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兵庫・姫路のボードゲームカフェ「B-Cafe」を訪問

B-Cafe(1)昨年8月にオープンした兵庫・姫路のボードゲームカフェ「B-CAFE」を訪問した。ゲームマーケット神戸の会場に近い三ノ宮駅からJR新快速で約40分。新幹線なら新大阪から30分ほどで到着する。
姫路駅から徒歩7分。商店街を抜けた裏通りの2階にある。外では子どもたちが道路でスケボーの練習をしていた。窓からの眺めが素晴らしい明るい店内に入ると、奥の方で1卓ゲーム立っていた。カフェラテとミックスナッツを注文してしばらくくつろぐ。
「ドイツゲーム喫茶」と名付けられたこのお店は、ポッドキャスト「豚の鳴き声 」や『知ったか映画研究家』の制作で知られる「豚小屋」の「酢豚」こと黒田尚吾氏(グループSNE所属)がオーナー、同じく「アタック」こと大坪尭央氏が店長を務める。ロゴのデザインはタンサンファブリークと、ボードゲーム愛好者には馴染み深い。
大坪氏らはもともと姫路で毎月オープンゲーム会を開き、15人ぐらいでボードゲームを楽しんでいたという。しかしもっと間口を広げ、いろいろな人にボードゲームを知ってもらいたいという思いから、カフェを開いた。店内にある500種類以上のボードゲームの大半は個人所有で、初心者向けからフリーク向けまで幅広い。
B-Cafe(2)
「豚の鳴き声」ではいじられているが、実はイケメンの大坪店長
その目論見通り、ボードゲームをあまり知らない人がお客さんの半数以上を占める。一人で来店する人も多いので、そういうお客さんには相席を勧めている。実際、インタビュー中にアメリカ人の女性2人組が来店したが、一人は『カルカソンヌ』をちょっと知っているくらいで、もう一人はほとんど知らない様子だった。大坪店長は食事の提供をしながら、手が空いていればゲームのチョイスの相談に乗ったり、ルール説明もしたりと忙しそうだ。
英語教師だというアメリカの方が何か遊ぼうというので、ほかに来店していた日本人の男性2人をお誘いして『ボーナンザ』を遊んだ。お互いに初対面というだけでなく、こういうカフェでなければ会うこともないだろう組み合わせである。豆といえばコーヒー豆にもこだわりがあって、来客の1割はカフェのみの利用だという。カフェを飲みながら、壁にぎっしり並んだボードゲームを眺めていれば、遊ばないまでも気になるゲームは出てくるだろう。
現在は月末の土曜日に「B-Cafe Bar」というイベントを行っているほか、地元商店街のお誘いで出張実演も展開し始めた。徒歩でわずか2分のところにイエローサブマリン姫路店があるため物販は行っていないが、今後コラボも考えているという。
東京・大阪近辺にはもはや飽和状態とも言われているボードゲームカフェだが、地方都市にはまだまだ可能性を感じる。ボードゲームを知らない人にいかにして継続的に遊びに来てもらうかという別の課題もあるが、B-Cafeがひとつのモデルとなって、まずは政令指定都市、そして県庁所在地と広がっていけばいいなと思う。
ドイツゲーム喫茶 B-CAFE
〒670-0924兵庫県姫路市紺屋町80千葉ビル2F(JR姫路駅徒歩7分)
平日13:00~23:00、土日祝11:00~23:00/火曜休
30分250円、平日1日1200円、土日祝1日2200円
ウェブサイト
B-Cafe(3)
カフェだけの来客もある明るい店内。奥の方に段差があって秘密基地感もある。

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遊んだボードゲームの記録、どのデータベース系サイトを使う?

3月12日のゲームマーケット2017神戸で、新しいプレイ記録システム「enjoygames 」が発表された。メールアドレスでユーザー登録をすれば、所有ゲーム一覧を作ったり、ゲーム会を募集したりできる。
enjoygamesユーザー登録
http://enjoy-gam.es/user_registrations/confirm
新しい機能として、リアルタイムのプレイ記録と、ゲーム別のランキングがある。1人が遊ぶゲームのページをスマホなどで開き「参加者を集める」を選択。一緒に遊ぶ人も同じページを開き、「参加する」を選択する。こうして遊び終わった後に勝敗を記録したり、ナイスプレイをほめたりして、アイテムが増えランキングが上下する仕組みだ。
ドイツでは、ボードゲーム出版社協会(Spielverlag e.V.)が昨年、ボードゲーム会検索アプリ「Twiddle」 を開発した。自分が住んでいる近くでボードゲーム会が開かれていないかを探し、参加者と連絡を取り合うことができる。日本にも、ボードゲーム会やイベントを告知し、参加者を募るBoard Gamer’s High とゲムパ がある。enjoygamesもゲーム会を告知する機能があるが、さらに個別のゲームについて成績の記録まで踏み込んでいるところが新しい。
enjoygamesには現在、約500タイトルのボードゲームがデータべ―ス化されており、リストになければ事務局にメールかツイッターでリクエストするようになっている。毎年世界中で1000タイトル以上、日本国内でも500タイトル以上の新作が発表されている現状で、データベース登録が課題といえよう。
世界最大のデータベースをもつBoardgamegeek は現在、約9万タイトルのボードゲームが登録されている。日本ではplay:game もボドゲーマ も約8千タイトルで、BGGの10分の1にも満たない。しかしBoardgamegeekは英語であるため、日本人にとっては後者のほうが使いやすい。
play:gameはBoardgamegeekを手本として作られ、詳細検索・所有ゲーム管理・プレイ記録・10段階評価・コメントなどの機能をほぼそのまま受け継いでいる。長く続いており、古典的な名作についてはたくさんの評価が寄せられているのが長所だ。トップページでは管理者のひとりであるけがわさんのレポートを読むことができるのも魅力。ただ、画面がスクロールしないように細かく分割されたデザインは、使いづらいと感じる人もいると思う。
ボドゲーマは見やすいデザインだけでなく、戦略やインストを記入できる機能や、「ボドとも」になって成績を記録できるSNS的な機能があり、ユーザー同士の交流を促しているのが特徴だ。ショップ・カフェバーの紹介やコラムも充実している。個別のゲーム紹介も詳しく、レビューサイトとしての価値もある。一方、評価については点数をつけず、ランキングは「お気に入り」をつけた人数で決めているため、遊んだ上でのレーティングは端的に分かりにくい。
ボードゲームをデータベース化しているサイトとしてはこのほかにボードゲームマグ 、テーブルシェア 、アソボド! などがあるがユーザー登録制でなく、登録件数も100タイトル未満であるため、レビューサイトとして読んで楽しむのがよいだろう。
遊んだゲームを細かく評価できるplay:game、ユーザー同士で交流しながら情報交換できるボドゲーマ、リアルタイムでスマホから対戦成績を入力できるenjoygamesと、それぞれ方向性が異なるので、何のために使うかを考えて選ぶとよいだろう。あとはBoardgamegeekに実装されているボードゲームニュースと、ユーザー同士で売買できるマーケットが、日本でもデータベースとリンクするかたちで実現したらいいなと思っている。
データベース系サイトの分類
データベース系サイトをゲームがメイン/イベントがメインと、データ重視/レビュー重視という2つの軸で分類してみた。enjoygamesは独特な立ち位置にある。