狙ったアイテムを袋引き
袋から財宝やカギを引いてセットまたは単品で得点化するプッシュ・ユア・ラックゲーム。M.クラマーがデザインし、シュピールヴィーゼ出版から発売された。うまく引けても特殊能力カードで「ちょっと待った!」が飛び交う、今時珍しいレベルのインタラクティブな作品だ。
手番にはまず、今回達成したい契約カード1~3枚に自分のチップを置く。契約カードはもっているだけで達成できるもの、ダントツ最下位なら自動達成になるものがあるため、複数同時達成が可能。しかし達成できないと次の手番まで持ち越しとなり、その前に他のプレイヤーが達成してしまうと失点になるのであまり欲張ってはいけない。
どのチップを引けば達成できるか確認したら、袋を1つ選ぶ。袋は5種類あり、中に入っているチップの構成はプレイヤーボードで確認できる。バラエティ豊かな緑の袋、お得だがバースト率も高い黒の袋などがあり、また袋に戻っていないチップもあることで確率は変動するから、慎重に選びたい。
袋を決めたら1枚ずつ引く。ドクロが出たらバーストで、今回引いたチップだけでなく、前に引いていた同じ色のチップも全部捨てなければならない。ここは運だから1枚目でバーストということも珍しくない(1コインもらえる)。1枚引くたびに、ドクロが出る確率が上がっていき、袋に入れる手にも力が入る。
ドクロを引く前にやめて、チップが契約カード通りに揃っていたら達成して得点。残ったチップも、バイヤータイルに指定されたものであれば単品で得点化できる。
契約カードを規定数達成すると、最初に選んでおいた「盗賊の親方」の特殊能力が開放される(プレイヤーごとに異なる)。これでブーストがかかるが、もっとゲームを左右するのが毎手番最後に買う「共犯者カード」だ。バーストしなかったら、今引いたチップを2つに分け、手番プレイヤーが先に取り、残りをあなたが取る「遺産横領者」、チップを3枚以上持っている人全員から、チップ1枚か1コインをもらう「物もらい」など、達成できそうな契約を失敗に持ち込ませてくる。
契約カードを規定数達成したら終了となるが、終盤はこの共犯者カードによる「ちょっと待ったー!」が飛び交い、壮絶な足の引っ張り合いになる。攻撃の手が緩むチャンスを狙ってうまく達成できるかは運も大きい。最後は得点勝負。得点の低い契約もあるので、終了トリガーを引いた人が勝者とは限らない。
『グレンモア』や『ロココの仕立て屋』のM.クラマーとは思えないざっくりとした作りだが、運試しと直接攻撃でパーティーゲーム風に開放的に遊ぶことができる。
Swindler
ゲームデザイン:M.クラマー/イラスト:L.フォーシュ
シュピールヴィーゼ出版(2022年)
2~4人用/10歳以上/45~60分
ゲームストア・バネスト:スウィンドラー