おもちゃライブラリー
東京・中野のおもちゃ美術館で、月に2,3回おもちゃライブラリーが開かれているという(朝日新聞2/11生活欄)。
2階のおもちゃライブラリー展示コーナー&プレイルームで、写真入のファイルを見て選び、2週間借りることができる。買わずに借りれば家が散乱せず、それぞれの子に合うものを選べるというだけでなく、「いいおもちゃが家にやってくることで親も影響され、家庭に『遊びの空気』が生まれる(森下みさ子聖学院大助教授)」という。
このシステムは、ドイツのシュピリオテーク(Spieliothek、またはLudothekルドテーク)を想起させる。シュピーリオテークは「ゲームセンター」ではなくてボードゲーム(Spiel)と図書館(Bibliothek)を掛け合わせた言葉から分かるとおり、ボードゲームを貸し出すところだ。借りて遊ぶことによって、コマをなくさないよう、カードを汚さないよう気をつけるようになり、ものを大事にする心も芽生える。現在ドイツには50程度のボードゲーム図書館がある(Gamemob、貸し出しのシステムなどについては「ドイツゲーム事情」『ボードゲーム天国』01号参照)
ゲーム限定ではないけれども、こうした動きが日本でも出てきていることは大いに歓迎される。日本でも大量のボードゲームを保有するコレクターがいるが、気が向いたら貸し出しのできる博物館を開いてみてはどうだろうか。
日本の玩具市場
2006年に日本で出荷された玩具・ビデオゲームの総額は1兆2041億円で前年比16.3%という大幅増加。ニンテンドーDSと次世代ゲーム機の発売に牽引されたビデオゲーム市場の拡大(8,910億円)が影響したという。残りの3,131億円がいわゆる伝統玩具市場。2006年のドイツの伝統玩具市場は約3,600億円で、近年のユーロ高や、何を玩具に含めるかなどで違いが出るだろうから大差はない。
しかし、日本の伝統玩具市場3,131億円において、ボードゲームはどれぐらいの割合を占めているだろうか。調査を行った矢野経済研究所では、「ゲーム類(アナログゲーム)市場」というジャンルを設け、主要業者としてエポック社、任天堂、タカラトミー、バンダイを挙げている。
エポック社は野球盤、スーパーサッカースタジアム、魚雷戦ゲームなど。任天堂はトランプ、花札など。タカラトミーは人生ゲーム、モノポリー、黒ひげ危機一髪、ジェンガなど。バンダイはドンジャラ、シンペイ、チケットトゥライドなど。アナログゲーム市場の総額は分からないが、発売品目の数からしていかにも心もとない。2006年ドイツのボードゲーム市場630億円には遠く及ばないだろう。『チケットトゥライド』3,675円を目標の50,000個販売しても2億円に届かない。
この差には、ボードゲームの歴史と認知度など文化的背景が大きいかもしれない。しかしそれだけではなく、マーケティング戦略の違いもあるのではないか。発売品目を少なめにして大量に出荷する日本のマーケティング戦略(ビデオゲームの売り方)と、反対にロット数を抑えてバラエティに富ませるドイツのマーケティング戦略のどちらが優れているかは一概に言えないが、ことボードゲームに関しては単価は上がるけれどもリスク分散の面でドイツに軍配が上がるだろう。
素人がマーケティング分析をしても仕方がないが、大ヒット作でなくてもいいからもっと日本で発売されるゲームの種類が増えてほしいと思う次第である。
参考ページ
・2006年玩具市場1兆2000億円 ゲーム機牽引で16%増(アニメ!アニメ!/)
・玩具産業白書 2007年版目次(矢野経済研究所)
・Der Marktanteil von Spielen wächst weiter(spielbox-online)