裏切り者のあぶり出し
大ヒットとなった協力トリックテイキングゲーム『ザ・クルー:第9惑星の探索』『ザ・クルー:深海に眠る遺跡』に続いてコスモス社が今秋発売したのは、裏切り者のいる協力トリックテイキングゲームだった。同種の作品としては『シャーマンズ』(2021)が記憶に新しいが、こちらのほうはもっとシンプルでスピーディーである。
役職カードが配られ、「エージェント」の中に1人だけ「インサイダー」が潜んでいる状態でゲームは進行する。毎トリック、「カードを昇順に出す」「奇数だけ出す」などのミッションと切り札スートが発表され(選ぶのはリードプレイヤー)、規定数達成すればエージェントの勝利となる。
トリックを取った人はスーツケースがもらえるが、インサイダーはこのスーツケースを規定枚数獲得すると勝利となる。そのため、エージェントとしてはインサイダーがわからない状態で誰かを勝ちっ放しにさせないほうがよい。
トリックテイキングはマストフォローだが、インサイダーのみメイフォローとなっている。ミッションを達成できる手札がないふりをして失敗にもちこみつつ、トリックはしっかり取っていくというのがインサイダーの戦略である。
マストフォローでの手札の都合があるために、ミッションの成否でインサイダーを特定するのは難しい。ミッションの成否も、トリックの獲得も最終手番のプレイヤーのカードに懸かっているので、最終手番でミッションを失敗させたり、トリックを人より多く取ったりする行動にマークしておくことになる。
スーツケースをカードと一緒に出すと切り札スートにできるが、トリックを取った人がそのスーツケースも総取りする(選択ルール)。インサイダーが最終手番でスーツケースを出すと勝ちやすいので、用心しておいたほうがよい。
エージェントもインサイダーも勝利条件を満たさないまま規定トリックを行うと、最後に一斉指差しのインサイダー投票を行う。インサイダーが最多投票ならばエージェントの勝利、そうでなければインサイダー勝利。
さまざまな効果を持った追加の役職カードもあるが、基本はシンプルで時間も短い。続けてプレイしてさまざまな展開を楽しめるだろう。
Inside Job
ゲームデザイン:T.サイモンス/イラスト:M.ブラハ
コスモス(ドイツ)
2~5人用/10歳以上/20分