツがなるので、フルーツコウモリを使って樹木に育てる。お金と樹木を蓄えたら住まいとなる集落・村・町を獲得し、家族を増やしていく。リソース類は、プレイヤーボードからカード上に配置し、支払ったらプレイヤーボードに戻す。プレイヤーボードで空いているマスが多いほど、ラウンド終了時の収入やゲーム終了時の得点が増えるという仕組みだ。

家族はワーカーではないが、収入を増やしてくれる上に、ゲーム終了時に大きな勝利点となるため、住まいを作って家族を増やすのが基本的な目標となる。住まいを作るには樹木を伐採しなければならず、また家族は増えるたびにたくさんの食料を必要とするため、せっかく配置したリソースがまた減らされてしまう。食料供給の厳しさは、『アグリコラ』のようにマゾヒスティックな快感がある。

その上、家族を訓練するというアクションがあり、訓練しないままだと2分の1の確率で収入をもたらさない上に、鉱山採掘で土壌を汚染してしまう。樹木を育てて住まいを作る、家族に飯を食わせる、そして訓練するということを同時に進めるマネージメントが、このゲームのポイントである。

『アグリコラ』や『ハラータウ』のような便利なカードもなく、『カヴェルナ』のルビーのような便利な通貨もないため、アクションスペースはこれだけあるのにどれも帯に短し襷に長し。「金がない」「家がない」「ヤギがいなくてコウモリを食うしかない」と、いつも何か足りなくて苦しいが、そうやってうまく成長できたときの喜びにつながっている。

ゲームは7ラウンドで、最終的にカード上に配置したリソース、残ったお金、カードの得点などの合計で点数を競う。プレイ時間は『ハラータウ』より短く『ヌースフィヨルド』くらい。どんな地形カードを取るかによってリソースの得意不得意が変わるところに、リプレイアビリティが生まれる。

リソースがいつも不足気味で苦しい分、自分の土地が広がってたくさんの家族が住むようになったときの喜びも大きい。「町」など作って樹木がごっそりなくなった後にフルーツコウモリでコツコツと再緑化していくところや、訓練した家族が土壌を汚染せずに収入をもたらすようになるところに環境保護の楽しみもあり、やりごたえとやりがいのあるゲームとなっている。

Atiwa
ゲームデザイン:U.ローゼンベルク/イラスト:A.エルカートン
ルックアウトシュピーレ+ホビージャパン(2022年)
1~4人用/12歳以上/90分