BC(BC)
投資するならBCに
仮想通貨BCのゲームと思いきや、BCとはボードゲームクリエイター(Boardgame Creator)の略だそうである。市井からBCを発掘し、高値で売り抜けて儲ける投資ゲーム。ブームが終わって無価値になる前に、売り抜けることはできるか。そして預金が引き落とせなくなる前に、現金化して勝者となるのは誰か? 時事ネタを巧みにゲーム化する芸無工房が、ゲームマーケット2014大阪で発表した作品。
ゲームは毎ラウンド、プロット式で進める。指値売り(金額を指定して相場以下なら売れる)、成り行き売り(相場で売る)、指値買い(金額を指定して相場以上なら買える)、成り行き買い(相場で買う)、発掘(1BCを無料で入手)、預金の入金・出金の6アクションから1つを選び、金額などとともに自分のシートに記入。全員が決まったら順番にアクションを行う。
相場が安いうちに買って、高くなったら売るのが基本。相場はサイコロで決めるが、チップがたくさん買われるほど振るサイコロの数が増えていく(チャートボードでチップが置かれていないマスのサイコロの数)。高いチップが買われると、サイコロの数はべらぼうに増えていき、買うときはサイコロ2個か3個(期待値で7~10)だった相場が、終盤にはサイコロ50個(期待値で175)にまで上がる。所有しているBCの激しい値上がりに、ウヒョーとなること必至。
しかし、サイコロを振ったときにプレイヤー人数より多く「1」の目が出ると即、ゲーム終了になってしまう。それまでBCの売り買いをしていた取引所は閉鎖。その前に出金のアクションを選んで、引き落としておいた現金だけの金額で勝敗を競う。ちなみにサイコロ50個を振って「1」の目が7つ以上出る確率は60%。期待値と、取引所閉鎖率の表がゲームに付属しているので分かりやすい。
6人プレイで1時間ほど。序盤不調だったcarlさんが中盤で大儲けし、序盤から好調だったぽちょむきんすたーさんと並ぶ。そのまま終了するかと思われたダイス50個で1が出ず、このときBCを売ったBumiさんが8億ゴックス(※このゲームの通貨単位)を稼いでトップに躍り出る。しかしここでみんながチップを売り払ったため相場が急降下し、もう1回買って売れるかというチャンスが訪れた。みんなが尻込みする中、鴉さんが果敢に400BCを購入。みんなが尻込みしたおかげでこれを難なく売ることができ、8億6千万ゴックスを稼いで1位を奪取した。最後はBumiさんが1200BCを買ってゲームを終わらせにかかったが、鴉さんの引き出しが1手早くそのまま勝利。ボードゲームクリエイター1200人って!
相場の急激な値上がりと、ゲーム終了のトリガーが連動していて実にスリリング。序盤に出遅れても、イチかバチかで買えた分で一気に儲けられるので追いつける。取引所が閉鎖になりそうなところでさらに買うか、それとも引き出して終了に備えるかという選択も悩ましく、最後まで熱中した。
BC
北条投了/芸無工房(2014年)
3~7人用/30~90分
ボードゲームフリーク:BC
ブラックストーリーズ:50の”黒い”物語(Black Stories: 50 rabenschwarze Rätsel)
なかなか手強い物語
犯罪、死体、殺人、自殺の事件の真相を、質問を通して推理していくドイツのカードゲーム。1枚1枚、表に事件、裏にその真相が書いてある。ひとりが「リドルマスター」となり、表に書いてある謎の事件を紹介。ほかのプレイヤーは、「はい」か「いいえ」で答えられる質問を繰り返し、思いついたら真相の予想を述べ、当たったら勝利する。
今回の第一問は「新しい日の夜明け」。ある美しい朝、女は目を覚ました。窓の外をひと目見て、彼女は自殺したという。リドルマスターは私が担当した。
「外の風景は自殺と関係ありますか」「はい」「自宅ですか」「分かりません」・・・なかなか絞り込めない様子である。そこでヒントを出した。「宗教関係です」そこからひらめきが進み、bashiさんが正解。正解が気になる方は、製品をお買い求め下さい(笑)。
続いてbashiさんがリドルマスターとなって第二問「名物料理のレストラン」。少女は名物料理のレストランでイグアナのステーキを注文した。一口食べた途端に店から飛び出し、大型トラックの前へ身を投げ出した。bashiさんによると一部で有名な「ウミガメのスープ」と同じ話だというが、回答者は知らなかった。「宗教関係ですか」「いいえ」「人肉食と関係がありますか」「はい、いい質問です!」そこからBumiさんがうまくまとめて正解した。正解が気になる方は(略)。
事件を読んだときの、全く見当もつかない感じはものすごい。しかしこのゲームが『ブラックストーリーズ』というタイトルであるところがちょっとヒントで、ホラーや宗教の線で絞り込んでいくといいようだ。ある程度状況が飲み込めたところで、正解にたどり着くのがまた難儀。その最後のひとひねりが見事ひらめいたときは嬉しい。
どんな質問をしたらよいか見当もつかず、お地蔵さんになってしまう人もいた。でも考えても始まらないので、どんどん質問をして、ほかの人の質問に便乗していく。数撃ちゃ当たるで、手応えがあったらそこを深めていく。そんなブレインストーミングのような会話がこのゲームの楽しみ方ではないかと思う。
Black Stories: 50 rabenschwarze Rätsel
H.ベーシュ/モーゼス出版(2004年)・コザイク(日本語版、2014年)
2~15人用/12歳以上/20分