カードで攻防
フランスの王位継承をめぐって14世紀に始まった百年戦争。イングランドを勝利に導いたエドワード黒太子がこの作品のタイトルになっている。対するはフランス王フィリップ6世。カードを用いるチェスライクなボードゲームである。ドライマギア社を設立したヨハン・リュッティンガーの処女作で、1983年にドイツ年間ゲーム大賞候補作品に選ばれた。
両陣営には4種類のコマがある。いずれも8方向に移動できるが、歩兵は1マス、テントは2マスまで、騎兵は3マスまで、黒太子/フィリップは何マスでも移動できる。テントは防御専用のコマで攻撃はできない。
お互いに1手番ずつコマを移動して、相手のマスに入ったら攻撃である。3枚の手札から1枚を出し、相手が対抗できなければそのコマを盤上から取り除く。攻撃できるカードは弓矢、剣、槍の3種類で、対抗できるカードはそれぞれ盾、鎖帷子、鎧になっている。手札交換もできるが、何を引いてくるか分からないので、防御できるかどうかは運次第。
攻撃に成功すれば引き続き手番を行い、さらに別のコマを攻撃してもよい。防御されると相手の手番になり、同じ場所で反撃されることもある。
テントを集めて縦横に囲めば、相手の王様しか攻撃できなくなる。ただし、相手のテントを一度にばらばらにできるカードもあるので、一時的な守りしかできないだろう。
このほかに、自分の歩兵や騎士を復活させたり、相手の歩兵や騎士をいきなり取り除いたりするカードもある。相手の王様を取るか、歩兵と騎士を全滅させれば勝ち。
くさのまさんと一戦。相手の歩兵や騎士をいきなり取り除くカードが出されて、盤面からコマが減っていく。テントを集めてもカードでばらばらにされてしまう。その上攻撃しても必ず取れるわけではないから、盤上の位置取りはほとんど意味をなさない。しかし、その分戦闘が熱い。終盤は取ったり取られたりの激しい攻防の末、くさのまさんの黒太子を討ち取って終了。
古き良き時代のゲームである。チェスや将棋でも、相手のコマがあるマスに入ったとき、じゃんけんで勝たないと取れないルールだったら、勝つチャンスが均等になるかもしれない。
Der schwarze Prinz
J.リュッティンガー/ノリスシュピーレ(1983年)
2人用/8歳以上/40分
絶版・入手難
待ってました!(笑)
良い方向に解釈すれば、本来アブストラクトなチェスにカードジャンケンバトルというおおざっぱな運要素を加えて実力差の調整をしているわけですね。将棋で言えば、歩が正面からのガチバトルで鎧の隙間に脇差しを突き立てて竜王を討ち取る、みたいな、まさかの。
男のロマンですね。
違いますね。
逆に言えば棋力無視ですからまともに研鑽する気が失せるというか。ヨハン・リュッティンガーがドライマギアでターゲットにしたかった客層は知りませんが、親子で遊ぶにはちょうどいいのかもしれませんね。ノリスでの作品群は渋すぎですが(笑)
ということで、さっそく入荷して和訳をお待ちしています(完全に他力本願)
お待たせいたしました。日本語ルールも鋭意翻訳中です。
もしかしたら防御カードをもっていないときでも弱気な移動をしないなどのブラフも可能かもしれません。歩数が少なくても不利でないので、歩兵でも真正面から王将に向かっていけます。まあ、カードで真っ先に取り除かれますが(笑)。
王様は戦闘が怖いのでひたすら逃げることになるのも笑えました。