ゲームマーケット2017神戸:ワイルドゴールド、おそうじロボット、星を渡る
3月12日に行われたゲームマーケット2017神戸でプレイしたゲーム。第1弾はこちら。
カードで道具を作って金鉱を掘り進めるカードゲーム。ロクジゾーはゲームマーケットは初出展で、サークル名は京都の六地蔵駅から取ったものだという。この作品は会場で早々に売り切れ、再版待ちとなった。
最初に自分の前にあるのは「小さいオノ」1つ。石カード1枚と木カード1枚からなり、これを使うと場札から1枚カードが取れる。場札には木、石、鉄、火のカードと、お宝が出てくる。手札の材料がたまってきたら、「大きいオノ」「小さいツルハシ」「ヤリ」「木のバクダン」など、いろいろな道具を作ろう。
面白いのは、カードをその道具のかたちに並べて表現するところ。自分の番に何ができるか、視覚的にも分かりやすい。「小さいオノ」は場札から1枚取取れるが、「大きいオノ」は2枚。「小さいツルハシ」は捨て札の山から1枚を選んで拾い、「ヤリ」は誰かの手札から見ないで1枚引き、お宝カードだったら奪うことができる。「木のバクダン」は強力で、場札から4枚引くか、全員の手札から1枚ずつ引き、お宝カードだったら奪える。効果はさまざまだが、何の道具かが視覚的に分かるので混乱しない。
先手でたくさん道具を作れば有利かと思ったが、「上限チェック」がこれに歯止めをかけている。手番の最後に、手札の枚数と道具の数を合計して7つまでしかもてないというルール。そのため道具を破棄したり、手札のお宝カードを捨てたりしなければならないことも。お宝が合計10点になれば勝ちだが、この上限のせいで9点どまりということが多く、次の手番になるまでみんなからカードを奪われるのでシーソーゲームになる。
ほかのプレイヤーにカード名を宣言してもっていれば奪える「剣」を2本作り、金(2点)をもっているプレイヤーを狙い撃ちしてぎりぎり勝利。戦況に応じた道具の切り替えが必要で、深みのあるゲームだった。
ワイルドゴールド/Wild Gold
デザイン・ナラセン/イラスト・カムラジュンタ/ロクジゾー(2017年)
3~4人用/8歳以上/30分
磁石のボールが入ったおそうじロボットを飛ばして、自分の色のクリップだけ集めるゲーム。姫路のボードゲームカフェB-CAFEの大坪店長ことアタックさんが考案した。おそうじロボットの動きがロボットっぽくて面白い。
各プレイヤーのクリップを置いて、少し離れたところからおそうじロボットを発射する。ロボットは磁石のボールにカップをかぶせた簡単な作りで、回転させながら発射するとカーブを描くようになっている。そしてその磁石でおそうじロボットにくっついたクリップを片付ける。こうして自分の色のクリップをいち早く片付けられた人の勝ち。
クリップはほかのプレイヤーのものも混じっているので、『ベルズ』のように加減が難しい。運の要素もあるが、終盤は少なくなったクリップの中で自分の色にロボットを向けられるか、技術力も問われるだろう。
おそうじロボット/Putzroboter
デザイン&イラスト・アタック/豚小屋(2017年)
2~4人用/6歳以上/10分
昨年亡くなったイギリスのミュージシャン、デヴィッド・ボウイへのオマージュ作品。星々をオークションで集めてつなぎ、彼を生まれ故郷に帰すというゲームで、Spieldisorderとして2年ぶりの新作となる(昨年はプロトタイプを出展)。
毎ラウンド、春夏秋冬の星カードが並べられる。これを見て春用、夏用、秋用、冬用のカードを裏向きにプロット。全員が置いたら、春用に置いたカードからオープンしていく。4回の入札である。
各季節ごとに、カードの数字が一番大きかった人が星カード(得点)を手に入れ、使ったカードを捨て札にする。このとき、ほかの人は使ったカードを次のオークションに持ち越すか、手札に戻すか、手元にプールするかという3択を順番に決める。次のオークションに持ち越せば数字が加算され、勝ちやすくなる。プールするというのが、このゲームのポイントだ。
というのもゲーム終了時に、プールしたカードの合計までしか得点できないというルールがあるからだ。オークションで入手したカードの合計のほうが多い場合、プールしたカードの合計を下回るまで捨てなければならない。さらに手札はオークションの回数よりも少ないため、オークションで適度に競り負けて、カードをプールに回したり、手札に戻したりすることが必要となる。同時公開のオークションの中で、この調整が悩ましい。
そのほか、星カードにはさまざまなマークが描かれ、セットコレクションやマジョリティーでもボーナスがある。それも踏まえてどれくらいの数字で星カードを落とせそうか、値踏みも面白い。
星を渡る/Across the Universe
デザイン・high-life/Spieldisorder(2017年)
3~4人用/10歳以上/38分
ハンターに気をつけろ!『ヴァンパイア・クイーン』日本語版、4月22日発売
アークライトは4月22日、W.クラマーのカードゲーム『ヴァンパイア・クイーン(Vampire Queen)』日本語版を発売する。3~12人用、8歳以上、30分、1800円(税別)。
オリジナルはシュミットシュピーレ社が2016年に発売したもの。『大きいAと小さいa(Das grosse und das kleine A、アミーゴ社・1996)』、『ロバはだーれ?(Who’s the Ass?、ファランクス社・2004)』、『ロバとウシ(Ochs & Esel、ペガサスシュピーレ社・2008)』と定期的にテーマを変えてリメイクされ続けてきたロングセラーだ。
プレイヤーはヴァンパイアの女王となり、ヴァンパイア・ハンターに狩られないように気をつけ、夜が明ける前に獲物を集めて帰ることを目指す。
ゴーアウト系のカードゲームで、スタートプレイヤーは同じ数字なら何枚でも出すことができ、あとの人は同じ枚数で数字を上回るなら出すことができる。1周して一番高い数字を出した人が次のスタートプレイヤーとなり、こうして誰かが手札をなくした時点で、残った手札が失点となる。
ヴァンパイア・ハンターカードは2枚あり、スタートプレイヤーのときだけ出すことができる。これが出ると全員強制的に1枚出して数字の大きかった人が引き取らなければならない。さらにジョーカーになるヴァンパイア・クイーンの使いどころも悩ましく、12人まで遊べて盛り上がる作品だ。
ヴァンパイア・クイーン(Vampire Queen / Kramer / Schmidt, 2016)
大富豪的にカードを出すが、全員がパスしたときにしか出せないヴァンパイアハンターが呪いのようにプレイヤー間を行き来する。ヴァンパイアハンターが出たら、一番数字の高いカードを出したプレイヤーが引き取らなければならない pic.twitter.com/TzBznx695z— Table Games in the World / ボードゲームニュース (@hourei) July 26, 2022