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レインボー(Rainbow)

虹の出しどころ
今回のゲームマーケットで運営団体に入ったグランペールは、一挙に3タイトルのカードゲームをリリースした。どれもよい出来だったが、特に面白かったのがこのゲームである。順番にカードを出し、強い順に場札を取って点数にするというだけのシンプルなゲームなのに、実際に遊んでみると、ルールを聞いたときには想像もつかなかったような手番のアヤと駆け引きがものすごく熱い。
場札を人数分並べてスタート。スタートプレイヤーから時計回りに手札を出す。出し方は1枚だけ(ソロ)か、同じ数字を数枚(セット)か、連番で何枚か(ラン)。セットが出たら、次のプレイヤーからはセットかソロ、ランが出たらランかソロしか出せない。前の人より強いカードを出さなくともよい。場札と手札を見比べて、今回はそんなに頑張らなくていいと思ったらソロで降りよう。
というのも、手札の補充はないからである。ここがこのゲーム1つ目のポイント。手札がなくなったらゲームから抜ける(そして2人抜けたらゲーム終了)。だから場札があまりよくないときに、カードをたくさん出してしまうと、後で何も取れなくなってしまう。手札をどこまでセーブしていくかがカギになる。
セットでもランでも、枚数が多いほど強く、同じ枚数なら数字の大きいほうが強い。全員が出したら、自動的に強さの順番が決まる。強い順に、数字の大きい場札を取る。これは点数として手札とは別にしておく。
そして、全員が出した手札を、数字ごとに分けて次のラウンドの場札にする。ここが2つ目のポイント。数字の大きいカードを出すと、次のラウンドの得点がはね上がる。しかしそれを取るために、手札に数字の大きいカードを温存しておかなければならない。手札をセーブしながら、いつ強いカードを出すか。セーブしすぎると、カードを出す前にゲームが終わってしまう。
そのタイミングはほかのプレイヤーが出すカードによっても大きく左右される。とっておきのカードを出してもほかの人と競合してしまえば、あまりよい場札をもらえない。手番順に応じたスマートなカードの出し方が求められ、駆け引きも生まれる。
序盤は小さい数字のカードで様子を見るみんな。やがて大きいカードが少しずつ出てくると、一気に場が熱くなる。私はセーブ気味にいって、最後にとっておきのカードを出すことができたものの及ばず。どんどん手札が少なくなっていく中で、毎回毎回どこまでカードを出したらいいか悩みまくった。
ちなみに数字は6までしかないが、スウェーデンの虹は6色である。
レインボー
沙月みと/グランペール(2010年)
2〜6人用/8歳以上/20分
グランペール:レインボーの遊び方
レインボー

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グリモワール(Grimoire)

腹の探りもわーる
グリモワール
グリモワールとはフランス語で魔法の本のことである。このゲームでは、その名の通り小冊子にしおりをはさんで魔法を選び、勝利点につながる仲間や財宝を集める。画期的なギミックがしびれる。
最初に使える魔法は6つ。場札を交換できるもの、勝利点チップを得るもの、それを妨害するもの、誰かから奪うもの、それを防御するものなど、ほかの人が選んだ魔法次第で効果が変わる。これがラウンドごとに1つずつ後のページにある魔法も使えるようになって、最終的にその数は15に。後半に登場する魔法ほど効果が強くて、成長の楽しみがある。
全員がしおりをはさんで選んだら、一斉にオープン。バッティングしていない人の中で、魔法の番号が小さい人(効果が小さい人)から手番を行う。魔法を使ってから、場札を1枚取る。場札は仲間や財宝で、先手番ほど選択肢が多い。バッティングした人は後回し。
財宝はそのまま勝利点になるが、仲間は条件(手番が最初とか最後とか、財宝を全種類集めたらとか、勝利点チップを5枚集めたらとか)を満たしたときのみ勝利点になるリスクの高いカード。リスクが高い分、同じカードを2枚、3枚と集めて条件を満たせば爆発力がある。
場札とは別に、魔法の効果で取れるアイテムカードがある。ガラクタがたくさん入っているが、これもほかの人より多く集めればボーナス。ガラクタ集めはひそかな戦いだ。
財宝か仲間を誰かが10枚集めたらゲーム終了。でも10枚集めた人が勝つとは限らない。
お互いけん制が続いていたが、karokuさんが最強の魔法「奇跡の魔法」(捨て札から1度に3枚ゲット)を通して一気にリード。私は勝利点チップを奪われるのが惜しくて防御の魔法を繰り返していたのが敗因となった。
お互いの状況を見て「今攻撃してきそうだから防御しよう」とか、「ほかにやりたいことがありそうだから別の魔法でいこう」といった魔法の選択が悩ましい。一斉にオープンしたとき、裏をかいた魔法が成功すると嬉しい。これは昨年ワンドローが出した『よくばりキングダム』にも通じる複雑なじゃんけんだが、2人専用だったものが、4人まで遊べるようになって面白さは倍増したように思う。今年のゲームマーケットを代表する作品のひとつだ。
グリモワール
木皿儀隼一作/ワンドロー(2010年)
2〜4人用/10歳以上/15〜30分
ワンドロー:グリモワール