先の先を読んで狙ったピースをゲット
今や2人用ゲームの定番となった『パッチワーク』(2014年)を作者がリメイクした。プレイ時間を短縮し、タイルのサイズを大きくしたのは、小学生やシニアをターゲットにしたという。とはいえ先の先を考えてパズルピースを選択する悩ましさは健在どころか、かえってフォーカスが当てられていて面白さがダイレクトに伝わってくる。
自分の手番には、テーブル上に並べられたタイルから1枚取って自分のボードに置くか、時間マーカーを進めてボタンを取る。タイルの多くは、取るのにコストとしてボタンを支払い、時間マーカーを進めなければならない。
手番は常に時間マーカーが進んでいないほうで、連続手番もありうる。ボタンの在庫と、時間マーカーの進み方によって、どのタイルが取れるかある程度先が読めるので、欲しいタイルが取れるように画策する。「私がこのタイルを取ると、相手はパスするしかないから、次にこのタイルが取れるでしょ。そうすると相手は…」
時間マーカーが進むと、途中でボタンを補充できたり、早いもの勝ちで1マスのタイルをもらえたりするところもアクセントになっている。時間マーカーが最後まで進んだら終わりで、最後は手持ちのボタンの数から、自分のボードの空きマス×2点を引いて合計を競う。
『パッチワーク』との違いは、マス目の少ないタイルは最初から並んでおらず、場の残りが5枚になってから補充する点。これによって、後で大きなタイルが余って置き場に困るということが少なくなった。また、7×7マスを先に埋めるともらえるボーナスタイルなどの要素がなくなっている。
ルールが絞られただけ、空きマスがないように埋めていくことに集中でき、相手との駆け引きも先鋭化する。プレイ時間は短くなったが、ライトになったという感じはしない(ルールも決して少なくはない)。1枚1枚のピースをめぐる攻防が熱い作品である。
Patchwork Express
ゲームデザイン・U.ローゼンベルク/アートワーク・K.フランツ
ルックアウトシュピーレ(2018年)
2人用/6歳以上/10分