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ボードゲームセレクション2020、大賞は『海拓者』

関西のボードゲームカフェとプレイスペース付きショップ9店舗による「ボードゲームセレクション2020」が本日発表され、『海拓者』(コヤマタダシ)が大賞に選ばれた。今週末に開催予定だったゲームマーケット2020大阪は新型コロナウィルスの影響により中止となり、ボードゲームショップ&スペース「ギルド」で8日に行われるミニ即売会で頒布されるほか、通販を検討しているという。
「ボードゲームセレクション」はゲームマーケットに出展される作品の中からベストボードゲームを選出するコンペティション。最新作の中からゲームマーケット直前に発表されることで、当日の来場者が試遊購入する際のガイドにしてもらうことを目指し、昨年から始まった。
選考にあたったのはデザート*スプーン、賽翁、inst、ギルド、BOARD GAME Lab ! ddt、駒の時間、DDT、キンケッドテイル、1306の9店舗。昨年からキウイゲームズとファミーリエが抜け、キンケッドテイル、1306が加わった。エントリーした46(昨年比-19)タイトルを約1ヶ月間にわたってこれらの店舗間で回し、遊んだお客さんのアンケートを集約して決定した。
『海拓者』は海上を移動し、島々で資源を集めて施設を作るボードゲーム。船は手札の航海カードで進めるが、前に進むカードはないため右往左往することになる。手札のカードを見て状況を的確に判断し、効率よく建設して勝利点を競う。
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大賞のほか、以下の通り各店舗賞も発表されている。受賞者にはトロフィーが贈られ、参加店舗に掲示されるが、ゲームマーケット2020大阪の中止により、入手は主に通販か、次回のゲームマーケット2020東京になりそうだ。
【ボードゲームセレクション2019】
大賞:海拓者(コヤマタダシ)
BOARD GAME Lab!賞:サイ富豪(イマジンゲームズ)
デザート*スプーン賞:行商の時代(A.I.Lab.遊)
賽翁賞:セブンヴァイス(妄想ゲームズ☆)
ギルド賞:エイジオブタイラント(サザンクロスゲームズ)
DDT賞:コーディネイツ~アメリアとふしぎな森~(ヤネカンのボードゲーム工房)
キンケッドテイル賞:コドクのロンド(Made in Pocket)
1306賞:ガラクタリウム(遊陽ゲームズ)
駒の時間賞:インフィニティミライボックス(東京なかよしデザイン)
inst賞:ゴリラ人狼(日本語研究部)
ボードゲームセレクション2020

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ティーフェンタール/深い谷の酒場(Die Tavernen im Tiefen Thal)

金のない客ばかりでも
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お金とビールを増やして自分の酒場をにぎやかにするダイスドラフト&デッキ構築ゲーム。『クアックザルバー』に続くヴァルシュ&シュミット社の作品で、ドイツゲーム賞では『ウイングスパン』に次ぐ2位となった。ほどよい運の要素と、幅広い戦略の可能性が心地よい作品である。
毎ラウンド、自分のデッキからお店に客を並べてスタート。各プレイヤーが4つのダイスを振ってその中から1つ選び、残りをそれぞれ左どなりに渡していく(ダイスドラフト)。このダイスを自分のボードやカードに配置して客から収益を得たり、ビールを醸造したりする。お金は酒場のグレードアップに、ビールは新しい客の獲得に使い、自分のデッキにカードが加えられていく(デッキ構築)。8ラウンドで作った自分のデッキにあるカードの勝利点を競う。
基本的な目標は大量のビールを醸造して、高得点の貴族を獲得することにある。18ビールを醸造すれば、貴族が一挙に3人も獲得できて、それだけでもう30点だ。一般客の得点が1桁台ということを考えると、これがいかに大きいか分かるだろう。
しかし1ラウンドに18ビールを醸造するのは容易ではない。通常はダイス1個で1ビールしか醸造できず、ダイスは4つしかない上に、出目が合わないといけない。「ウェイトレス」でダイスを増やしたり、「皿洗い」でダイス目を増やしたり、「納入業者」で醸造量を上げたり、「貯蔵庫」で前のラウンドからビールを繰り越したりしなければならない。
これらのカードの購入にはお金が要るので、まずは常連客で小金を稼ぐところから。最初はギリギリだったのが、少しずつ収入が上がるにつれて、いろいろなことができるようになってくる順調さが心地よい。幸いなことに、お金持ちかどうかは別にして、毎ラウンド満席になるまで客は来てくれる。
お金の使い道だけでなく、ダイスの振り分けについても多様な成長曲線が用意されている。ひたすら客にビールを出してお金を貯めてもいいし、ビール醸造を頑張って上客を待つのもいいし、修道院に喜捨してポイントを稼ぎ、いろいろな恩恵がもらえってもいい。ただしダイスはドラフトで手に入るので、絶好のダイスは上家に取られることもあるだろう。
インストにはやや時間がかかるが、プレイ時間は3人で45分くらい。前半はいい客に恵まれず(醸造したビールの数に場札の客がマッチしない)、設備投資に力を入れた。収入が増えなくて苦しい展開だったが、後半で納入業者カードが4枚も出てきて、そこにダイスを3個投入でき、他のカードの効果で18ビールを達成。これで逃げ切った。
基本ゲームだけでももっといろいろなパターンが試せそうで、またプレイしたいと思えるが、さらに拡張モジュールが4つ入っていて自由に組み合わせられる。プレイ時間もほどよい長さで、繰り返し遊びたい作品である。
Die Tavernen im Tiefen Thal
ゲームデザイン・W.ヴァルシュ/イラスト・D.ローハウゼン
シュミットシュピーレ(2019年)+アークライトゲームズ(2020年)
2~4人用/12歳以上/60分