4つのゲームを同時進行
森の世界「ウッドランド」を舞台に、4つの勢力がそれぞれ異なる目的に沿って勝利点を競う非対称ボードゲーム。ゴールデンギーク賞2018、オリジンズ賞2019でどちらも大賞を受賞した今年の注目作で、今月末、アークライトから日本語版が発売される。
はじめ盤上には「マルキス・デ・キャット」※の勢力が広がっており、木材を集めて建物を建設している。これに対し「鷲の王族」は反乱軍として徐々に支配地域を広げ、その拠点となる止まり木を作る。第三陣営の「ウッドランド連合」があちこちでゲリラ戦を展開し、賛同者を増やす。最後に「ヴァガボンド」は一匹狼で、各勢力からアイテムを集め、クエストを達成する。それぞれ勝利点になるものが異なり、先に30勝利点を獲得したプレイヤーが勝者となる。
各プレイヤーはいずれかの勢力を担当し、個人ボードに手番の進め方が書いてある。それほど複雑ではないが、ほかのプレイヤーと全く違うので、ルールを正しく運用しているか相互チェックができず、初プレイではかなり戸惑う。しかし慣れてくると、それぞれの勢力をプレイする醍醐味が分かってくる。
マルキス・デ・キャットは3建物の建設、鷲の王族はアクションのプロット、ウッドランド連合はアクションポイント、ヴァガボンドはセットコレクションと、それぞれにメカニズムの魅力がある。ほかのプレイヤーの手番も楽しそうで、次は別の勢力でやってみたいと思わせる。
全体的にはエリアマジョリティーの要素があり、戦闘はどの勢力も可能だ。(主にトップ目を狙った)直接攻撃もあるが、相討ちになって漁夫の利になったり、ほかの勢力を支援したりできるので、その重みがプレイヤーによって異なってくる。
勢力ごとに違う方法で毎手番ごとに得点が入り、しかもだんだん得点が増えるようになっているのでプレイ時間が長引かないのもよい。
今回私は「ヴァガボンド」となり、戦闘を繰り広げるほか3勢力を尻目にアイテム集めに東奔西走。アイテムは途中に落ちていたり、ほかのプレイヤーが作るのをもらったりして集め、クエストカードの通りにセットができると得点が入る。よく取引するプレイヤーとは関係性が高まり、一緒に移動・戦闘したり、支援するたびに勝利点が入ったりするが、そこまで狭く深くお付き合いできず。その間にウッドランド連合のcarlさんがダイスの出目を逆転させるゲリラ戦で勢力をどんどん伸ばし勝利。
ほかのプレイヤーにはできない特殊能力がもてるゲームは多々あれど、能力どころか進め方から根本的に異なるプレイヤーが同じ盤上で競い合うのはとても新鮮で楽しめた。
Root
ゲームデザイン・C.ウェールレ、イラスト・K.フェリン
レダーゲームズ(2018年)
2~4人用/10歳以上/60~90分
※勢力名はサイコロ堂の日本語ルールに基づく。アークライトによる日本語版は「マルキス・デ・キャット」→「猫野侯国」、「鷲の王族」→「鷲巣王朝」、「ウッドランド連合」→「森林連合」、「ヴァガボンド」→「放浪部族」。