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年間キッズゲーム賞が年間ゲーム大賞を上回る売上

ラベンスバーガー社がニュルンベルグ国際玩具見本市にちなんで報告したところによると、同社の『誰だったでしょう?』の売上がコスモス社の『ケルト』を上回ったことが分かった。ドイツ年間キッズゲーム大賞の受賞作が、年間ゲーム大賞の受賞作の売上を上回るのは史上初。
『誰だったでしょう?』はAIを内蔵した機械がしゃべってゲームの進行を司るというボードゲーム。ドイツ語でしゃべるため、ドイツ語圏以外では遊ぶことができないが、それでも22万セットの売上を記録したという。作者は『誰だったでしょう?』も『ケルト』もR.クニツィア氏。
これまで年間ゲーム大賞の付録的な扱いを受けてきた年間キッズゲーム大賞。選考はすでに独立して行われているが、子供向けゲームの市場が伸びている近年、注目度がさらに高まっていきそうだ。
Spielbox-Online:Kinderspiel des Jahres überholt Spiel des Jahres

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食い荒らしではなく食い合い

2002年のゲームマーケット向けに制作した『トイプラス』という同人誌で、メビウスの能勢店長さんがこんなことを仰っている。
「ただこれから先、何となくでわからないですけど、たかだか私のような個人が食べていけるくらいの小さい市場な訳ですが、よそから見るとおいしく見えるのか、エポックさんとか、カプコンさんとかが参入するという話があって、それが市場の活性化につながればいいんですけど、食い荒らしにならないきゃいいなという気はしますね。」
結局、エポック(NDSGの5タイトル)もカプコン(『カタン』)も参入は一時的で、大きな影響を与えるには至らなかった。バンダイ(『チケットトゥライド』)もそうである。毎月のように新作が出ては消えるという情勢では、少ないタイトルを大々的に扱う大企業よりも、フットワークの軽い中小ショップのほうに利があるのは目に見えている。
だが昨年あたりから、大企業による食い荒らしではなくて、中小ショップ同士の食い合いの様相が散見されるようになってきた。
同じタイトルを複数のショップが輸入し、それぞれ別々に訳を作って売り出す。発売は1日でも早いことを競う。結局同じくらいの時期に売り出すが、ユーザーが分散するため、どこもあまり多くは売れない。さらに、ユーザーの評価が今ひとつだったりすると目も当てられないような状況に……そんな事態が起こっている。
例えばフランスのイスタリ社が昨秋に発売した『シラ(スッラ)』はバネスト、アークライト、広島の3社が別々に扱っており、売れ行きはあまりよろしくないようである。これが1社だけの取り扱いだったら、売れ切れになってもおかしくない出来なのに。
搬送にも翻訳にもコストがかかるから、同時並行で同じことをやるのは全体で見れば大きな損失である。競争原理がはたらいて価格が下がったり、翻訳の質が上がったりするならばよいのだが、実際は売れなくて価格を上げることになったり、翻訳に手間をかけられなくて質が落ちたりする恐れのほうが大きい。
韓国ではコリアン・ボードゲームズがどんどん権利を買って韓国語版を出してしまい、市場を独占しようとしているが、そういうスタイルがいつまでももつはずもないし、国内は占められたとしても、数多ある外国の輸入先を独占するのは難しい。
こういうことは当然、当のショップも考えているようで、B2Fゲームズのブログでは、国内の流通や販売に関して、建設的で前向きな枠組み作りを儲け抜きで考えていることを知った(リンク)。具体的にどういうことかまでは触れられていないが、緊急の課題なのではないだろうか。
ユーザーとして協力できることはないのかもしれないが、現在の状況はとても見ちゃいられない。このままでは一店、また一店とつぶれるかボードゲームから撤退しかねないというところまで来ている気がする(気のせいならばよいが)。もっとお互い手を握る道を模索してほしい。