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郵便馬車・侯爵夫人の密使

『郵便馬車』は拡張『侯爵夫人の密使』によって「貴族の手紙」という新たな次元を獲得します。当時の貴族はくどくど話をしなければならなかったので、プレイヤーは貴族の手紙を使って、官吏にさらに援助してもらうことができます。密使は侯爵夫人の言葉をもって国中繰り出し、それによって貴族の手紙が特に重要になります。

ゲームの用具

  • 「貴族の手紙」:28
  • 「侯爵夫人の密使」:1

ルール

以下を除いて『郵便馬車』のルールをそのまま使います。

ゲームの準備

  • ゲームの最初に、ボード上の全ての都市に1つずつ「貴族の手紙」を置きます。
  • スタートプレイヤーを決めたら、2番手のプレイヤーは「貴族の手紙」を(ストックから)1通、3番手のプレイヤーは2通、4番手のプレイヤーは3通もらいます。
  • 4人未満で遊ぶ場合は残った「貴族の手紙」は使いません。
  • 「侯爵夫人の密使」はボードのそばに置きます。

貴族の手紙

  • それまでに家がなかった都市に家を建てるたびに、そのプレイヤーはそこに置かれている「貴族の手紙」を手に入れ、自分の前に置きます。全ての都市はこのようにして1つずつ貴族の手紙を出します。ほかの人が後からこの都市に家を建てても、「貴族の手紙」はもらえません。
  • 「貴族の手紙」によって通常の官吏の援助に加え、同じ手番中にさらに追加で官吏の援助を受けることができます。
    • 1人目の官吏の援助は通常ルール通り、無料です。
    • 「貴族の手紙」を使うことでさらに1?3人の官吏の援助を受けることができます。
    • 4人の官吏は、1回の手番でそれぞれ1回ずつしか使うことができません。
    • 手番中に追加で官吏の援助を受けるには、1人の官吏につき2枚の「貴族の手紙」を支払います。
    • 支払う「貴族の手紙」は手番の開始時にもっていなければなりません。手番中に手に入れた「貴族の手紙」は次の手番以降に使えます。
    • 支払った「貴族の手紙」はゲームから除かれます。
    • 1?2枚のカードを引いた後でも、官吏を使うことができます。
    • 最後まで使わなかった「貴族の手紙」は点数になりません。

例:ウヴェはフライブルクとシグマリンゲンを公開しており、手札にはザルツブルクがあります。「貴族の手紙」は4枚あります。場札からケンプテンを取り、山札からウルムが補充されました。ザルツブルクまでつなぐためにインスブリュックがほしかったので、官吏(無料)を使って場札を交換しました。そこでインスブリュックが出てきたので、「貴族の手紙」を2枚支払って郵便局長(1回目の追加援助)によりインスブリュックを手札に入れました。ついで御者(2回目の追加援助)により2枚のカードを公開したかったので、さらに「貴族の手紙」を2枚支払いました。

侯爵夫人の密使

  • 郵便網を敷いたときに新しい郵便馬車を手に入れなかった場合(長さが足りないため)、あるいは新しい郵便馬車を手に入れないことにした場合、「侯爵夫人の密使」を手に入れます。「侯爵夫人の密使」コマはほかのプレイヤーが同じようにして手に入れるまでその人が持ち続けます。
  • 手番の最初に「侯爵夫人の密使」をもっている人は、追加で官吏の援助を受けるのに必要な「貴族の手紙」が2枚から1枚になります。
  • ゲーム終了時に「侯爵夫人の密使」をもっていると、追加で1勝利ポイントになります。

(Spielbox 2006/5付録)

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6日目 もう最終日

主なゲームは昨日のうちに見終わっていたので比較的のんびりと過ごす。

 最初はクニツィアの2人ゲーム『メディチVSストロッチ』を草場さんと対戦。ルールは簡単なのに値のつけ方が難しく、やりこみがいのあるゲームである。このゲームが置いてあったリオグランデのブースには、2Fゲームズなどブースがいつもいっぱいになっていて遊べないゲームが何点かあったが、遊ぶためには3?4人で卓につかなければならなかった。いつも一緒に行動できるメンバーが2?3人ほしい。

 お昼前にカタンの世界大会へ。日本代表は昨日の予選を勝ち抜き、準決勝を戦っていた。C卓は鬼引きでポイントカードを引いた大井さん、D卓は出目が回って開拓地で決めた迫田さんが1位。2人とも決勝に進出するという初の快挙を成し遂げた。組んだらどちらかが優勝できるんじゃないかという冗談に、フェアに戦うと誓う2人。

 今年の日本代表は地方予選と決勝の勝ち抜きなので、代表になるまで8戦中7勝か8勝するという実力が必要になった。カタンには運の要素があるが、運だけではそんなに勝つことはできない。そんな実力をもった2人が共に決勝進出すれば、1位2位独占もあるのではないかという期待が高まる。

 お昼を挟んで決勝開始。日本代表の2人は出目に恵まれない上、2人並んで座っていたせいか「日本人チーム」としてまとめて叩かれる場面もあり、かなり厳しい展開となった。このまま3、4位かと思われた矢先、フィンランド代表が上がる。拍手する中で観客がクレーム。フィンランド代表はチャンスカードを1手番に2枚公開していたのだ。そこでもう1周できることになったが、及ばず大井さんが2位、迫田さんが4位。でも立派な成績である。国別ポイントでは間違いなく1位だ。

 最後のフェアプレイ人気調査を確認し、リストの中に2、3ゲームチェックしていないものがあったので調べに行ったり来たり。最終結果は1位がイスタリの『イスファハン(Ysphahan、1.77)』とコスモスの『大聖堂(Die Säulen der Erde、1.7)』、3位がダヴィンチの『レオナルド・ダヴィンチ(Maestro Leonardo、1.81)』、4位がサプライズド・ステア・ゲームズの『タラ(Tara、1.92)』、5位がレコスの『サンティ・アンノ(Santy Anno, 1.98』、6位がエガートシュピーレの『スペースディーラー(Space Dealer、1.99)』、7位がウリカンの『ミスター・ジャック(Mr.Jack, 2.04)』、8位がマインド・ザ・ムーブの『ヘマゴール(Hemagor、2.2)』、9位がJKLMの『アンダーグランド(On the Underground, 2.10)』、10位がツォッホの『ヒツジパニック』(Haste Bock, 2.18)、時点に『ウル』『タルヴァ』『クロノス』『アルカディアの建築士』と続く。ほとんど全部をチェックしたが、『クロノス』だけはブースに「売り切れ」の紙が貼ってあって撤収されてしまっていた。

 その近くで「ゲームモブ(Gamemob)」のブースを発見する。この頃いろいろなメーカーのルールの最後にロゴが貼られており、サイトがかなりカッコいいのでどんな組織なのか興味をもっていた。聞いてみるとマルチメディア会社がプロモートしてボードゲームを若い人に普及しようという会社らしい。敷居をできるだけ下げ、音楽や映画など若者の趣味とリンクさせて、今まで遊んだことのない人にボードゲームに興味をもってもらおうとしている。ウェブページはクールなデザインで分かりやすいゲーム紹介が載っており、また居住地や遊びたいゲームを登録しておけば、検索で一緒に遊べそうな人が探せる。こういう、フリークでない人の目から作られたサイトが日本でもあったらいいなと思う。

 あっという間に時間が過ぎてヤポンブランドの片付け。最終日は1時間早く終わり、スタッフで売れ残ったゲームを箱に詰める。幸い、最後に残ったゲームを全部買ってくれるお店が現れ、日本に返送しないですむことになった。お店に送るまでは、ドイツ人スタッフのヘニングさんが預かってくれるという。ヤポンブランドに関わった日本人・ドイツ人の人脈を最大限に生かしたファインプレーである。

 最後はイタリアレストランで打ち上げ、今後の方針などを話し合った。ヤポンブランドの収穫は、日本のゲームの知名度を上げられたということもあるが、それ以上にスタッフの絆を深め、新しい出会いをたくさん作ったことにあると思う。私は海外へのPRで少しお手伝いしただけだが、とても楽しかった。また来年、エッセンで。