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ルールライティングのチェックポイント

ゲームマーケット2015秋まで、あと3ヶ月となった。創作ゲームを出展するサークルは、準備をそろそろ始めているところだろうか。今回は史上最多の出展となり、その中には初出展のところも多いと思う。そこで、ルールを書く上でのチェックポイントを確認して頂きたい。
というのも、ゲームマーケットでは毎回のように、ルールが分からなくて遊ぶまでに至らないケースが起こるからである。ルールを執筆する時間が多く取れないこと、印刷代を節約しようと紙面を凝縮してしまうこと、何度もテストプレイしているうちにできる暗黙の了解が多くなってしまうことなどが原因と考えられるが、売ったほうも買ったほうも悲惨である。
ルールを書くときに一番よい方法は、ドイツゲームのルールブックをいくつか脇において、それを見ながら書くことである。構成や言い回しなど、そのまま使えるものが多い。ボードゲーム愛好者はそのような構成・言い回しに慣れているので、誤解も起こりにくいだろう。
後から遊ぶ人はルールブックだけが頼り。最後はルールを書いた人以外に読んでもらって、それだけで遊べるかチェックすることが望ましい。
以下がチェックポイント。

  1. 基本的な項目が全て備わっているか(コンポーネントの名称と個数、準備方法、手番に行うこと、終了条件勝者の決め方など)
  2. 「カードを出す(並べる・置く)」のは表/裏にしてかが明記されているか
  3. 手番の順番(時計回り、反時計回り)が明記されているか
  4. 可能(してもよい)なのか必須(しなければならない)なのか
  5. 1つだけなのか、いくつでもいいのか
     例:カードを出さなければいけません。
       ↓
       出すカードは何枚でもよい?
       ↓
       カードを1枚出さなければなりません。
  6. 以上、以下、未満は明確になっているか
     例:手札が8枚あれば、1枚を捨てなければなりません。
       ↓
       8枚ちょうどのときだけ、それ以上あっても?
       ↓
       手札が8枚以上あれば、1枚を捨てなければなりません。
  7. 「半分」で、切り上げか切り捨てかが明確になっているか
     例:手札が8枚以上あれば、半分を捨てることができます。
       ↓
       奇数だった場合は?
       ↓
       手札が8枚以上あれば、半分(端数切り捨て。9枚の場合4枚)を捨てることができます。
  8. タイブレイクが明記されているか
     例:1位のプレイヤーが5点、2位のプレイヤーが3点を得ます。
       ↓
       1位が複数いた場合は?
       ↓
       1位のプレイヤー(複数いる場合はその全員)が5点、次点のプレイヤーが3点を得ます。
  9. ルール全体で用語が統一されているか(コマ、トークン類)
  10. 場合分けしたとき、「重複なく、漏れなく(MECE)」が守られているか(場合分けしたとき)
  11. 例外的な状況の説明があるか(山札がなくなった場合など)
  12. 曖昧な表現はないか
     例1:「ダイスを3回まで振り直すことができます」
       ↓
       最初に振ったのは回数に含まれる?
       ↓
       最初にダイスを振った後、2回まで振り直すことができます。
     例2:「-1点を失います」
       ↓
       マイナスを引かれるということはプラスになる?
       ↓
       「-1点になります」または「1点を失います」
  13. 誤字脱字はないか
  14. 一読して分かりにくい言い回しはないか
  15. こみ入ったルールに、例や図解があるか
  16. 機能していないルールや、無意味に煩雑な部分はないか

こちらも併せてどうぞ:I was game:ボードゲームのルールを書くための5つの tipsThe Game Gallery:ルールライティング時のチェック項目

Posted in 日本語版リリース

『ラー』日本語版、8月20日発売

ニューゲームズオーダーは20日、R.クニツィアのエジプト競りゲーム『ラー(Ra)』日本語版を発売した。2~5人用、12歳以上、60分、4,500円(税別)。
オリジナルは1999年にアレア(ドイツ)から発売され、『モダンアート』『メディチ』と並んでクニツィアの競りゲーム三部作に数えられる名作。ドイツゲーム賞2位、ゲーマーズチョイス賞ノミネート。ドイツ語版・英語版は再版が繰り返され、そのたびに日本で流通していたが、このたび初めて日本語版となった。
ファラオ、文明、ナイル、金貨、モニュメントなどのタイルを場に並べていき、太陽神「ラー」のタイルがめくられるか、誰かが「ラー」宣言すると競りが始まる。競りに使う太陽コマは各自たったの3つで、1ラウンドに3枚までしか競り落とせない。しかし「ラー」タイルが既定数出てしまうと、3回競り落としていない人がいてもラウンドが終わってしまう。「ラー」タイルが増えていくにつれ、もっとめくるか、途中で妥協するか焦りも増す。
獲得したタイルは組み合わせによって得点が変わり、同じものを揃えれば揃えるほど得点が上がる。古王国・中王国・新王国の3ラウンドで獲得したタイルの得点を競う。
ラウンドがいつ終わるか分からないというプレッシャーと、たった3枚の太陽タイルが公開されていることによって生まれる競りの駆け引きはドイツゲーム最高峰。タイルの出方によってゲーム展開ががらりと変わるのも、繰り返し遊べる魅力を生んでいる。また、相場が分からなくても3枚のいずれかを出せばよいので、競りゲームに慣れていない人でも楽しめるだろう。
今回の日本語版にあたり、コンポーネントのサイズはほぼ同じで、ゲームボードを四つ折りにするなどしてボックスをオリジナルの半分のサイズに圧縮している。収納性もよい新しい定番の登場だ。