ナイトフライトシュピーレ
4月7日、中古ボードゲーム専門のネットショップ「ナイトフライトシュピーレ」(神奈川)がオープンした。絶版になったボードゲームから、ゲーム賞受賞作や評判のよい作品を取り扱う。
店長の三隅俊也氏は、ドイツゲームの普及に関わりたいという思いからボードゲームのお店を始めた。ビギナーから、コレクター・ヘビーゲーマーまでの幅広い要望に応じる品揃えにするため、ドイツなどで仕入れ先を開拓し、開店にこぎつけたという。
ほかのショップとかぶらないよう、絶版になっているものを中心に扱う方針。「家族や友人でボードゲームを囲む一助になれば、またヤフオクでどうしても手に入らないゲームがある時に頼りにしていただければ幸いです。」
リストにはランドルフの『冷たい料理の熱い戦い』や『ツィクスト』、トイバーの『ヴェルニサージ』や『レーベンヘルツ』、クニツィアの『アメンラー』や『ハイソサエティ』、クラマーの『オリゴ』や『ティカル』などが見られる。未登録もあるそうなので、探しているゲームがある方はこまめにチェックするとよいだろう。
国内で中古ボードゲームを扱うショップとしては、ほかにボードウォーク、ケイシャープゲームズ、マリオネッテがあるが、商品の写真が入っているのは初。価格もレア度に比してリーズナブルで、安心してお買い物ができそう。
・ナイトフライトシュピーレ
・店長ブログ:倉庫番は眠らない。
倉庫の街(Speicherstadt)
備えあれば嬉しいな
(写真:Boardgame Geek)
北ドイツで、川を通じて世界と貿易を行い栄えた街ハンブルク。水辺に並ぶ赤レンガの倉庫街(倉庫とは思えないほど豪華な高層ビルである)は観光名所となっている。19世紀末に建てられたこの倉庫街を舞台にしたボードゲーム。作者はこのところアレアで精力的に制作しているフェルト、メーカーはフリークでもファミリーでもない第3の路線で人気を集めているエッガート社である。
ゲームの基本はリソースマネージメント。じゅうたん、コーヒー、お茶、サフラン、ゴムという5種類の交易品を仕入れ、数を揃えて配達する。仕入れは袋からランダムに引かれたものだが、配達は数も種類も指定されているので、うまく捌かないといけない。
ラウンドのはじめには交易カードが何枚か並ぶ。これを見て、ほしいと思うカードにコマを置くが、ここで置かれたコマの数がカードの価格になるというところがポイントだ。皆がほしがるカードは、コマがたくさん置かれるから値段も上がる。買う順序は最初にコマを置いた人からだが、その人が買わなければ、コマが1つ減るので次の人はその分安く買えるようになる。分かりやすくてクレバーなシステムである。
カードは17種類あり、効果はアイコンで示されている。交易品が手に入る「船」、指定された交易品を集めると得点になる「契約」が基本で、そのほかに個別に品物を売れる商人や、たくさん集めるほど得点になる「商館」などがある。カードは春夏秋冬の4つのフェイズに分けられており、ゲームの進行にあわせてバランスよく出てくる。
もう1つ面白いのが、山札の中から時折出てくる火災。倉庫の街にとって、火災はたいへんな被害をもたらすものだった。いつか必ず起こる火災に備えて、「消防士」というカードがある。火災が起こったとき、これを一番買っておいた人はボーナス、備えがなかった人は失点になってしまう。普段は利益にならない消防士をどれだけ雇っておくかもゲームのポイントになるだろう。
カードを買ったら、交易品を振り分けて、収入をもらって次のラウンドへ。これを繰り返して交易カードがなくなったらゲーム終了となる。
同じ作者の『マカオ』を髣髴とさせる部分もあるが、こちらはより手軽で時間も公称45分と、同社から発売中の『城の守り』や『ハバナ』の路線を踏襲している。長時間ゲームは好まないが歯ごたえのあるゲームを遊びたいという方に。
Speicherstadt
S.フェルト/エッガートシュピーレ(2010年)
2〜5人用/8歳以上/45分
ホビージャパンより4月中旬発売予定