取りたいトーテム、やらせたくないアクション
カナダ・マニトバ州で、先住民族のクリー・インディアンがバッファローやカヌーを集め、豊かな一年を送るボードゲーム。『オルレアン』『アルティプラーノ』で波に乗るdlpゲームズ(ドイツ)が、『アルティプラーノ拡張』や『バルパライソ 』と共にシュピール’18で発表した。dlpゲームズはグローバル化するボードゲームシーンにおいて、骨太のドイツゲームが楽しめる数少ない出版社となっている。この作品も、重なった5枚のディスクからアクションを選ぶというユニークなシステムで、シンプルで悩ましい展開が楽しめる。
5枚のディスクはそれぞれ、白は山、緑は森、茶色は丘、青は湖、無色は平原というように中央のボードのアクションと対応している。自分の番には、重なり合った5枚のディスクから1枚を選び、その上にあるディスクも一緒に取り、ひっくり返して、選んだディスクのアクションを行う。ほかのプレイヤーは、手番プレイヤーが取ったディスクの中から1つアクションを行う。
トーテムの一番上にあるディスクを手番プレイヤーが選べば、一緒に取るディスクはないため、ほかのプレイヤーは手番プレイヤーと同じアクション一択となる。一番下にあるディスクを選べば全部取られるため、ほかのプレイヤーはどれを選んでもよくなる。ほかのプレイヤーに与える選択肢は少ないほうがいいので、できるだけ上の方のディスクを取りたい。しかし自分がしたいアクションもあって悩ましい。
全員の手番が終わると、取らなかったディスクを上に乗せて、次のプレイヤーに回す。こうして上の方にあるディスクほど、次の手番には下の方にいくようになっており、同じアクションを続けて行うにはほかのプレイヤーを有利しなければならない。弱いかたちのロンデルともいえる。
各アクションでは、中央ボードの対応する地形に自分のコマを置くか移動させ、そこから商品を取る。何ラウンドかに1回得点計算が起こり、指定された種類の商品が得点になる。商品は多ければ多いほど得点もいいが、みんな同じものを狙ってくる上に、どんなに少なくても得点計算のために拠出しなければならないので、あまり集められそうになかったら、次の次の得点計算対象商品を先回りして集めるか、得点計算をパスする特殊能力を取ってもっと貯めるのがよい。
中央には地形ボードと共に、ビジョンボードというのがあり、こちらにも自分のコマを置くか進めて、特殊能力やボーナスや得点を受け取ることができる。地形ボードで商品を集めるのと、ビジョンボードを進めて特殊能力を増やすのをどう両立させるかが考えどころだ。そこに加えて、どちらのボードにも必要な自分のコマを補充するタイミングも見極めておかなければならない。肝心なときに出せるコマがないと泣きを見る。
ゲームは冬から始まって秋で終わる。各季節ごとに得点計算があり、最後に全部の商品を使う最終決算を行って得点の多いプレイヤーが勝利。
4人プレイで2時間弱。今回は地形ボードで後れを取り、ほしい商品が取れなかったので、代わりに収集のビジョンで商品を集める作戦。しかしほかのビジョンも目移りしてしまい、どれも中途半端で噛み合わず、大量得点チャンスをものにできなくて3位。1位だったcarlさんを見ると、どの商品の代わりにもなる白い羽で得点対象となる商品を上手に増やしていたようだ。
手番にすることはシンプルで、当面何をしなければいけないかも分かる。しかし、長期的には何が必要かとか、ほかのプレイヤーは何をしたいかまで考えるととたんに悩ましい。アクションディスクの順番に駆け引きがあって、ほかのゲームにはないユニークな面白さを生んでいる。
Manitoba
ゲームデザイン・M.プランゾ&R.コンザドーリ/イラスト・D.ローハウゼン
dlpゲームズ(2018年)
2~4人用/12歳以上/60~120分
ゲームストア・バネスト:マニトバ