価値が乱高下する女王
ドイツのボードゲームイベント「シュピール’13」で発売された『ボーナンザ』シリーズ新作。出版はルックアウトでもアミーゴでもなく、ウィーンのオーストリアボードゲーム博物館である。タイトルになっているシシィとは、オーストリア皇后エリーザベト(1837-1898)の愛称。50豆になっていて、やたらたくさん出てくる。そのほかの豆は18豆と20豆がおらず、イラストがオーストリア風になっている。
手札の順序を変えずに豆を植えて、山札から引いたカードをトレードして植えるというところは『ボーナンザ』と同じ。同じ豆をたくさん植えれば植えるほどお金になるが、畑は2つしかないのに、いろいろな種類の豆が出てくるので、育つ前に収穫しなければいけないのが悩ましい。
『シシィ』の特別ルールは3つ。まずどの豆を植えるにも、50豆を1枚おきに挟み込まなければならないというルール。6豆だったら、6豆→50豆→6豆→50豆……というように重ねていかなければいけない。かさが増えてお金が増えるのではないかと思ったら大間違い。手札からも、山札からも、そう都合よく交互にカードは出てこないので、植え替えを余儀なくされることが多い。
それから、手番の最後に50豆が一番上にある畑は、強制的に収穫しなければいけないこと。50豆が一番上にあると、50豆のレート(かなり安い)にしかならない。6豆→50豆→6豆→50豆ときて、6豆が出せればもっと育てて3ターラーを目指せるが、6豆がないと1ターラーに終わってしまう。
そして手番の最後に、全員が1枚ずつ補充するというルール。このため手札はみるみるうちに膨れ上がり、交渉でどんどんほかのプレイヤーに放出しないとほしい豆が出せない。
この3つのルールによって、交渉は非常に活発になる。50豆の汎用性が高いので、高レートで取引されるのだが、みんなが50豆をもってしまうと一転して価値が下がるところが面白い。交換材料はよりダイナミックで、4枚、5枚と一気にカードが行き交うこともあった。「16豆2枚と50豆2枚あげますから、50豆下さい」もう訳分からん。
5人プレイで45分ほど。最初は50豆の価値をはかりかねていたが、ほかの人の手番中に植えてかさを増やしておくことの重要性が分かると価値が跳ね上がった。手札もふんだんにあるので贈与も派手。『ボーナンザ』はシビアな計算のいらない交渉ゲームだが、かといって相手が得しすぎるのもいけない。いくら手札が余っていても、絞るところは絞り、8豆と10豆を辛抱強く育てた私が僅差で1位。
Sissi!: Die Bohnenkaiserin
U.ローゼンベルク/オーストリアボードゲーム博物館(2013年)
3~5人用/12歳以上/45分
国内未発売
今日初めて遊んで、面白いと思いました。
ただ、ギークでの英訳やフォーラムを見ると、ルールが異なるようです。
>まずどの豆を植えるにも、50豆を1枚おきに挟み込まなければならないというルール。
>手番の最後に50豆が一番上にある畑は、強制的に収穫しなければいけないこと。
これは50豆からはじめても他の豆からはじめても構いません。交互ならば良いのです。ただし、交互でなく、50豆の上に50豆(を何枚でも)や通常の豆の上に通常の豆(を何枚でも)ということもできますが、その場合は手番終了時に強制的に収穫しなければなりません。交互になっていて50豆が一番上ならば強制収穫の対象にはなりません。
>けがわさん
自分も公開の英訳を読んでいた中で「…にも関わらず、シシー豆はシシー豆に、キャプテン豆はキャプテン豆に、一時的に置く事が出来る」的な部分があったので「常に交互に置く必要はあるのか」という疑問符が残っていたのですが、解決したので助かりました。
昨年こちらの記事を読んで以来、シシーはずっと欲しいと思っていたのですが、国内販売は暫く期待できなさそうなので、ちょうど先週注文したところでした。
届いて遊べるのがより楽しみになりました。