巨竜の歯みがき(Dragons’ Teeth Brushing)
恐る恐る・・・噛まれた!
リニューアルオープン後ますます独自色を強めるボードゲーム専門店・ドロッセルマイヤーズ(東京・中野ブロードウェイ)が、先月のゲームマーケット直前にオリジナルカードゲームのリリースを発表した。同店が毎月開催しているワークショップで、参加者がみんなで作り上げたものだという。渡辺店長が出演しているポッドキャスト番組「ボードゲームおっぱい」で宣伝されたこともあって人気はうなぎのぼり。初回生産分はゲームマーケットだけでほぼ売り切れてしまったという。
どんなゲームかというと、順番に長い槍状の歯ブラシで竜の歯を磨くというコミカルな設定のカードゲームである。竜が飽きてきて口を閉じる前に磨いた人は得点になるが、口を閉じたときに磨いていた人は失点になってしまう。
全員もっている歯ブラシカードは1~8で同じ。1人が、今回登場する竜をこっそりみて、歯ブラシカードを1枚出す。それを見てから、皆も一斉に1枚ずつ歯ブラシカードを出す。そして数字の小さい順に歯を磨いていく。ゴシゴシ!
無事に歯を磨けると、カードの数字だけ得点になる。一方、歯を磨いたカードの数字は足し合わされていき、竜の数字を超えさせた時点でアウト。その歯ブラシカードを出した人は竜に噛まれて失点になってしまう。その後に控えている人は、歯を磨けなかったが、噛まれてもいないので0点。だいたいのところ、全員の半分を過ぎたあたりで噛まれるので、その少し前を狙うというわけだ。
ポイントは、1人が最初にこっそり竜を見ているところ。その人が数字の大きいカードを出せば、今回の竜はなかなか口を閉じない奴だと予想できる。反対に数字が小さければ早めに閉じるだろうと考える。ところが、裏をかいて罠にかけようとしているかもしれない。つられて大きいカードを出すと餌食になってしまうかも。ガブリ!
竜が全部登場し終わったところで、得失点を合計して数字の多い人の勝ち。プレイ時間は15分。『ニムト』のようにスピーディーだが、竜や歯ブラシをカウンティングすれば、もっと戦略的になる。
5人プレイで15分くらい。8のカードで噛まれて最下位。『黒ひげ危機一発』『ガオガオ』『イタイワニ』のようなスリルと同時に、竜が口を閉じるタイミングに駆け引きがあるのが面白い。
巨竜の歯みがき
大前広樹、きむらこうじ、木村祥朗、高円寺しめじ、副島武志、布施雅隆、堀井城太郎、西澤篤央、菱川ゆうき、ドロッセルマイヤーズワークショップ参加者一同/ドロッセルマイヤーズ(2012年)
3~5人用/6歳以上/15分
絶版・再版未定
トイレ(Lokus)
立ちション、野グソ、絶対ダメ
富士山のトイレは現在、全て環境対応型になっている。かつてはタンクに溜まった排泄物を山腹に捨てていたが、登山者が年間30万人にのぼると、ちり紙などの散乱、沢水の汚染、高山植物への悪影響などの環境破壊が懸念され始めた。そこで静岡県は10年ほど前からバイオ式、水循環式、燃焼式などのトイレ設置を進め、設置が完了した現在も富士山トイレ整備調査会を組織して見張っている。トイレを利用する際、協力金として100~200円をお願いしているが支払わない人もおり、またトイレにゴミを放置するなど、マナー問題もまだまだ改善の余地がある。
登山やハイキングでは少ないトイレをきれいに使おう。くれぐれも立ちションや野糞はしないように。そんな大切なことを教えてくれるドイツのカードゲーム。
もれても並べ
トイレはたったの2つ。ここに毎回、各自1枚ずつ新しいお客さんを加える。全員裏向きに出して一斉にオープン。そのうち数字の一番小さいお客さんと、一番大きいお客さんがトイレに並ぶ。その中間は我慢しきれずに森に行って失禁、もとい失点。
うまくトイレに並べても次の関門がある。それは「同じ列には、同じ数字も同じ色も不可」という制限だ。おそらく似ている人が先に並んでいると恥ずかしいのだろう。どちらの列にも並べないと、森に行かなければならないだけでなく、もう1枚分の失点が加わる。
5枚目に並んだら、前のお客さんがみんな用を足して出ていくので掃除係になる。掃除係カードを取ると、失点が軽減されるのでどんどん狙って行きたい。
手札が全部なくなったら、森に行ったカード枚数で失点を数える。枚数が増えるほど加速度的に失点が増えるので、1枚でも節約したいところだ。
序盤から積極的に小さい数字のカードと大きい数字のカードを出していったが、並べても前に置かれたカードのせいで弾かれる場面が相次ぎ、普通に中間のカードを出したほうがダメージが少ないという展開。1位は、3回掃除係になって失点を帳消ししたtomokさん。
ドイツのレビューでは『ニムト』との類似を指摘するものがいくつか見られたが、何ラウンドかに1人だけ失点になる『ニムト』とは違い、毎ラウンド半数は失点になるのでシビアである。でもトイレに並ぶというテーマに緊迫感があって違和感を感じさせない。選ばれた者しか、トイレに並べないのである。
Lokus
R.シュタウペ/ニュルンベルガー・シュピールカルテン(2012年)
3~5人用/10歳以上/30分
ゲームストア・バネスト:トイレ