精緻な庭師の仕事
庭師となって、いろいろなかたちの花タイルを隙間なく置いて美しい庭を作るボードゲーム。ベルリンのボードゲームカフェ「シュピールヴィーゼ」(TGiWレポート)がローゼンベルクに委嘱して制作し、シュピール’16で発表した作品である。ボードゲームカフェの常連がお店でテストプレイを重ねただけあって、遊びやすさと戦略性をバランスよく兼ね備えたゲームとなっている。
中央には植木屋ボードがあり、4×4のマスにさまざまな花タイルが置かれている。各自2枚の区画ボードをもってゲームスタート。
手番には植木屋ボードの1つの列(サイコロが目印)から花タイルを1枚選び、自分の区画ボードに配置する。次に自分の手番が来たときに取ることのできる列が予め分かっているため、計画的に選ぶことができる(なお、どんどん取られて1つの列にあるタイルが1枚以下になると補充されるが、何が補充されるかも予め分かっている)。ほしいタイルがなければ、1マスだけの植木鉢タイルを取って区画ボードに配置する。
区画ボードは5×5マスになっており、植木鉢やガラスが描かれたマスがある。花タイルをここにのせてもよい(が得点は減る)。花タイルをのせたら手番終了。サイコロを次の列に移動して、次のプレイヤーがその列から花タイルを選ぶ(サイコロは振らないので、運の要素はない)。
こうしているうちに、植木鉢・ガラス以外のマス全部、タイルで埋めることができたら庭が完成して得点が入る。
得点は植木鉢が1点、ガラスが2点。予め描かれている植木鉢やガラスを避けてタイルを置くことがポイントだが、そう都合のよいタイルがあるわけではない。早く埋めて次の庭に取り掛かるか、ぴったりのタイルをじっくり待つか。2枚の区画ボードを柔軟に使い分けるとよいだろう。
スコアトラックでは植木鉢とガラスの得点が別々に入るようになっており、しかも得点キューブが3つずつある。キューブが中央の線を超えるとネコチップがもらえるので、まんべんなく進めたい一方、最初に最後のマスまで到達すると蜂の巣タイル(最後にボーナス点)がもらえるので悩ましい。
完成した庭のタイルを戻し、新しい区画タイルを取って新しい庭に取り掛かる。
このように『パッチワーク』以上にパズル思考を要求されるが、テーマが花畑なので雰囲気は和やかだ。しかしサイコロが植木屋ボードを回って6ラウンド目に入ると、一気に慌ただしくなる。ここからは自分の庭を完成させるまで、自分の手番が来るたびに2点を支払わなければならない。完成した人からゲームを抜けることができる(新しい区画タイルは取らない)。したがって5ラウンド目の最後のあたりまでに完成する目処をつけておかないとたいへんなことになるだろう。
全ての庭が完成したらゲーム終了で、キューブの位置に従って得点を計算して多い人が勝つ。
ベルリンのボードゲームカフェ「シュピールヴィーゼ」で2回プレイ。1回目は早く庭を完成させることを心がけて回転を早くし1位を取ったが、2回目は2つの区画タイルをうまく使い分けて効率よく庭を作ったkarokuさんが勝利。庭の回転率を上げるのと、植木鉢やガラスのマスを避けるのを両立するのがチャレンジングだった。
同じ作者の『パッチワーク』(2014年)と同じく、テトリス状のタイルを配置するパズルチックなゲームであるが、4人でプレイできるようになっただけでなく、得点計算や終盤のルールにオリジナリティがあり、それでいて遊びやすい。同じくテトリス状のタイルを配置する『オーディンの祝祭』と合わせて、ローゼンベルクのテトリス三部作とでも呼ぶべきか。『パッチワーク』は2人用、『コテージガーデン』はミドルクラス、『オーディンの祝祭』はゲーマーズゲームというように各種用意されているのがすごい。
Cottage Garden
デザイン・U.ローゼンベルク/イラスト・A.ベークホフ/シュピールヴィーゼ出版(2016年)
1~4人用/8歳以上/45~60分