行きはよいよい 帰りはこわい……
「聖ヤコブ」を意味するサンティアゴを冠した地名は、チリの首都をはじめ世界各国に点在し、『サンティアゴ』(アミーゴ、2003年)『サンティアゴ・デ・キューバ』(エッガート、2011年)などボードゲームにもなっている。この作品はスペイン北西部にある巡礼地がタイトルになっており、巡礼の仲間を集めてパリから往復するゲームとなっている。ユーロスタイルの日本の同人作品。
1~9の番号がついた巡礼者カードを並べ、その手前にプレイヤーカードを並べてスタート。自分の手番には、プレイヤーカードを好きなだけ進めて、進んだ先の巡礼者カードを取る(旅の途中で仲間に加えたことを表す)。いくら進んでもよいが、戻ることはできない。ほかのプレイヤーに取られたくないカードがあれば早めに進んでおきたいが、進みすぎれば最終的にカード枚数は少なくなるというジレンマ。クニツィアの『ツタンカーメン』(アミーゴ、1993年)やボザの『東海道』(ファンフォージ、2012年)でも用いられたシステムだが、悩ましく楽しい。
その悩ましさをさらに面白くするのが得点計算だ。獲得したカードは、同じ数字は重ねて並べ、新しく取った数字は、並んでいるカードの右か左に置く。ラウンドが終了したら、獲得したカードの種類と、その数字で集めた枚数を足し、その数字以上ならば得点できる。すなわち、9点などの高いカードで得点するには、いろいろな数字を幅広く取るか、9点のカードをひたすら集めなければならない。
さらに得点計算は右端の列から行い、終わったら1枚ずつ取り除き、左端の列までいったら再び右端の列に戻るという順番で行う。小さい数字でも、種類を増やすのに役立つ上に、得点もしやすいので無視できない。列の順番も重要で、カードを1枚取るたびに左か右のどちらに置くかをよく考えておかなければならない。
2ラウンド(往路と復路)の合計の多いプレイヤーが勝利。カードの並びや、ほかのプレイヤーの状況によって展開がだいぶ変わるので、同じことの繰り返しではない。ほかのプレイヤーの動向を見るタクティカルな側面と、得点が増えるように自分の列の並べ方を考えるテクニカルな側面を兼ね備えた遊びごたえのあるゲーム。あまり考えないで第1ラウンドを遊ぶと、得点計算が終わって第2ラウンドは一転、深く考えることになるだろう。
Santiago de Compostela
ゲームデザイン&イラスト:mor!/四等星(2018年)
2~4人用/10歳以上/20~40分