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バックギャモン世界大会で日本人優勝

7月13日〜19日に、モナコのモンテカルロで行われていた第34回バックギャモン世界選手権で、望月正行氏が優勝した。昨年の世界チャンピオンであるデンマークの選手を決勝で退けた。アジアからの優勝は初。賞金は62000ユーロ(現在のレートで約832万円)を獲得した。
望月氏は79年東京生れ。大学浪人中にバックギャモンに出会い、早稲田大学に入学するがプロになるために中退。現在は日本バックギャモン協会に在籍し、日本で2人しかいないプロプレイヤーの1人として世界的に活躍している。世界ランキング6位。
日本バックギャモン協会公式ページ
読売新聞:バックギャモン世界選手権、日本人男性が優勝
J-CASTニュース:「バックギャモン」日本初世界王者 プロ選手「モッチー」異色の経歴
All About:ラスベガスで頂点に立った男(バックギャモン編 望月正行)
あしかの書く新聞asica times:バックギャモンの世界選手権World Backgammon Championship Finalで日本人プレイヤーが優勝

Posted in エッセイ

いつも遊んでいるゲームの呼称

日本で「ゲーム」といえばテレビゲームだが、ドイツでも近年”Game”はテレビゲームを指すようになり、エッセン国際ゲーム祭で出展されるようなボードやカードを使うゲームはドイツ語で”Spiel”(シュピール)と呼んで区別しているという。それならボードやカードを使うゲームは日本語でどう呼ばれているか。どう呼ぶべきか?

「テーブルゲーム」
私がホームページ「Table Games in the World」を立ち上げたのは96年。「テーブルゲーム」という言葉を使ったのは、ボードを使わないカードゲームを含めたかったからだが、英語で”Table Game”といえばポーカーやブラックジャックなどのギャンブルゲームを指すらしい。日本語で「テーブルゲーム」というとSLG、TRPG、TCGが含まれ、さらに最近はオセロ、チェス、麻雀などのオンラインゲーム、コンシューマゲームも色濃い。その分、ドイツやヨーロッパの輸入ゲームの影は薄くなっている。「テーブルゲームフェスティバル」というイベントも過去にはあったが、「テーブルゲーム」という言葉は時代遅れになりつつあるのかもしれない。類似する言葉として「テーブルトップゲーム(卓上ゲーム)」という呼称もあるが定着には至っていない。

「ボードゲーム」
現在は「ボードゲーム」という呼称が一般的になってきた。英語の”boardgame”、ドイツ語の”Brettspiel”も一般的なので、国際的にも通じやすい。かつて「ボードゲーム」といえば、ボードを使わないカードゲームやダイスゲームなどを含まなかったが、一般化に伴ってこれらも含めた総称になりつつある。部分によって全体を表す言葉(提喩、シネクドキ。「お茶」→飲み物、「ごはん」→食事)と考えることもできる。そして、比較的新しい言葉であるがゆえにSLG・TRPG・TCG色が薄く、ドイツ市場を中心とするバラエティ豊かなゲームのジャンルを指すことができる。サークル名やサイト名に「ボードゲーム」を入れるケースも多い。伝統ゲームや『人生ゲーム』を含めたくない人たちからは「モダン(現代)ボードゲーム」と限定する方法も見られるが、年代で新旧を区別しにくいこともあり、そこまで一般的ではない。

「アナログゲーム」「非電源ゲーム」
日本で「ゲーム」がテレビゲーム中心であることに対抗して作られた言葉であるが、英語で”analog game”という表現はせず、また”unplugged game”も一般的ではない。デジタルゲーム以外なら何でも入るので、SLG、TRPG、TCG、ドイツゲームを含む広い概念だが、TRPG、同人ゲームで使われることが多いようで、その分、ヨーロッパからの輸入ゲーム色が薄い。

「ドイツゲーム」
90年代にドイツはボードゲームやカードゲームの傑作を立て続けに発信して最先進国となり、その後もドイツ市場を中心に新作が発表されている。英語でも”German game”、”German-style game”という呼称がある。狭義の「ドイツゲーム」はドイツ産であるが、広義ではドイツ市場で発表されるゲーム、さらにデザイナー名が前面に打ち出されているゲーム(”Autorenspiele”/デザイナーズゲーム)を指す。「ドイツゲーム」はほかにも戦術性、運の要素、インタラクション、プレイ時間、コンポーネント、ルールの長さ、テーマなどで特徴があるが、多様化も進んでおり決まったものはない。日本で「ドイツゲーム」という言葉が広まったのは、ゲーム情報誌『ノイエ』によるところが大きい。デザイナーズゲームであっても、アメリカのゲームならドイツとの同時発売があるので含められるかもしれないが、日本や韓国のゲームまでは含みにくいという難点がある。しかしメディアでも登場する機会が増え、今最も勢いがある。

「ヨーロピアンゲーム」「ユーロゲーム」「ユーロスタイルゲーム」
ドイツゲームから地域的な広がりを承けて、ヨーロッパを冠する呼び方もあり、さらにヨーロッパ以外にも広がったことで、「テーマよりもメカニクス重視のゲーム」というジャンルの呼称で用いられている。ジャンルの多様化・複雑化に伴ってごく一部のジャンルの呼称にとどまっており、総称としては用いられにくくなっている。

「マルチプレイゲーム」
「複数の人で遊ぶゲーム」という観点での呼称。ドイツ語の”Gesellschaftsspiel”、フランス語の”Jeux de société”も意味は同じである。テレビゲーム、オンラインゲームも含まれる。「マルチ」がマルチ商法を喚起するせいかどうか分からないが、一般的ではない。インタラクションが強く、直接攻撃ができるボードゲームというややネガティブな意味で使われることもある。

こうして比べてみると、「ドイツ市場を中心に毎年新作が発表されており、その影響でアメリカや日本など他国でもデザイナー主導で制作されたゲーム。ボードやカードを使って複数の人で遊ぶが、SLG、TRPG、TCGは除く」というゲームは現時点で「ボードゲーム」と呼ぶのがベストのようだ。ホームページの名前を”Boardgames in the World”にするつもりはないけれども。あるいは、ほかによい呼び方はあるだろうか?