面白いボードゲームを探し出す10の方法
来月まで投票が行われている日本ボードゲーム大賞。新作リストに挙がっているのは235タイトルにのぼる。これは一般発売(複数店舗で取り扱われた)されたものに限っての話で、単独店の独自輸入ゲーム、ゲームマーケットで少数販売された同人ゲームを含めれば、300~400タイトルになる。世界のボードゲーム市場ではさらに多くの新作がリリースされており、さらに過去にリリースされた作品も含めれば、一生、毎日遊び続けても全く追いつかない数になる。
そのような中、何を頼りにしてボードゲームを選ぶかがより重要になってきている。もしかして面白いゲームを見逃しているのではないか、逆に自分に合わないゲームに手を出してしまったのではないかという心配は誰にでもあるだろう。そこでボードゲームの探し方を紹介しよう。
まずは漠然としたところから面白そうだなと思うタイトルを見つけるところから。次のような調べ方が考えられる。
1.ショップの入荷情報を見る
多くの国内ショップでは、入荷案内メールサービスを行なっている。メールアドレスを登録しておけば、ゲームの概要説明つきで入荷案内が送られてくるだろう。ここから気になるゲームを見つければ、入手も容易である。入荷案内メールが迷惑メールフォルダに入っていないかときどきチェックするのも忘れずに。入荷情報をブログでお知らせしているショップもあるので、そちらもチェックしておきたい。
メビウスゲームズ:e-mailによる入荷案内
ゲームストア・バネスト:会員登録
テンデイズゲームズ:メールサービス参加
ジョイゲームズ:メールマガジン登録
ゲームフィールド:会員登録
2.ボードゲーム賞の受賞作品をチェックする
国内外で評価の高い作品は、必ずボードゲーム賞にノミネートされたり、受賞したりする。個人的に合う合わないはともかく、水準以上の作品であることは間違いない。特に、複数のボードゲーム賞で取り上げられた作品はチェックしておこう。受賞ニュースは当サイトで取り上げているほか、賞ごとにまとめているサイトもある。
世界のボードゲーム賞
3.ニュースサイトのリリース情報を見る
日本語版のリリース情報は、当サイトでできる限り全て取り上げるようにしている。日本語版が出るということは、それなりに売れる見込みがあってのことだろうから、その中から選ぶのも確実な方法といえるだろう。これを見て、気になったタイトルをチェックしておく。発表から発売までは時間がかかるので忘れないように注意したい。海外のリリース情報は、次のサイトが詳しい(英語)。
BoardGameGeek News
4.レビューサイトを定期巡回する
実際に遊んだレポートほど役立つものはない。はてなアンテナなどのサービスを使って、レビューサイトやショップのブログを訪れよう。レビューサイトによって得意なジャンルが違うので、自分が好きなジャンルを多く紹介するサイトをお気に入りに登録しておくのもよい。
Table Games in the Worldアンテナ
5.データベースで検索
国内ボードゲームデータベースのplay:gameではテーマや人数で検索する機能がある。発売年、プレイ時間、プレイ人数など、自分の好みを入力して検索すれば、その条件に合ったゲームが出てくる。
play:game:ゲーム詳細検索
6.2ちゃんねるで尋ねる
匿名掲示板の2ちゃんねるには、オススメをボードゲームを尋ねる質問テンプレートがある。一緒に遊ぶメンバーの人数や年齢、予算、好みのジャンル、メンバーのゲーム経験などを記入の上、尋ねると親切に教えてもらえるだろう。匿名ゆえ荒れることもあるので、過去の書き込みをよく読んでから書き込むことを勧める。
2ちゃんねる:ボードゲーム・カードゲーム総合
7.ツイッターでよく言及されるタイトルを調べる
ツイッターでボードゲーム愛好者をフォローしておくと、今の旬が分かるかもしれない。遊んだゲーム名や簡単な感想をつぶやいている人をチェックしよう。ボードゲーム愛好者は、ハッシュタグ「#ボードゲーム」「#boardgamejp」などで検索すれば探せる。
8.ショップに行く
百聞は一見にしかず。近くにあれば、実際に足を運んで現物を見るのがよい。専門店であれば、店長や店員さんが相談に乗ってくれる。最近の売れ筋だけでなく、自分の好みを伝えればコーディネートも。このときも、漠然と「面白いゲームありませんか」と聞かずに、「5,6人で軽く盛り上がれるゲームを探しているんですけど」というように具体的に聞くのがベター。
9.サークルで生の声をきく
近くにサークルがあれば、そこで話を聞いたり実際に遊んだりして生の情報を集めるのが一番だ。自分へのオススメを聞くもいいが、その人その人の個人的な最近のお気に入りを尋ねると、気になるタイトルが出てきやすい。
10.専門誌・書籍を読む
『ボードゲームナビ』『アメージングテーブルゲーム』『ボードゲームカタログ』『ドイツゲームでしょう!』などのボードゲーム専門誌・書籍に目を通すのも、新しい発見があってよい。あまり興味がなかったジャンルでも、写真を見たり説明を読んだりしているうちに興味が喚起されることもあるだろう。
このようにして、気になったタイトルを探し出すが、それでもいっぱいありすぎて(調べれば調べるほど増えるかも)途方に暮れることと思う。今度はその中からどれを購入するかを考える(つづく)。
こちらもあわせてどうぞ→ボードゲーム購入ガイド
カリマンボー(Kalimambo)
踏んだり蹴られたり
テーマに惹かれ、遊ばせてもらって気に入り、購入に至った作品。以前はこのパターンが結構多かったが、残念ながら購入したのに結局遊ぶ機会に恵まれない。そのため今では「遊んだゲームは買わない」というモットーになっているのだが、たまにその原則を崩す作品に出会えることがある。遊んだ上で購入まで至った『カリマンボー』は、最近のオススメ作品といえる。価格の安さ、木製のコンポーネント、7人まで遊べる人数の広さ、運と戦略のバランスのよさと、申し分ない要素が揃っている。ドイツ年間ゲーム大(2012年)賞推薦作品。
新種の動物カリくん(霊長類らしい)を発見して、友人となって一緒にジャングルを歩く探検家たち。しかしカリくんには親友のマンボーくん(サイ)がいた。探検家たちは、実は彼らのフットボールの練習台として連れてこられていたのだ。ゾウのウンコがあちこちに落ちている道を必死で逃げる探検家たちを、サイが追いかける。コミカルなイラストとは裏腹に、結構ホラーな設定だ。
カリくんと探検家とサイの列を作ってスタート。全員(カリくんも)、数字カードを1枚ずつ一斉に出し、数字の大きい順に列の先頭に移動する。このとき前に落ちていたウンコを踏んだら失点。ベチャッ!
ウンコを踏まなくてもまだ安心できない。最後尾が先頭に移動すると、一番後ろにいるサイが突進してくる。その前にいた人は背中をどつかれて失点。しかも、サイが遠くから来るほどダメージが大きい。ドカーン! カリくんがどつかれたときは、身代わりとなって数字の一番小さかった人が失点する。
カードを使い切ったときに、失点の合計が一番少ない人が勝つ。
どのあたりの数字を出せば何番目に移動でき、失点しなくて済むのかある程度は予測できる。しかしカリくんが出すカードはランダムな上に、ほかの人と数字がかぶると進めないことがあって事故多発。なぜか同じ人ばかり失点を食らってしまう展開も笑う。『ニムト』とプレイ感覚は似ているが、ウンコ踏んでキタネー!とか、サイにどつかれてイッテー!とか、失点に実感がわくのがいい。失点なしで勝てたらカッコイイが、出すカードが全部裏目に出て大量失点というのも、別の意味でヒーローである。
Kalimambo
A.スクリットーレ/ツォッホ出版(2011年)
3~7人用/8歳以上/20~30分