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ワンダーランド(Wunderland)

旅は道連れ

ドイツ・ハンブルクにあるジオラマテーマパーク「ミニチュアワンダーランド」。日本にも「東武ワールドスクウェア」(栃木県日光市)があるが、東武ワールドスクウェアが25分の1スケールで屋外展示なのと比べ、ミニチュアワンダーランドは87分の1スケールという精巧さと、室内展示ならではの照明を生かした展示が売りである。2020年に完成予定だが、できあがったところから一般公開しており、年間100万人以上が訪れる。

年々来場者が増えているミニチュアワンダーランドの関連グッズとして、DVDなどと共に販売されているのがこのボードゲームである。ミニチュアの写真をボードやカードにふんだんに使い、ジオラマ好きにはたまらない。ゲームとしては、ファミリー向けのシンプルなルール。それでいて「同行」というルールが考えどころを作っている。

各自コマをいくつかもっており、これをボード上の各地に効率よく送って、目的地カードを達成したり、絵葉書カードを集めたりするのがゲームの目的。全てのコマは、ミニチュアワンダーランドの仮想都市クヌッフィンゲンからスタートする。

ワンダーランド

手番には、1ヶ所選んで、そこにある自分のコマをいくつでも、2マスまで移動する。手札に配られる目的地カードの全ての場所に自分のコマがあれば、達成したことになって得点。達成したコマはまたクヌッフィンゲンに戻って、次の目的地を目指す。

ボードはドイツのほか、スイス、オーストリア、アメリカなどいくつかのエリアに分かれており、それぞれ絵はがきをもらえるスポットがある。ここからコマを引き上げると、絵はがきカードをゲット。たくさんのエリアで集めるほど、絵はがきの価値は上がっていく。目的地カードの達成を優先するか、絵葉書収集を優先するかはプレイヤー次第だ。

効率よく移動するのに重要なのが「同行」ルール。ほかのプレイヤーが選んだ場所に自分のコマがあると、一緒についていくことができる。このコバンザメ的な移動で、遠くを狙う。「Win-Winで行きましょう」「って自分は全然進めてないでしょ!」

相乗りで遠方にどんどん移動して目的地カードを達成しまくったnagaさんが1位。目的地カードのペースが早すぎて、絵はがき組は全く振るわなかった。目的地カードと絵はがきの両方に終了条件があるので、みんながどちらに注力しているか見極めて優先順位を考えることも必要そうだ。

Wunderland
D.ヒルブレヒト/ペガサスシュピーレ(2013年)
2~4人用/8歳以上/50分
ショップ検索:ワンダーランド

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ペリカンベイ(Pelikan Bay)

広ーく、かつ複雑に

『ごきぶりポーカー』『おばけキャッチ』『グラフィティ』などの小気味よい作品を生み出しているJ.ツァイメット(ゼメ)が、夕日のドライハーゼンから先月発表したばかりの新作。ツァイメットはもともとドライマギア社とつながりが深く、J.ルッティンガー元社長が夕日のドライハーゼンを立ち上げると、そちらでも作品を発表するようになった。カードゲームが多いツァイメットにとって、非カードゲームであるというだけで興味をひかれる。

六角形のタイルを配置して、大きい地形を作るというゲーム。クニツィアの『頭脳絶好調』や『京都(仮)』に通じるシステムだが、前の人にどこまで便乗できるか、あるいは次の人にいかにして便乗させないかがゲームの面白さである。

ペリカンベイ

手番には手持ちの2枚のタイルから、1~2枚を配置して地形を広げる。タイルはほかのタイルに2辺以上接していなくてはならず、かつ地形も揃っていなければならない。地形は森と砂浜と海の3種類。

タイルを置いたとき、そのタイルからつながっている地形のうち、最も広いものがタイル枚数だけ得点となる。したがって、前の人が広げた地形にさらにつなげれば、得点はどんどん大きくなっていくことになる。

一方、あまり広くなくとも地形を完全に閉じれば(周囲を別の地形にして、それ以上どこにも広げられない状態にすれば)、ペリカンコマがもらえ、手番を続けてできる。このペリカンコマは、ゲーム終了時にボーナス。広い地形に便乗するか、あるいは手頃な地形を選んで閉じにいくか、考えどころである。

ここまで読んでお気づきの方もいるかもしれないが、間違いなく後手番有利である。そのため、先手番にはゲーム中1回だけ、閉じていない地形を閉じたことにして得点をもらえる「ペリカンジョーカー」の権利がある。地形が広がった後半で使いたい。

妻と2人で勝負。タイルのパターンが思ったより多くて、置けそうで置けない。特に高得点のところになるほど、地形が入り乱れていて置けるタイルが限られてくる。その分、ピタリとはまって高得点できたときが気持ちよかった。大きな地形がもうこれ以上広げられなさそうなときに、代わりにどこを広げるかで頭を使った。

Pelikan Bay
J.ツァイメット/ドライハーゼン(2013年)
2~4人用/10歳以上/30~40分
国内未発売