オリジンズ賞に『スタークラフト』
6月25日から5日間にわたって、アメリカ・オハイオ州のコロンバスで第34回オリジンズ・ゲームフェアが開かれた。28日には恒例のオリジンズ賞が発表され、ボードゲーム部門では『スタークラフト(StarCraft)』が受賞した。
オリジンズ・ゲームフェアはTCG、TRPG、ミニチュアゲームを含む非電源ゲームの総合イベント。アメリカを代表する大イベントで、今年は169企業が出展した。
オリジンズ賞はゲーム制作に携わる専門家で構成されるアカデミー・オブ・アドベンチャー・ゲーミング・アーツデザイン(Academy of Adventure Gaming Arts and Design)が選定に携わる。メンバーの投票から上位5タイトルがノミネートされ、最終投票で大賞が決められる仕組み。TCGやTRPGなど13部門もある。
ボードゲーム部門で大賞に選ばれた『スタークラフト』は、同タイトルのコンピュータゲームをファンタジーフライト社がボードゲーム化したもの。大量のミニチュアコマとカードが入っており、プレイ時間も3時間と長めの重量級ゲームだ。惑星を渡り歩きながら資源を集めたり戦闘を繰り広げたりして勝利点の獲得目指す。
カードゲーム部門には『ゾンビ・フラックス』、歴史ボードゲーム部門には『エイジ・オブ・エンパイアIII』が選ばれた。これもPCゲームのボードゲーム版だ。ノミネートにはドイツゲームも含まれていたが、受賞したのは全てアメリカのゲームとなった。
【オリジンズ賞2008】
ボードゲーム/拡張部門
大賞:スタークラフト(StarCraft / C.コニエツカ、C.ピーターセン / FFG)
ノミネート:
バッチュー(Battue / J.ロング / レッドジャッジメント)
キングスブルク(Kingsburg / A.チャベルジオほか / エルフィンヴェルクス)
ラストナイト・オン・アース(Last Night on Earth / J.ヒル / フライングフロッグ)
大聖堂(Pillars of the Earth / M.リーネック、S.シュタドラー / メイフェア)
トラディショナルカードゲーム部門
大賞:ゾンビ・フラックス(Zombie Fluxx / A.ルーニー / ルーニーラボ)
ノミネート:
破産(Bankruptcy / G.ハビンガー、C.キッシー / タンジェント)
残酷な洞窟(Cutthroat Caverns / C.カバートほか / スミーク・ダガー)
偽装新案(Infernal Contraption / M.ウィルソン / プライベティア・プレス)
ライフボート(Lifeboat / J.シアデク / ゴリラゲームズ)
レース・フォー・ザ・ギャラクシー(Race for the Galaxy / T.レーマン / リオグランデ)
・Origins Game Fair公式ページ
・The Academy of Adventure Gaming Arts and Design:34th Annual Origins Awards winners
・Boardgame News:Nominees for 34th Origins Awards
・Fantasy Flight Games:StarCraft(動画)
マナーは人を排除するためのものではない
このごろよく、ゲーム中のマナーが悪い人の話を聞く。特に過剰・不当なアドバイス(おせっかいや利益誘導)あたりが槍玉に挙げられるようだ。
確かにメンバー次第でゲームの(感情面での)楽しさがずいぶん変わるから、マナーが悪い人と遊びたくないという気持ちは分かる。でもだからといってそういう人を排除するのも大人気ない。マナー違反を推奨するつもりはないが、多少の悪さはポジティブに捉えられるくらいの心の余裕があったらいいのではないだろうか。
以前、「困るんです〜紳士淑女の嗜みとしてゲームを楽しむために〜」という論考を書いたとき、バネストの中野さんから頂いたコメントが印象に残っている。
ただ、これを全部守っちゃった人とも一緒にゲームを遊びたいとは思いません。それに、いずれも軽微ならばそれはそれでその人のアクセントとなります。わたしはこれを、「杓子定規で守らなければダメ」、ということにはならないことを望みます。
マナーに気をつけすぎると、どうしても無口になってゲームが盛り上がらない。気遣いしすぎては思い切った手も打てないだろう。その人その人の素の持ち味が出てきてこそ、ゲームは楽しくなる。 屈託のない会話こそ、ボードゲームの楽しさの大きな部分を占めるものだ。
小さな迷惑はむしろ対人で遊ぶ醍醐味とも言える。「人に迷惑をかけてはいけない」というのを至上命令のように考える人も多いが、世の中はお互い大なり小なり迷惑を掛け合って生きているというのが実情だろう。それなのに自分の迷惑を棚に上げて、人の迷惑を許さないというのはいかにも狭量だ。
アドバイスがおかしいと思ったら「自分はこう考える」と(ケンカ腰でなく)返してみたらどうだろう。ひとつの局面にいろんな見方があることがお互い分かるかもしれない。そしてアドバイス通りにやってもやらなくても、決めるのは自分。王様の命令ではないのだから気にしすぎることもない。
どんな人とでも、どんな場面でも楽しんだ人が勝ちですよ。
(この論考は、マナーの悪い人を排除するような人とは遊びたくないという話ではない。マナーの悪い人を排除するというのも、哀れで愛しいひとつの性格として受け入れたいということである。でも、当然私にも我慢の限界はある。)