シュピール’12新作情報:エッガートシュピーレ
『村の人生』で注目を集め、今やドイツゲームの旗頭となっているエッガートシュピーレは、バラエティに富んだミドルクラスのゲームをリリースします。昨年秋から、ペガサスシュピーレと提携しているため、どちらがメインとなってリリースするのか定かでない作品もありますが、ここで紹介しなかった作品(クニツィアの『秦(Qin)』など)はペガサスシュピーレの項で紹介します。
★お江戸(Yedo)
T.ヴァンデ・ギンステ、W.プランケ作、2〜5人用、12歳以上、120〜180分。
ベルギー人のデザイナーコンビによる作品が、長い開発期間を経てようやくリリースされます。その間にクイーンゲームズが同じタイトルでヒッポダイスの入賞作品のリメイクをリリースしてしまい、タイトルに「Y」を加えることになりました。
時は徳川二代将軍秀忠の時代。プレイヤーは江戸の大名となって、徳川家に貢献し、翔利点を競います。毎ラウンド、はじめにアクションカード、武器、芸者、ミッションカードなどをビッドで入手します。その後手下コマをボード上に配置し、それぞれの場所に応じたミッションを果たして得点します。吉原に置いた駒は、見張りに見つかると逮捕されて取り除かなければなりません。ミッションは地方大名の謀反を鎮圧する、キリスト教徒を探し出すなどさまざまで、得点が高いものほど、集めなければいけないアイテムやお金が増えます。
11ラウンドの後、ボーナスカードの得点を加えて、最も得点の多い人が勝ちです。
★スペクタクルム(Spectaculum)
R.クニツィア作、2〜4人用、8歳以上、30〜45分。
動物の大道芸人や予言者などが各地を旅しています。人気あるグループに投資してお金を儲けます。手番にはお金を払って芸人を雇うか、解雇してお金をもらいます。それから六角形マスにコマを置いて旅団を移動します。行先の村によって芸人の価値が変わり、雇いにくくなったり、解雇すると儲かったりします。一定数の村に訪れ終わるとゲーム終了で、所持金の多い人が勝ちです。シンプルで時間も短く、クニツィア特有のジレンマが楽しめるでしょう。
★エクスプレス01(Express 01)
J.v.リューデン作、2〜4人用、10歳以上、60分。
鉄道ゲームの18XXシリーズにインスパイアされた作者がデザインしたカードゲーム。ターゲットが狭く、売れる見込みがあまりなかったことから、キックスターターで資金を募集したところ、わずか1か月で1万ユーロ(約100万円)が集まって出版が決まりました。
線路カードを並べて路線を広げ、各会社の株を購入します。駅と駅が線路でつながった時に列車を走らせることができ、その会社の株を持っている人に配当が出ます。配当はお金ではなくてカードで、それを元手にさらに路線を伸ばしていきます。最後に山札が切れるなどでゲームが終了し、手持ちのカードや株券の得点を合計して、得点の多い人が勝ちです。
ボードゲームギークで日本語ルールが公開されています。
★マイルストーン(Milestones)
S.ドラ、R.z.リンデ作、2〜4人用、10歳以上、60〜90分。
中世ヨーロッパのある地方に入植します。みんな共同で道を作り、市場を開き、建物を建てます。プレイヤーボードの労働者を移動することによってアクションを選択します。資源を入手し、その資源をもとにボード上に建設します。ボード上にはマイルストーンがあり、そこに建設することで得点が入ります。誰かが規定点に達したときにゲームが終了し、最終決算をして得点の多い人が勝ちです。
プレイヤーボードの資源の取り方が独特で、労働者を周回させて選びますが、1周するたびお城に止まらなければならず、そこで使いきれなかった資源やお金を没収されてしまいます。少ない資源で効率のよい開拓をしなければなりません。
今日もプレイミス:マイルストーン
絶叫!おばけ屋敷ゲーム(Scream! Haunted House Game)
スマートフォンで笑い++
夏といえば幽霊やおばけの季節だ。怖いもの見たさは子供の性である。夜、トイレに行けなくなるのが分かっているのに、幽霊やおばけの本を手に取ったり、テレビ番組を見たりしてしまう。本当にいるのかしら?
そんな子供の怖いもの見たさを刺激する、あのおばけ屋敷ゲームが今夏帰ってきた。しかもスマートフォンで専用アプリをダウンロードして遊ぶという、アナログとデジタルを融合させた画期的な試みがなされている。スマートフォンがなくても遊べるが、あったほうが断然楽しい。
ゲームはすごろくで、手札のカードを1枚出して、その数だけコマを進める。途中、はしごやカギが必要なマスがあり、そのカードを引かないと先に進めない。さっそくnagaさんがカギを引けなくて最初の部屋でストップ。激しく置いていかれた。
一方、私ははしごをほかの人にかけてもらったりしてどんどん進む。途中、おばけの部屋では勇気・知恵・力のカードから1つを出しておばけカードを引き、出したカードが苦手なおばけならば勝てる。自分の仲間にして、「3枚集めると誰かを6マス戻す」「カギとして使える」などの特殊能力を得る(使い捨て)。
コースのところどころに紫のマスがあり、スマートフォンが登場する。今回はhataさんがアプリをダウンロードして下さった。ボタンをタッチするといろいろなイベントが起こる。ふすまをドラッグして開けると座敷童がいたり、電話が鳴るので取るとお姉さんがやさしい言葉で話しかけてきたり、大きいつづらか小さいつづらか選んだり。「お前は4マス戻れ!」と偉そうに命令されたくさのまさんに大笑い。
そのうちボスおばけの部屋にたどり着く。ここでも勇気・知恵・力から1枚を選ぶが、今度はカードではなく、チップをボスおばけが表示されているスマートフォン画面にタップする。チップの裏にある凹凸でスマートフォンが判断するらしい。勇気を出したのに角度がずれて力と判定されたり、しかもそのおばけは力で勝てるおばけだったり、微妙なアナログ感にまた笑う。
最後は死神の廊下だ。死神はみんなが出したカードの数だけ廊下の中をうろうろしており、途中の小道に隠れながらやり過ごさなければならない。ここでは数字の高いカードを温存して、一気に行く作戦となる。死神に捕まったらスマートフォンのルーレットを回し、まれに助かる可能性があるが、また戻ってきて捕まることも。捕まったら、廊下の入り口からやり直し。
5人プレイだったこともあり、死神のスピードが異様に速くてゴールに近寄れない。そのうち序盤大幅に出遅れていたnagaさんがトップに躍り出る場面も。かゆかゆさんが6マス進めるおばけで一気にゴールを狙ったが、その前にcarlさんがおばけカードを捨てさせるおばけを使うなど足の引っ張り合いもあった。おしまいにはグダグダになって、誰でもいいから早く上がってくれという雰囲気になりかけたとき、鴉さんがゴールしてくれた。プレイ時間120分。
基本は32年前と同じものなので、カギがないと全く進めなくなったり、死神に捕まりまくったりとゲームが停滞するのがプレイ時間を長く感じさせるが、スマートフォンのイベントに一喜一憂したり、つっこんだりするのが楽しく、大笑いできた。
絶叫!おばけ屋敷ゲーム
作者不明/バンダイ(2012年)
2〜5人用/9歳以上/60〜120分
Amazon.co.jp:絶叫! おばけ屋敷ゲーム