Posted in ら行

ルーピノ(Loopino)

カーリングカードゲーム?

小箱に入った60枚のカードでバラエティとウィットに富んだゲームを作り続けているアドルング社の中で、ひときわ異彩を放つゲーム。カードを投げて、ターゲットからの近さを競うというアクションゲームである。冬季オリンピックで流行ったカーリングを髣髴とさせる。
スタートプレイヤーがターゲットカードをテーブルに置いたらゲームスタート。予め決めておいたリリースポイントから順番に1枚ずつカードを「投げる」。フリスビーのように回転させてもよし、テーブルの上を滑らせてもよし、上から放り投げてもよし。
全員が6枚全部のカードを投げ終わったら、どのカードがターゲットから近かったかを調べる。カードには四隅に+マークがついていて、この+マーク同士の近さを測る。親切なことに長さを図る目盛りまで付いていて、ミリ単位で決着がつく。
カードには1〜6の数字があって、一番近かったカードの数を見て、その枚数だけ近い順に得点が入る。4だったら、4枚が得点対象。そして得点は、カードの数字×今空いている(ほかのカードに覆われていない)+マーク。
カードの順番は自由だが、数字の小さい順に出すとよいだろう。そうすれば大きい数字のカードがほかのカードに覆われたり、はね飛ばされたりする可能性が減る。また1枚投げるごとに腕が上がってくるかもしれない。相手のカードを覆いつつ、ターゲットカードのすぐそばに入れられたら最高だ。
とはいえ、テーブルから落ちたり、裏返ったりすることもしばしば。今回はさらに、ターゲットのはるか手前で止まったカードに、ほかのカードもひっかかって吹き溜まりのようになっていた。6のカードで最高点をマークしたtomokさんが優勝。
真剣にやったからといって上手にできるわけではないが、投げ方を工夫したり、角度をつけたりと皆さん研究熱心なのがかえって笑えた。
Loopino
K.アドルング/アドルング・シュピーレ(1997年)
2〜10人用/6歳以上/10分
プレイスペース広島:ルーピノ

Posted in エッセイ

デザイナー買い

まだウェブにはアップされていないが『シュピール』16号が届いた。残念ながら今号で休刊になるが、「ボードゲームのしょ〜もない楽しみ方」というコラムのテーマが「デザイナー買い」で面白かった。関西のゆうもあ会員のMさんは、クニツィアと聞くと日本語ルールがなくても条件反射で購入してしまう。で、クニツィア4号あたりを引いてがっかりするという話。
※クニツィア4号
近年のクニツィアはフリークに背を向けてライト路線を突っ走っており、そんな路線に満足できない一部のファンが、クニツィアにはゴーストライターが何人もいて、キレがないのは偽クニツィアだという話。2号より3号、3号より4号が劣るとか。
デザイナー買いは、本の著者買いのようなもので、一度遊んで気に入ったゲームのデザイナーを覚えておいて、そのデザイナーの別のゲームが出たら買うというものだ。日本のボードゲームではまずないが、ドイツゲームは箱の目立つところにしっかりデザイナー(作者)の名前が入っている。ドイツゲームが「デザイナーズゲーム」と呼ばれる所以である。
私がデザイナー買いをしているのは、まずシュテファン・ドーラ(pgdb作品リスト)である。大賞を取ったことはないし、正直微妙なゲームもある。だが、この人の作品に共通するのはルールのシンプルさである。しばらく遊んでいなくても、ルールをちょっと確認すればすぐ遊べるというのは大きい。そしてシンプルであるがゆえに何を目指せばよいのかはっきりしており、すぐにゲームに没頭できる。そして、ルールの中に何かしらオリジナリティがあり、遊んでいて既視感がない。さらに、乱発せずじっくり作りこんでいるのが遊んでいて感じられるのもよい。寡作であることは、収納的にも嬉しい。というわけで、ほぼコンプリートしている。
残念ながらシュテファン・ドーラに会ったことはない。いろんなメーカーから出しているので、エッセンでどこかに行けば必ず会えるわけではないのだ。去年のエッセンでは『エルパソ』を出したツォッホ社で張っていたがとうとう捕まらなかった。会ってインタビューするのが夢である。
あとはウヴェ・ローゼンベルク(pgdb作品リスト)、ロベルト・フラガ(pgdb作品リスト)は、奇想天外なデザイナーだけに必ずチェックしている。
一方、大賞作家の3K(ヴォルフガング・クラマー、ライナー・クニツィア、クラウス・トイバー)はスルーすることも多い。よいゲームとそうでないゲームの落差が大きすぎる。売れっ子作家は、いろんな要望にこたえなければいけないからたいへんだ。
傑作を生み出したデザイナーは、次の作品が注目され、一発屋になるかどうかが決まる(拡張ばかりでは……)。新人デザイナーは、1つ2つと着実によい作品を積み重ねることで自ずと知名度が上がる。このようにデザイナーという視点でゲームを見ると、また別なものが見えてくるだろう。同じデザイナーでも、時系列で並べるとひとつのアイデアを練りこんでいった過程が見て取れることがある。
仲間に聞いたところ、マーティン・ワレス、ヴラーダ・フヴァティル、ミヒャエル・シャハト、トム・リーマンなどが挙げられた。いずれも独特の癖を持っていて近年注目を浴びているデザイナーである。
みなさんのデザイナー買いは何ですか?