どの現場に運んでやろうか
船に石材を積み込んで5つの現場に届け、ピラミッドやオベリスクなどを建設するゲーム。オーストラリアのデザイナー、P.W.ハーディング(『すしごー』)がコスモス社(ドイツ)から発表した作品で、多様な得点方法の選択が悩ましい。
手番には石材をそりの上に3個補充するか、そりの上の石材を船に1個載せるか、石材が載った船を1隻空いている現場に移動するかの3択。船が現場に着くと、石材をおろしてさまざまなことが起こる。
市場では置いてあるカードを獲得する。カードは2アクションを続けて行えるもの、最後に得点になるもの、石材を直接現場に置けるものなどがあってゲームの進行を有利にしてくれる。
ピラミッドではピラミッド状に石材を積み、その位置によって得点。神殿は5つごとに重ねておき、ラウンド終了時に上から見えるものについて得点、埋葬室は石材を並べ、縦横につながっていればいるほど得点が増える。オベリスクは色ごとに分けて積み上げ、ゲーム終了時に高い順に得点が入る(現場ボードは表裏になっていて、少しずつ効果が異なり、自由に組み合わせて遊ぶことができる)。
なお石材は、船に載っている順で現場に下ろされるので、船の中での順序も重要である。ピラミッドなら高得点が入る位置を狙い、神殿なら、できるだけ上に重ねられない位置を狙う。しかしみんながそれを狙っているからなかなか思い通りにはいかない。明らかにこの現場狙いだろうという置き方をすると、別の現場に流されてしまうだろう。
全部の船が現場に着いたらラウンド終了。6ラウンドでゲーム終了となる。ラウンドが進むにつれて、石材を届けたい現場と別にいらない現場がはっきり分かれてくるので、ほかの人の有利にならないように船を移動したいところ。しかし船には複数のプレイヤーの石材が相乗りしているので、利害が一致するとは限らない。
4人プレイで30分。お互いに高得点を出させないように牽制しあう厳しい展開になった。しかし相手の妨害にばかり気を取られていると、肝心の自分の得点が下がってしまう。いろいろなプレイヤーと部分部分で協力して、得点を伸ばしたほうが効率がよいと気付いたのはもう終盤だった。
エリアマジョリティーのインタラクションに加えて、石材を補充するタイミング、石材を積む場所、どの現場に移動するかといった選択に考えどころが多い作品。それでいて無闇に複雑にしていないところに好感がもてる。
Imhotep
P.W.ハーディング作/コスモス(2016年)
2~4人用/10歳以上/40分