アーメン
旧約・新約聖書の預言者たちの能力で聖書を取り合うカードゲーム。ゲームマーケット2014大阪と、その前日に行われた「いのり☆フェスティバル」で発売され、大きな話題を呼んだ(聖書をテーマにした国産カードゲーム『バイブルハンター』3月発売)。大真面目な動機で作られた作品で、ゲームとしてもしっかり作られている。ハプニングや突っ込みどころもあって(笑っていいのか分からないが)笑えるところも。
毎ラウンド、はじめにプレイヤー人数分の聖書が並べられる。聖書には基礎点があり、「ルカによる福音書」や「創世記」などは20点だが、「ヨハネの黙示録」は-20点である。もちろん、得点の高い聖書を狙う。
しかしすぐにハントが始まるのではない。順番に手札から1枚ずつ、「言葉カード」を好きな聖書につけて得点を増減させるのだ。「収穫」や「断食」は+20点、「偶像崇拝」は-20点、「サタン」は-30点。「からし種」「五つのパン」「二匹の魚」など、キリスト教の知識があるとにんまりできるカードも。
自分の番に「言葉カード」が規定数に達した聖書があれば、いよいよハントを始められる。このときバトル参加者を募集し、手番でなくても参加できる。手札の「人物カード」を1枚出し、「召喚!」のかけ声で一斉に公開。人物にはそれぞれバイブルポイントがあり、基本的に一番高いカードを出した人が、その聖書を手に入れることができる。
しかし人物カードにはさまざまな能力があり、勝敗がひっくり返ることもある。ライバルに「使徒」がいれば脱落させられるペトロ、「男」を脱落させるバト・シェバ、勝敗が決る前に言葉カードだけ盗んでいくルツなど、これもまた、キリスト教の知識があると合点がいく効果ばかりだ。
聖書を取った人はそのラウンドを抜ける。つまり、毎ラウンド1枚は必ず聖書を取れるのである。だが、得点はまちまちで、勝つためにはマイナスになっている聖書など避けなければならない。3ラウンドの後、得点計算をして最多得点の勝利。最後は「五つのパン」と「二匹の魚」のように、セットを揃えることでボーナスが入るものもある。
5人プレイで30分ほど。最強10万バイブルポイントのイエス・キリストを出したbashiさんが、聖書を取る前に言葉カードを付け替えられたり盗まれたりしてさんざんだったのが印象に残った。勝者は集めるのが難しい「からし種」を見事集めて高得点ボーナスをゲットしたこまつなさん。聖書間で言葉カードを入れ替えられるトマスを活用した。
教育的なゲームというと面白くないのが定番だが、ゲームとしてすごく楽しめ、副次的にキリスト教の知識も付けられるという絶妙なデザインである。人物カードを少なめにしているのは、もしかしたら予算の都合もあるのかもしれないが、捨て札をすぐに切り直すことで循環し、戦略性を高めることにも成功している。
バイブルハンター
中村誠/キリスト新聞社(2014年)
3~5人/8歳以上/15分
絶版・再販待ち