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ランペイジ:怪獣征服(Rampage)

大胆に、そして繊細に
ランペイジ:怪獣征服
怪獣たちが街を破壊して建物や人を食べるボードゲーム。人気のフランス人デザイナーによる遊び心あふれる作品である。制作発表から発売までに長い時間を要しただけあって、素晴らしいコンポーネントである。
建物は床タイルとミープル(人型のコマ)を重ねて作り、中央にサッカースタジアムがあるこの街。怪獣たちが四隅から破壊を始めるのだ。ギャース!
自分の番に怪獣でできることは2アクション。基本的に次の4つを組み合わせる。いずれもほどよい力加減が大切で、強すぎても弱すぎてもいけない。

    移動:怪獣の足コマをおはじきし、移動先に怪獣を乗せる。勢い余って盤外に出てしまうと牙を取られる
    車:怪獣の頭の上に車コマを乗せておはじきし、建物に当てる
    踏みつぶす:隣接する建物の上から怪獣を落下させる
    ビーム:怪獣の上にあごを乗せて建物に強く息を吹きかける。勢いが強すぎてミープルが盤外に飛び出ると、逆襲されて牙を失うこともある

破壊によってミープルがなくなった床タイルや、地面に落ちたミープルを怪獣は食べ、これが最後に得点になる。牙が減ると、一度に食べられる数が減るので注意したい。
床タイルが全部なくなったらゲーム終了。ミープルは6種類1セットで10点、床タイルは1枚1点、ほかの怪獣を倒したりして奪った牙が1つ2点、そして各自が持っているキャラクターカードの条件に沿ってボーナス点(金髪とヒーローのセットで得点など)となる。
各怪獣はパワーカードでいつも使える特殊能力と、必殺技カードで1回きりの特殊能力(使うまで非公開)があり、これを効果的に使ったり、使わせないように邪魔したりしなければならない。
ケルンから来たドイツ人たちと45分ほど。私のパワーカードはカンフー(車がなくても足コマを飛ばせる)だったが、足コマは車と比べると威力が弱い。序盤は近くの建物を踏みつぶしてから、まだ残っているところを目指した。右どなりの怪獣がビーム好きで、ひたすら息を吹きかけては建物を破壊する。ところが自分のエリアに落ちなくて、向かい側の怪獣が喜ぶばかり。結局、その怪獣はバレリーナ(1アクションで2回移動できる)を駆使してみーぷるを食べまくり、ダントツで1位。私は最後に必殺技で怪獣を投げ飛ばしたが、ミープルがあまり残っていなかった。
怪獣の位置に応じたアクション選択は考えどころだが、やりたい放題やって、盤上がどんどんメチャクチャになっていくのを楽しむゲームである。壊れ方が激しいほど、歓声(悲鳴?)が上がった。
Rampage
A.ボザ&L.モーブロン/ルポ・プロドゥクシオン(2013年)
2~4人用/10歳以上/45分
ホビージャパンから発売予定

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陰謀の街(Intrigue City)

立て直して崩されて
陰謀の街
街の中にある6つのギルドの影響力を調整して支持を取り付け、支配者を目指すボードゲーム。今年シュピールに初出展したギリシャのパープルゲームズの作品である。シュピールのプレビューで説明を聞いて興味を持ち、後でブースの前を通りかかったところで遊ばせてもらった。
マイボードには6つのギルドのマスが扇状になっている。いずれかのギルドに、影響力コマをちょうど6ポイント分置いた状態でラウンドを終えれば、そのギルドのカードがもらえる。
アクション選択は中央のボードにコマを置いて行うワーカープレイスメントである。コマを加えたり取り除いたり、移動したりして影響力を調整する。このとき、陰謀トラックで最も進んでいない人から手番を行うこと(いわゆる『テーベ』方式)と、ほかのプレイヤーのボードに手を加えて妨害できる攻撃コマの存在が面白い。
アクションには陰謀度があり、アクションを行うたびに陰謀トラックのコマを進める。手番は常に、最も進んでいない人から。ゲームを始めるとすぐに分かるが後手番が圧倒的に有利なので、陰謀トラックのコマはできるだけたくさん進めておきたい。一番進むのは「何もしない」というアクションだが、これもワーカープレイスメントによって1ラウンドに1人しか選択できない。
各プレイヤーは灰色の防御コマと黒の攻撃コマをもっており、どちらかをアクションスペースに置く。防御コマだったら自分のボードからコマを取捨でき、攻撃コマだったらほかの誰か(トップだと思う人)のボードからコマを取捨する。攻撃されると、影響力コマ6ポイントのギルドが崩されてしまうので、防御コマで立て直さなければならない。一方、攻撃する立場からすれば相手が完成した後のほうが有効だ。防御が先か、攻撃が先か悩むところである。その際、陰謀トラックによる手番順よく見ておきたい。
全員がコマを置き終わったら、影響力が6ポイントになっているマスのギルドカードを取る。このギルドカード、何ラウンドかに1回得点を増やすチャンスがあって、みんなの選択で1枚の価値が変わるようになっている。価値の高いギルドは、攻防がいっそう激しくなるだろう。
最後に陰謀トラックで最も多く進んでいる人などにボーナスがあり、手持ちのギルドカードの価値を計算して最も多い人の勝ち。
4人プレイで1時間程度。好調なkarokuさんをみんなで攻撃する展開。karokuさんは潰されたギルドに代わって次のギルドを育てるという周到な作戦で結局誰も追いつけず1位。攻撃が必須なので、序盤はまんべんなく、後半はトップの人に集中して叩き合うのがアグレッシブだった。攻撃された後の立て直し方にも工夫があるためにあまりすさまず、最後までエキサイティングなゲームだった。
Intrigue City
C.ギアナコウラス、M.ザハリアディス作/パープルゲームズ(2013年)
2~5人用/12歳以上/60分
国内未発売
Purple Games:Intrigue City