サッカラ(Sakkara)
設計図のとおりにピラミッド建設
エジプトのピラミッド建設をテーマにした2人専用ゲーム。『カタンの開拓者たちカードゲーム』から『ターギ』に至る、息の長いコスモス社(ドイツ)の2人ゲームシリーズに属する。ヒエログリフ風のアイコンが雰囲気を盛り上げる。
舞台はギザと並んでピラミッドで有名な土地サッカラ。ジュセル王の階段ピラミッドで有名である(先日紹介した『サッカラ(Saqqara)』とは別ゲーム)。目的は盤上からタイルを集めて3段の階段ピラミッドを作ること。もちろん、相手より早く。
手番には自分のコマを1マス移動して、移動先のタイルを取る。取ったタイルは手元のホルダーにストックにしておき、揃えば建設や魔法が使える。今、何を目指し何を集めるべきかよく考えておかないと、タイルはなかなか揃わない。
ピラミッドの一段目は四隅が四角柱、間が月と階段というように、設計図通りにタイルを集めなければならない。しかも、四角柱を置くには手、1段目を建設するには船と麦というように、必要な条件もある。これらを集めるのが最優先である。
一方、あるタイルの組み合わせを消費することにより、一列全部のタイルを取ったり、相手の船や麦をなくさせたりといった魔法を使うこともできる。相手に後れを取ったら魔法で逆転を狙おう。ただし、その分自分の手も遅れる諸刃の剣。
建設にいくか、魔法に行くかは、相手のコマの位置による。麦を消しても、すぐ近くに麦があればすぐ回復されてしまう。それだったら、建設を優先したほうがよいだろう。
「お前がそれを取るなら、オレはこれを取る」といった先読みもできるが、手札が非公開であることと、コマが2つあることでだいぶマイルドな仕上がり。致命的な悪手というものはなく、徐々に相手との差を広げていくというゲームである。サガエさんが中盤に魔法で集めたタイルで建設を一気に進めて勝利。私は足を引っ張る魔法ばかりだったが、大きなダメージは与えられなかった。
Sakkara
M.グラプマイヤー/コスモス(2007年)
2人用/10歳以上/30~40分
フィルムフィクサー(Film Fixer)
あえて予想をはずしに行く
日本ボードゲーム大賞を受賞した人気コミュニケーションゲーム『キャット&チョコレート』の作者・秋口ぎぐる氏が3年ぶりに発表した新作カードゲーム。心理戦に加え、資金を得点に変換するドミニオン的な仕組みが取り入れられていて新しい。
プレイヤーは映画のプロデューサーとして、話題作を作り名声を競う。手番には、映画の企画や俳優・女優の場札5枚から好きなものを購入し、映画の企画に手持ちの俳優・女優を出演させて映画を作る。作った映画は得点になるだけでなく、俳優・女優に応じて収入をもたらす。
ここまではオーソドックスなつくりであるが、手番のはじめに、ほかのプレイヤーが行動を予想してお金を賭けるというフェイズが熱い駆け引きを生む。この手番、俳優を雇うかどうか、そして2つある配給会社(アート系、エンタメ系)のどちらの企画を買うかを予想してお金をビッド。
当たれば、そのお金を1段階高いものに交換するか、得点に変換できる。序盤から得点にしてしまうと資金が足りない。かといって終盤までお金をもっていると得点に変換できないまま終わる恐れがある。どのタイミングでお金から得点に移るか、悩みどころである。
さて手番プレイヤーはビッド内容を知らされないが、ビッド額は知らされる。大金を賭けてきた場合、わざと何もしないで予想を外せば相手に大損害を与えられるだろう。どれくらい賭けると予想を裏切るかが駆け引きである。
サガエさんが、新人とティーンエイジャーの女優をさっそくポルノ映画に出演させて荒稼ぎ。ポルノ映画は収入が高いが名声は落ちる。しかし潤沢な資金を、ビッドで当てて得点に変換し名声を回復。アート系の硬い映画を作っていたくさのまさんと僅差で逃げ切った。私は最初に大枚をはたいてブラッド・ピットを雇ったが、ビッドを外しまくりで資金がショート。新人しか出てこないしょぼい映画ばかりで最下位。くさのまさんが映画好きだったので、俳優カードを解説してもらえたのがよかった。
Film Fixer
秋口ぎぐる/コザイク(2013年)
3~4人用/10歳以上/30分