2023年のドイツボードゲーム市場は+3%の成長
ドイツ語圏内の19のボードゲーム出版社が加盟する社団法人ボードゲーム出版社(Spieleverlage e.V.)は、1月30日から始まるニュルンベルク・シュピールヴァーレメッセ前に恒例のボードゲーム市場概況を発表した。それによると2023年の売上(TCG・パズルを含む)は前年比+9%の増加、TCGを除いても+3%の増加となり、ウクライナ侵攻とエネルギー危機で落ち込んだ2022年から回復した。
ウクライナ侵攻が収束せず、生活費の高騰や貯蓄の風潮により、当初はマイナス5%の減少を予想していたが、『ポケモン』『マジック:ザ・ギャザリング』『ディズニー・ロカルナ』などTCGの売上が好調で+9%、またボードゲームも売上を伸ばした。ドイツの昨年のGDPが-0.3%、個人消費が-0.8%だった中で、ボードゲーム・パズルは「数少ない勝ち組」となっている。
代表のH.フッター氏(フッフ)は「多くの人がスマートフォンの奴隷になりかけているこの変化の早い時代、ゆっくりとした時間を過ごしたいというニーズが、アナログゲームがこれまで以上に重要な理由です」と語る。
近年、同法人は売上総額を公表していないが、Statistaによるとコロナ禍による巣ごもり需要があった2020年から、7億ユーロ(1100億円)台を維持している。今年のニュルンベルク・シュピールヴァーレメッセでは世界39カ国から288社がボードゲーム・パズルを出展する。
・Spieleverlage e.V.:Spiele-Markt kehrt zurück auf Wachtumspfad 26. Januar 2024
カバンガ(Cabanga!)
数字を広げない我慢比べ
カードを出して2つの数字の間のカードを持っている人がいるとカードを引かなければならないカードゲーム。アミーゴ(ドイツ)から昨秋発売され、メビウスゲームズが今年日本語版を発売する。
場にははじめ4色のカードが2枚ずつ並んでいる。手番にはこの2枚の数字がなるべく離れないように、いずれかの色の1枚に手札を出して上書きする。
他のプレイヤーがカードを出したとき、2枚の間のカードを持っていたら、そのカードを捨てることができる。そして手番プレイヤーはその数だけペナルティとして山札から引かなければならない。
写真のように紫の「14」と「15」だったら、間の数字はなく誰もカードを出せないからセーフ。でも青の「2」と「7」だったら、3~6のカードを出される恐れがある。もう1枚のカードとできるだけ近い数字をプレイしたいところだ。
誰かの手札がなくなった時点で残り手札が失点になり、合計失点が規定点以上になったらゲーム終了、失点の少ないプレイヤーが勝者となる。
序盤は手札が多いので数字が近いカードを出せるが、次第に苦しくなっていく。誰かが我慢しきれなくなって間の急に広がるのをお互いに待つじりじりした展開。最後の1枚まで油断できない。手札が少ない終盤は誰も出さなくて意外と通ることもあり、スリリングな展開が楽しい。
Cabanga!
ゲームデザイン:M.モードラー、イラスト:クレアティフブンカー
アミーゴ+メビウスゲームズ(2023,24年)
3~6人用/8歳以上/20分