エッセン・シュピールの成長
アナログゲームのイベントとしては世界最大規模の「シュピール(SPIEL)」が、今年も10月にドイツ・エッセンで開催される。
1983年に市内の市民学校を会場に開かれた第1回の規模は出展12団体・来場者5000人。その規模は年々膨れ上がり、35回目を迎える今年は出展1100団体、来場者17万5千人が見込まれている。数年前までは出展750団体、来場者15万人といわれていたが、ここ2~3年で急激な成長を見せている(下図)。
年 | 会場の広さ(㎡) | 出展者数 | 来場者数 |
---|---|---|---|
2002 | 39000 | 573 | 148000 |
2003 | 39000 | 612 | 150000 |
2004 | 39000 | 690 | 149500 |
2005 | 43000 | 723 | 144000 |
2006 | 43000 | 730 | 151000 |
2007 | 44000 | 758 | 150000 |
2008 | 44000 | 731 | 150000 |
2009 | 44000 | 763 | 152000 |
2010 | 44000 | 786 | 154000 |
2011 | 44000 | 805 | 154000 |
2012 | 44000 | 827 | 149000 |
2013 | 48000 | 828 | 156000 |
2014 | 58000 | 832 | 158000 |
2015 | 63000 | 910 | 162000 |
2016 | 66000 | 1020 | 174000 |
2017 | 72000 | 1100 | ? |
(主催者発表に基づく)
グラフを見ると出展者はうなぎのぼりだが、来場者は10年間、ほぼ15万人を維持していた。それがこの2~3年で2万人積み増したのは、近隣の国からの来場者が増えたためであると見られる。
第一に、ドイツの出版社に英語を話せるインストラクターが増えた。かつては英語でルールのインストを求めると誰かを呼んできたり、断られることさえあったりしたが、現在はお願いしなくても英語でインストしてくれる。これは非ドイツ語圏からの参加者が増えていることを示すものである。U.ローゼンベルクも以前は英語でインタビューするとたどたどしくなっていたものだが、今はすっかり慣れている様子だ。
第二に、ホテルが取りにくくなった。昨年泊まったホテルでは、デンマーク人が百人近くでツアーを組んでいるという話を聞いた。以前はエッセンから日帰りできる範囲内でドイツ人が来場していたが、外国となるといくら近隣といっても日帰りというわけにはいかない。
第三に、会場内で来場者同士がドイツ語以外の言語を話しているのを耳にする機会が増えた。以前はいかにもゲーマーという雰囲気の人たちばかりだったように思われるが、現在は家族連れ、カップルも多い。ドイツ周辺でボードゲームの愛好者が急増していることを伺わせる。その中から見れば日本人参加者は微々たる割合だが、年々増えているのは確かで、おそらく100人以上になっているだろう。
出展者の出身国も一昨年の41カ国から50カ国になっており、アフリカや南アメリカからも出展するようになった。世界的な発信地として、エッセンの存在感は増すばかりだ。
独エキスパートゲーム大賞受賞『脱出:ザ・ゲーム 荒れはてた小屋』日本語版、9月14日発売
cosaicは9月14日、今年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞した謎解きゲーム『脱出:ザ・ゲーム 荒れはてた小屋(EXIT: Das Spiel – Die verlassene Hütte)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・I.ブラント&M.ブラント、イラスト・、1~6人用、12歳以上、45~90分、2500円(税別)。
昨年秋にコスモス社(ドイツ)からシリーズ3タイトルが同時発売され、3ヶ月で10万セットを売り上げた作品のひとつ。シリーズ3タイトルまとめて今年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞に選出された。「脱出ゲームファンと、それを目指す人たちにとってマストアイテム」と評されている。
その中から日本語版第一弾となるのは、森の荒れ果てた小屋から謎を解いて脱出するゲームだ。奇妙な本と円盤を使い、謎をひとつ解くごとに次に見るカードが指示される。常識をうちやぶり、ひらめきを働かせ、協力して知恵を出し合おう。全問解くまでにかかった時間と、それまでに見たヒントカードの枚数で成績をつける。
ネタバレ禁止、一度しか遊べない贅沢なゲーム体験があなたを待っている。cosaicではこの作品を皮切りに、シリーズ作品を順次日本語版にしていく予定だ。