ペリカンベイ(Pelikan Bay)
広ーく、かつ複雑に
『ごきぶりポーカー』『おばけキャッチ』『グラフィティ』などの小気味よい作品を生み出しているJ.ツァイメット(ゼメ)が、夕日のドライハーゼンから先月発表したばかりの新作。ツァイメットはもともとドライマギア社とつながりが深く、J.ルッティンガー元社長が夕日のドライハーゼンを立ち上げると、そちらでも作品を発表するようになった。カードゲームが多いツァイメットにとって、非カードゲームであるというだけで興味をひかれる。
六角形のタイルを配置して、大きい地形を作るというゲーム。クニツィアの『頭脳絶好調』や『京都(仮)』に通じるシステムだが、前の人にどこまで便乗できるか、あるいは次の人にいかにして便乗させないかがゲームの面白さである。
手番には手持ちの2枚のタイルから、1~2枚を配置して地形を広げる。タイルはほかのタイルに2辺以上接していなくてはならず、かつ地形も揃っていなければならない。地形は森と砂浜と海の3種類。
タイルを置いたとき、そのタイルからつながっている地形のうち、最も広いものがタイル枚数だけ得点となる。したがって、前の人が広げた地形にさらにつなげれば、得点はどんどん大きくなっていくことになる。
一方、あまり広くなくとも地形を完全に閉じれば(周囲を別の地形にして、それ以上どこにも広げられない状態にすれば)、ペリカンコマがもらえ、手番を続けてできる。このペリカンコマは、ゲーム終了時にボーナス。広い地形に便乗するか、あるいは手頃な地形を選んで閉じにいくか、考えどころである。
ここまで読んでお気づきの方もいるかもしれないが、間違いなく後手番有利である。そのため、先手番にはゲーム中1回だけ、閉じていない地形を閉じたことにして得点をもらえる「ペリカンジョーカー」の権利がある。地形が広がった後半で使いたい。
妻と2人で勝負。タイルのパターンが思ったより多くて、置けそうで置けない。特に高得点のところになるほど、地形が入り乱れていて置けるタイルが限られてくる。その分、ピタリとはまって高得点できたときが気持ちよかった。大きな地形がもうこれ以上広げられなさそうなときに、代わりにどこを広げるかで頭を使った。
Pelikan Bay
J.ツァイメット/ドライハーゼン(2013年)
2~4人用/10歳以上/30~40分
国内未発売
『サンダーストーン拡張5:最後の血戦』日本語版、5月11日発売
アークライトは5月11日、デッキ構築RPGゲーム『サンダーストーン』の最終拡張セット『最後の血戦(Heart of Doom)』を日本語版で発売する。1〜5人用、12歳以上、45分、3780円。プレイするためには『サンダーストーン』基本セットか拡張セット3『竜の尖塔』が必要。
『精霊獣の怒り』『宿命の軍団』『竜の尖塔』『ソーンウッドの猛襲』に続いて一昨年リリースされた5番目の拡張セット。沼の奥深くにある廃墟と化した神殿のなかで、プレイヤーたちは〈宿命〉そのものと対決する。クライマックスには、シリーズの発売当初から計画されていたという特別な展開が待ち受けている。
新しい英雄や新しいモンスターのほか、ダンジョン内に新たな階層を生み出す効果や、「最後の血戦(Doom)」を演出する特別なシナリオなど、新しい仕掛けも満載だ。
なおオリジナルのAEG社(アメリカ)では、この拡張を最後としつつ、昨年からは『サンダーストーン・アドバンス』シリーズを発売している。サンダーストーンの世界はまだまだ終わらない。
・アークライトゲームズ:サンダーストーン拡張5 最後の血戦
・Alderac Entertainment Group:Heart of Doom