『世界の七不思議:デュエル』多言語版、12月中旬発売
ホビージャパンは12月中旬、文明発展ゲーム『世界の七不思議:デュエル(7 Wonders: Duel)』の日本語を含む多言語版を発売する。2人用、10歳以上、30分。拡張セットではなく、単独でプレイできる。多言語版のため、カード名や都市名は、ローマ字表記になっている。
2010年に発売され、数々のゲーム賞を受賞してきた『世界の七不思議』が2人用対戦ゲームとなった。今年のエッセン・シュピールで出展され、スカウトアクションで同率3位と高い評価を受けている。
各プレイヤーは3つの世代にわたって1つの文明を率い、建造物や七不思議を建造する。各世代のカードは建造物を表し、新しいドラフトシステムで選択し、プレイしていく。カードをプレイすることでコインを獲得したり、軍隊を強化したり、科学的発見を成し遂げたり、都市を発展させたりしていき、より多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝者になる。
新しいカードドラフトシステム、3つの勝利条件、科学的進歩、独創的な軍事システムと新しい要素を加え、新しい七不思議が組み合わせられることで、『世界の七不思議』とは違ったプレイ感が楽しめる。
ゲームの内容物
・ゲームボード 1枚 ・世代カード 66枚 ・ギルドカード 7枚
・七不思議カード 12枚 ・トークン類 14枚 ・紛争コマ 1個
・コイン 31枚 ・スコアブック 1冊 ・ルールブック 1冊 他
オルレアン:侵略(Orléans: Invasion)
絶望の中に一筋の光明
今年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされた作品の拡張セット。6つのシナリオが入っているが、その中で最注目なのがこの協力ゲームシナリオである。作者は『村の人生』のブラント夫妻。
オルレアンの街に侵略者が迫っている。侵略者に備えて、防備を固めなければならない。塔を作ったり、警備の騎士を派遣したり、備蓄する食料とお金を蓄えたりと大忙し。その上、各プレイヤーにも固有の条件が課される。
手番の流れは大きく変わらない。大きく違うのはまず、慈善事業ボードの代わりに登場する共通の目的ボードである。ここには6つの目的が示され、ゲーム終了までに全て達成しないとプレイヤー全員の敗北となってしまう。
6つの目的とは以下の通り(カッコ内は4人プレイ時)。1つだけでも反吐が出そうなほどたいへんなのに、1つでも達成できないと負けるのはつらい。
1.城壁:騎士をたくさん(10枚)送り込む
2.市民チップ:各所でもらえる市民チップをたくさん(9枚)集める
3.街の公庫:お金をたくさん(50金)入れる
4.倉庫:食料品をたくさん(小麦12枚、チーズ6枚、ワイン6枚)入れる
5.防備の塔:マップ上の周辺部13の街に商館を建てる
6.個々の目的:全員が個々の目的を達成する。
これらの目的を達成するために、追加アクションがある。商品やお金を共通の目的ボードやほかのプレイヤーに送れたり、人物チップをほかのプレイヤーに渡したりするものである。これらにも当然、人物チップが必要となる。人物チップを増やしてから共通の目的ボードに取り掛かりたいところだが、ラウンド数は非常に限られている。どこかで人物チップを増やすアクションに見切りをつけて、ほかのアクションに振り向けなければならない。
しかしそこに、個々の目的が立ちはだかる。9人の人物カードから各自1枚ずつ引いて担当するが、例えば「将軍」なら騎士トラックを最後のマスまで進めることと、技術力チップを自分のところに置くことが目的。「司書」なら発展レベルを5以上にし、「ロシュ」という街に商館を作り、場所タイルを4枚取ることが目的となる。これらの目的を達成するため、共通の目的がどうしても後回しになってしまいがちだ。
さらに毎ラウンドめくられるイベントも激しさを増す。技術力チップや場所タイルを捨てさせられたり、倉庫の小麦とチーズがなくなったり。これらの被害にはプレイヤー間で分担できるものもあるので、よく相談することが大切である。
4人プレイで120分。tomokさんの人物カード「農場主」が毎ラウンド何かしら捨てさせられるもので、それが足かせとなって共通の目的にほとんど貢献できない。さらにぽちょむきんすたーさんの「市長」は、共通の目的とは別に10金と市民チップ2枚を集めなければいけなかった。「脅し取られてんじゃないの?」「私腹を肥やして!」と嫌味を言われながら、頑張って達成したものの、ほかが手薄になったのは否めない。
ゲームが半分進んだところで、共通の目的はほとんど達成されていない。防備の塔は手分けして早めに達成できたものの、お金は50金集めるのにまだ4金。「あと46金必要です!」「無理だ―!」なんて言ってたが、お金は最後にどんどん集まって達成。しかし時間のかかる市民チップを急場では用意できず、騎士も最終ラウンドで引いてこれず、また倉庫も最後のワインが入らなくて敗北。イベントには恵まれたが、人物カードがきつかった感じだ。
最初は絶対無理に見えたものが、終盤になって少し光が見えてくるのがドラマチックで楽しい。次はもっとうまくやれそうだという感触が残った。
Orléans: Invasion
I.ブラント、M.ブラント/dlpゲームズ(2015年)
2~5人用/12歳以上/90~120分