利便性の向上に努めてまいります
紙ペンゲームの欠点の一つとして、「映えない」ということがあると思っている。いくらシートがカラー印刷でも、鉛筆で印をつけたぐらいでコンポーネントの満足感は得られない。ホワイトボードにカラー水性ペンだと幾分ましな感じがするので、鉛筆のせいかもしれない。『カートグラファー』はスタンプを使ってプレイできるようにした。
『ゲット・オン・ボード』は日本の作品『バスルートをつくろう』の海外版である。ボードは京都から、ニューヨーク(2~3人用)とロンドン(4~5人用)になった。『バスルートをつくろう』はカラー水性ペンを使っており、映えないことはなかったが、『ゲット・オン・ボード』では中央ボードにペンで書き込むのではなく木駒の棒を配置することで、コンポーネントの満足感が得られる。
最初に選んだ出発地点から、めくられたカードで指示されたパターンで木駒を置いてバスルートを延ばしていく。途中でサラリーマンや観光客を乗せ、それぞれオフィスや観光地に行くことで得点が増える。たくさん乗せてから着いたほうが得点が高い。さらに乗せれば乗せるほど得点が上がる高齢者、大学との掛け算で得点になる学生もおり、どれを重点的にしてルートを決めるか悩ましい。ほかに早い者勝ちの共通目標、各自に課されている3地点の接続もある。
新要素としてはタイムズスクウェアやバッキンガム宮殿などの名所があり、そこを通った時点での乗客数が得点になる。名所は少ないのでわざわざ寄り道しなければいけないこともある。
このように寄りたいところがたくさんあるわけだが、指示されたパターンで通れない(曲がりたいのに曲がれない、曲がりたくないのに曲がらなければならない)場合、失点してパターン変更するかどうかの選択に迫られる。また、先に誰かが通ったルートを通るときには渋滞による失点も生じる(少人数のニューヨークマップでは、最初から渋滞している道もある)。このパターン変更と渋滞ルールにより、ゲーム中よく悲鳴が上がるのが楽しい。
紙ペンゲームの欠点としてインタラクションの少なさがよく挙げられるが、渋滞ルールによって後手番のプレイヤーの今回のパターンがわかっている中でゆるやかなブロッキングができるし、ルートの先取り競争も起こるため、ソロプレイ感はない。
今回は3地点接続を最初から諦め、空いているところで乗客集めに挑戦してみたが、いいタイミングでオフィスや観光地に止まることができず最下位。いずれかの乗客に特化する戦略が可能かどうか試してみたい。
Get on Board: New York & London
ゲームデザイン:Saashi/イラスト:ムッシュZ
イエロ+Saashi & Saashi(2022)
2~5人用/8歳以上/30分