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フランスのメーカー・デザイナーの表記

ドイツのボードゲーム市場に徐々に進出しつつあるフランスのメーカーとデザイナー。正直言って日本語表記に自信がなかったのでフランス文学を専攻する友人に聞いてみた。

  • Asmode’e e’ditions「アスモデ・エディション」
    オイロゲームズ、ブルーゲームズのレーベルをもつデカルト社を買収。フランスを代表するメーカーとなったが発売されているゲームは正直微妙。×アスモディ
  • Tilsit e’ditions「ティルシット・エディション」
    「ヒマラヤ」の大賞ノミネート入りでにわかに注目され始めたメーカー。フリーク向け。×ティルジット
  • Bruno Faidutti「ブルーノ・フェデュッティ」
    苗字はイタリア系ではないかという話。「操り人形」「ブームタウン」「ダイヤモンド」「修道院殺人事件」など多作。イタリア風に読めばフェドゥッティか。
  • Bruno Cathala「ブルーノ・カタラ」
    「キャメロットの影」の作者(S.ラジェとの共同作品)。フェドュッティとの共作も多い。×カサラ
  • Re’gis Bonnesse’e「レジス・ボネッセ」
    ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート「ヒマラヤ」の作者です。
  • Philippe Des Pallie’res「フィリップ・デ・パリエール」
    「人狼」フランス語版の作者。
  • Roberto Fraga「ロベルト・フラガ」
    「ドラゴンデルタ」「スカッド7」「ダンシングエッグ」「タイムイズマネー」など異色作多数。
  • Serge Laget「セルジュ・ラジェ」
    「キャメロットの影」(B.カタラとの共作)、「修道院殺人事件」(B.フェドュッティとの共作)。
  • Bernard Tavitian「ベルナール・タビシアン」
    「ブロックス」の作者。

以下の3人はフランス語読みすべきかどうか怪しい。要確認。

  • Franz-Benno Delonge「フランツ=ベノ・ドゥロンジュフランツ=ベンノ・デロンシュ」
    ドイツ語読みなら「デロンゲ」。「ドゥロンシュ」と呼ばれているのを聞いたこともある。
  • Fre´de´ric Moyersoen「フレデリック・モイヤーセン」
    「お邪魔者」の作者。オランダ系ベルギー人。アミーゴの人は「いつもフレデリックとばかり呼んでいて、苗字はわからない」そうだ。
  • Jacques Zeimet「ジャック・ゼメ」
    ベルギー人ルクセンブルク人。名前はフランス語だが苗字はドイツ語系らしい。ドイツ語読みなら「ツァイメット」。「ツィーメ」と呼ばれているのを聞いたことがある。

その友人も話していたが、人の往来が多いヨーロッパでは綴りだけから読み方を判別できず、本人に確認するしかないことが多いとのこと(日本でもコキントウなのかフーチンタオなのかというようなことはありますが)。ただ、フランス国内ではフランス人が聞き取れるような音になるというが、同じ名前でも呼ぶ人の言語に左右され、いくつかの読み方を許容しているというのが現状のようだ。

後日談:ドイツのゲームジャーナリスト、U.バルチ氏に聞いてみたところ、Franz-Benno Delongeはドイツ人で読みはフランツ=ベンノ・デロンシュが正解。「g」をシュと読むのは北ドイツ。Jacques Zeimetはルクセンブルク人で、ルクセンブルクはドイツ語、フランス語、ルクセンブルクが公用語だが、彼の名前はフランス語流で読む。バルチ氏はドイツ語と混交しているのか語尾のtを発音しないだけで「ジャック・ザイメー」と読んだが、フランス語では「ゼメ」ではないかと聞くと、「僕のフランス語は弱いから、そっちの方が正しいだろう。」ゼメに確定。

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親子で夢中 盤ゲーム

本日付の朝日新聞朝刊23頁。

実写やアニメーションと見まがうばかりの映像を駆使したテレビゲームもあるなか、顔と顔をつきあわせる人間くさい仕組みが、子ども時代に遊んだ親の世代とその子たちに受けているらしい。

記事の中で取り上げられているのは人生ゲームと野球盤。人生ゲームは03年に70万個、04年に50万個が売れたという。今年はドラえもんとのび太の人生ゲーム(7月・発売中)、人生ゲームM&A(9月29日発売)、人生ゲーム芸人魂(10月)を発売し、さらなる飛躍を図る。野球盤は04年3月に「野球盤スタンダード」発売され、25万台。ボードゲーム後進国だなんて言わせない数字だ。

販売元のタカラ、エポック社は「家族や仲間と会話しながら一緒に過ごせる魅力が見直されているのでは」「互いに向き合い、互いの興奮が直接伝わる」と説く。これまでのこうした記事は子どもの頃遊んだ世代のノスタルジーに焦点を当てる傾向があったように思われるが、リアルなインタラクションに注目している点で、日本のボードゲーム文化もいくぶんか成熟しつつあると言えるのではないだろうか。

外箱を眺めてどうこう言っていた時代から中身を評価する時代へ。そうなればドイツゲームが入り込む可能性も高まってくるだろう。人生ゲームと比べると価格の面でも、ルール理解のしやすさの面でもまだまだ敷居の高いドイツゲームだが、傍流としてでもそれなりの太さを得られるのではないかと期待している。