T.I.M.E ストーリーズ(T.I.M.E Stories)
記憶が曖昧になるのでまた遊べる
タイムワープで時空を移動し、行き先で事件を解決する協力型謎解きゲーム。ナラティブの手法を用いた一回限りのゲームで話題となり、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞、フランス年間ゲーム大賞エキスパート部門、国際ゲーマーズ賞、ゴールデンギーク賞などにノミネートされている。
基本セットには1921年のフランスの療養施設を舞台としたシナリオ「療養所にて」が入っている。患者から情報を集め、謎を解いていこう。
一回限りのゲームといっても、1回目でクリアすることはほとんどない。何回もプレイしてやっと事件を解決できるので、コストパフォーマンスは悪くない。なぜ何回もプレイしなければいけないかというと、ゲーム中に多彩な枝分かれがあり、最短ルートを探さなければならないからだ。寄り道しているとゲームオーバーになってしまう。
ゲームの流れはまず、場所カードが何枚か並べられ、その中から各自好きなカードを選んで中を読む。カードによってアイテムやトークンを獲得したり、ダイスを振って戦闘したりしていく。その場所の探検が一通り終わったら、全員で相談して次の場所を決める。その場所のカードがまた何枚か並べられ、同じように好きなカードを選んで情報を集める……こうして場所を移動しつつアイテムを集めていくと、最後の謎の手がかりが集まるようになっている。
場所を移動したり、同じ場所で何アクションかするたびに「時間」が減っていき、0になったらゲームオーバー。はじめは寄り道ばかりですぐ時間切れになってしまうが、何ゲームかプレイするうちに余計なルートを通らないようになり、クリアに近づいていくだろう(記憶力が確かならば)。
ゲームブックでは?と思う方もいらっしゃるが、ボードゲームらしさはプレイヤーの情報分散にある。各自自分が見たカードはほかの人に見せてはならず、その中の情報を言葉で伝えたり、記憶にとどめたりしておかなければならない。何気ない情報も後になって大事になってくるので、自分が訪れたカードはしっかり見ておこう。
今回は4人で5時間、4ゲームほどでようやくクリアできた(ルール的には何ゲーム目かで時間無制限になるが、時間がいくらあっても謎が解けなければクリアできない)。ネタバレになるので肝心の謎解き部分については詳細を控えるが、謎解きについてはメンバー一同が若干腑に落ちない感じだったたとだけ書いておく。難易度は高い。
1ゲーム終わるたびに、薄れゆく記憶を頼りに、「ここに行くべきだった(行かなくてもよかった)」、「ここにはまだ行っていない」などととあーだこーだ語り合えるのが楽しいゲームである。
T.I.M.E Stories
ゲームデザイン・P.シャスネ&M.ロゾワ/イラスト・B.カールほか
スペースカウボーイズ(2015年)+ホビージャパン(2017年)
2~4人用/12歳以上/90分
エジプト社会をダイスで昇りつめろ!『ファラオの恩恵』日本語版、5月20日発売
cosaicは5月20日、T.レーマンの人気ダイスゲーム『王への請願』をリメイクした『ファラオの恩恵(Favor of the Pharaoh)』日本語版を発売する。デザイン・T.レーマン、イラスト・O.ティム、2~4人用、13歳以上、45分、6000円(税別)。5月14日のゲームマーケット2017春でグループSNEブースから先行販売される。
オリジナルは2015年にベジエゲームズ(アメリカ)から発売された作品。メンサセレクト2016入賞、ゴールデンギーク賞ファミリーゲーム部門ノミネート。
舞台はヨーロッパからエジプトに移った。ダイスを振って役を作り、さまざまな特殊な能力を得て、王妃の寵愛を手に入れ、さらに王妃の口利きで王に謁見することが目標。ダイスや特殊能力を持つタイルをどんどん集めて、レベルアップしていこう。
『王への請願』からの違いは、ゲームごとに環境を変えられる点。特殊能力のタイルや、タイルを獲得するのに必要な条件の組み合わせをさまざまに変更できるので、毎回異なった展開が楽しめる。そのほかに特殊ダイスもあり、可変式タイルやレベルバーが入って遊びやすさも格段にアップしている。
誰かが「王妃」のタイルを獲得したら王の恩恵を巡る最後のダイス勝負が始まる。最も高い役を作り、王様に素晴らしい貢物をするのは誰か?