大人の事情と秋の空
キッズゲームの王様ハバ。黄色い箱に赤いロゴが目印で、毎年たくさんの新作が発売されている。ドイツのデパートでは、おもちゃ売り場に必ずといっていいほどハバ社のコーナーがあり、ドイツ年間キッズゲーム大賞にも毎年のようにノミネートされている。
キッズゲームとあなどってはいけない。確かに子供が遊べるようにルールは簡単だが、大人だけで遊ぶとまるで別の顔を見せるゲームも少なくない。このゲームはハバ社で史上唯一、赤いポーンの年間ゲーム大賞にノミネートされた作品だ。遊んでみると、これは大人が遊ぶゲームだと分かる(箱も黄色じゃなくて緑だし)。
場に並んだ32枚のお天気タイルには、大雨(雨雲3つ)から青空(白雲3つ)まで6段階がある。縦横斜めに4枚のタイルの雨雲と白雲の合計で、天気の良し悪しを予想する。例えば白雲2・白雲1・雨雲3・雨雲2なら2+1-3-2=-2。天気は悪いということになる。
はじめに予想フェイズ。手番プレイヤーから順に全員、どの列でもいいので、天気がよい(+2以上)なら建物の3階、普通(+1〜-1)なら2階、天気が悪い(-2以下)なら1階に自分のコマを置く。どの予想も先着2名で、同じ建物には1人1つしか置けない。
予想が終わったら、手番プレイヤーがお天気タイルを2枚めくるか、1枚を手札またはストックと交換して1枚めくる。次第に明らかになってくるお天気の全容。1列4枚が全部めくられた時点で、正解した人は+4点(2番目に置くと2点)、外れた人は−1点。1枚めくったことで複数の列が同時に決まることもある。お天気タイルが全部めくられるか、誰かの得点コマがゴールまでいったら終了。
序盤はめくるだけで運まかせだと思っていたが、手札のお天気タイルと交換し始めると途端に大人のゲームに変貌した。交換した人の予想を見て、どのタイルを投入したのか推理する。そこが大雨ならこっちの列も天気は悪そうだ。しかしそれでは都合が悪いから、このタイルを交換してよい天気にしようか。しかしもともと交換したタイルはブラフ?
自分だけが知っている手札と交換できるのはゲーム中1回だけで、あとは誰も中身を知らない場札と交換することになる。今度はカウンティングと確率計算が重要……これって本当にキッズゲーム?
タイミングよい予想で独走する鴉さんを追いかける展開。序盤はハズレまくったが、中盤からコツをつかんで追い上げた。やがて交換につぐ交換で天気を操作しまくり、一進一退の攻防に。最後に漁夫の利で予想が当たった私が頭ひとつ抜けて1位。天気を自分だけ知っている優越感と、ほかの人しか知らないところの読み合いを堪能できた。
Donnerwetter
P.レーヴェ/ハバ(1991年)
2〜4人用/10歳以上/30分
絶版・入手難