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シュピール16:カルタムンディ・セミナー

ベルギーのボードゲーム製造会社カルタ・ムンディがシュピール1日目の夕方に開いたセミナー「You create it, we make it.」を聴講した。
カルタ・ムンディはヨーロッパのボードゲーム製造最大手で、各社の印刷・裁断・箱詰め・梱包までを行い、『アグリコラ』も『ドミニオン』も、ここが製造を担当している。近年はボードゲームの製作数が増え、キャパシティいっぱいいっぱいという状況だ。今回のシュピールでもぎりぎり間に合ったケースが相次いだという。
そのカルタムンディのセミナーの目的は、iPadなどのデジタルデバイスを使った新しい技術を紹介し、デジタルと融合したボードゲームを開発するパートナーを探すものである。すでにタッチパネルで認識できる「iCards」を開発し、タッチパネルの上にカードをかざしたり、移動したりして遊べるゲームも制作している。
自社の宣伝ばかりではいけないと思ったのか、動画レビューサイト「Dice Tower」のT.ヴァーセル氏と、ルックアウトシュピーレのK.フランツ氏が招待されて短い講演を行った。
T.ヴァーセル氏は、スマートフォンをひとつのギミックとして捉え、新しいタイプのゲームを生み出し、デジタルゲームからの愛好者を呼び込む可能性を提示。特にスマホ世代には、デジタルデバイスとのリンクが必要であると説いた。

これに対しK.フランツ氏は「何で私が呼ばれたのか分からない」としつつ、ゲームをアップグレードするのは技術ではなく楽しさが先立たなければならないといった。『アルケミスト』(チェコゲーム出版)でスマホのアプリを使うことでゲーム進行をスムーズにした例を挙げつつ、ダイスを振るといった手続きは「感情的な要素」があるためアプリにしたくないことや、デジタル処理が早くなりすぎて慣れない人にとってはダウンタイムが目立ってしまう恐れを指摘した。

イラストはコンピュータで作画され、宣伝や口コミはネットで行われるというように、ボードゲームの周辺ではすでにデジタル化がどんどん進行している。それがさらに進んで、『アニュビスの仮面』のようにボードゲーム自体にもデジタルデバイスが中心的に利用されるケースが出てきた。しかしこの新しい技術は、アナログゲームの性質と相容れない部分もある。今後の活用方法について考えると、ゲームとは何かという原点に立ち返る必要も出てきそうで、なかなか興味深い問題である。

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シュピール16:ドイツゲーム賞授賞式

世界最大のボードゲームイベント「シュピール」の前夜祭意を兼ねて、12日に関係者によるドイツゲーム賞授賞式が行われた。結果は前もって発表されており、10位から順番にデザイナーと出版社の代表が壇上に上がり、賞状やトロフィーを受け取る。
エッセン金の羽根賞と、4位から10位までがまず壇上で賞状を受け取った。

3位からは個別のインタビューがある。3位の『タイムストーリーズ』ではデザイナーのM.ロゾイ氏(左)がフランス語で話したのを、スペースカウボーイズのS.ポーション氏(中央)がドイツ語に翻訳していた。

2位は『コードネーム』。デザイナーのV.フヴァチル氏(左)とチェコゲーム出版の社長(中央)が「我々は小さい出版社なので、24か国語でこのゲームを売るにはたくさんのパートナーが必要」と語った。右側はドイツ語版を扱ったハイデルベルガー社の人。

1位は『モンバサ』。デザイナーのA.プフィスター氏が、同じエッガート社からこのたび発売される『グレートウェスタントレイル』について訊かれていた。右側は出版したエッガート・シュピーレと、ドイツ国内での販売を受けもつペガサス・シュピーレの人。

3位までの入賞作と、キッズゲーム賞を受賞した『レオ』の展示。ディスプレイ用の大きな箱が作られるが、大きさはまちまちだ。

最後に特別賞を受賞したK.M.ヴォルフ氏。ボードゲームのレビュアー、ニュースサイト管理者、ゲーム賞の審査員などを30年以上の長きにわたって務めた。特別賞を受賞するのは。W.クラマー氏以来となる。

授賞式が終わると食事会。隣り合わせたドイツのご夫婦は、シュピールの参加が旦那さんが29回目、奥さんが14回目になるという。ドイツのボードゲーム市場が今、活況を呈しているのも、このように長い年月支えてきた愛好者の力によるところが大きいなと感じた。