シュピール’14:ドイツゲーム賞授賞式
10月15日、シュピールの前夜祭となるドイツゲーム賞授賞式が午後7時半から行われた。フリードヘルム・メルツ社の招待により出版社、デザイナー、記者など100人以上が集まり、ワインやビールを飲みながら和やかに進められた。
ドイツゲーム賞は1990年から毎年行われているもので、愛好者による投票で順位が決められる。投票はドイツのボードゲーム専門誌『フェアプレイ』『シュピールボックス』『シュピーラライ』にハガキが同封されるほか、テレビやラジオで活躍しているジャーナリスト、ドイツ、オーストリア、スイスにある300以上のボードゲームサークル、そして2001年からインターネットで行われ、数千人の愛好者が投票に参加している。
はじめにエッセン市長から金の羽根・模範ルール賞の贈呈。今年は『アブルクセン』が受賞し、ラベンスバーガー社の方とW.クラマー氏が壇上に登った。続いて10位から順番に呼びあげられ、それぞれ出版社とデザイナーが壇上で賞状を受け取る。
感慨深かったのは『ラブレター』で4位を受賞したカナイセイジ氏の登壇。以前にも日本人作品の受賞はあったが、日本人が登壇するのは史上初である。インタビューはなかったが、ドイツ語版の発売元であるペガサスシュピーレの方とともに賞状を受け取り、カメラに囲まれていた。
ダイス・ブルーイング(Dice Brewing)
美味しいビールを作ろう
世界中のビールを、ダイスの組み合わせで作っていくダイスゲーム。シュピール出展は2年目となるポーランドの出版社「ボード&ダイス」が発売した。ダイスの目を操作するアクションを駆使するべく、振った後に考えることの多いゲームである。
ゲームに登場する4色のダイス、黄色はライトモルツ、黒はブラックモルツ、緑はホップ、青は技術を表している。自分の番になったら手持ちのダイスを全部振って、ビールの原料やアクションに分配していく。
ビールの原料はカードが並んでいて、そこに示されている。ダイスの数だけでなく、ダイスの目まで決められており、さらに後半になって登場する難易度の高いビールには、お金を払って購入する特別な原料も必要となる。原料にするダイスはリザーブに移して、ビールの原料に使うまで振り直すことはできない。中途半端な出目をリザーブに移すか、ほかのアクションに回すかが悩ましい。
ダイスが足りなかったり、出目が低かったりして原料を揃えられないときのために、青のダイス=技術がある。これを使うと、ダイスを増やしたり、出目を上げたりすることができる。そのためのアクションがいくつか用意されており、ダイスを置くことで実行できる。アクションはラウンドによってできることがだんだん増えていくのが楽しい。
出目を整えたら、スタートプレイヤーから順に醸造。必要なダイスを使って、条件を満たすビールカードを取る。これがゲームのメインで、醸造するとお金や得点が入ってくる。しかし狙っていたカードが先の人に取られてしょんぼりということも。
醸造に使ったダイスも次の手番に振ることができるので、基本的にダイスは増えていく。しかしビールの醸造に必要なダイスも増えていくので、ダイスが多いからといって簡単に作れるとは限らない。むしろ何も醸造できずに手番終了ということも多い。
4人プレイで1時間ほど。序盤からみんなダイスの目がよくて、どんどんいいビールが醸造されていく。しかしよく見ると、得点になるビールと収入になるビールがあり、私は収入になるビールばかり醸造していたものだから得点が上がらない。その間に神尾さんが得点になるビールをどんどん醸造してぶっちぎり。
ダイスの出目が1つか2つだけ低いときなど、どのアクションをどの順番で使うと醸造できるようになるのか、そのアクションのためのダイスはいくつ使えるのかなど、振ってから考えることが多くてしびれた。1枚1枚名前付きで描かれているビールの名前と色合いを見るのも飽きない。
Dice Brewing
F.グロワツ、I.フスツカ作/ボード&ダイス(2014年)
2~4人用/12歳以上/45分
国内未発売