目にも留まらぬタコの足
エッセン・シュピールでは、デモプレイ用に大きく作られたハバ社の巨大ゲームが毎回注目を集めている。たいていはギミックの派手なゲームだ。そのギミックに加え、コスチュームを着たインストラクターが実況するので、周囲にはいつも人だかりができている。
このデモプレイには、ハバ社で今年一番の新作が選ばれるが、今年はこのゲームだった。作者はコロヴィーニ。巨大タコの足をかわして、船で宝島に向かうキッズゲームだ。
手番にはサイコロを振って、出た色のマスまで自分の船を進める。そのマスにほかの船があればその先にある同じ色のマスへ。これでうまく行けば、一振りで一気にゴールに入ることができる。
さて、サイコロでタコの目が出ると、タコを暴れさせることができる。タコを回して、攻撃したい船に照準を合わせたら、タコの頭を押す。すると周囲の穴から足が飛び出すという仕掛けだ。この足があまりに素早く飛び出してすぐ隠れるので、シャッターに収めるのが大変。目にも留まらぬタコの足に蹴られてマスから飛ばされてしまったコマはスタートに戻らなければならない。
照準を定めたつもりでも、タコの頭を押す力加減や、船の位置によって飛ばされないことがあるのはアナログの魅力。大人でも外れることが多いのだから、子供だったらなおさらだろう。それだけならいいが、間違って自分の船まで飛ばしてしまったりすると悔しい。「あっ、外れた!」
4人プレイで30分くらい。大人だけでやれば当然のように、ゴール間近にいる船がタコに狙われる。そのため、無駄にゴール前に踊り出ることを避け、ところどころにある安全地帯に待機させたり、自分の複数の船を少しずつ進めたりと慎重なプレイが多かった。やたらタコの目が出るので一瞬終わらないかと思ったが、神尾さんがトントン拍子に宝を集めて1位。
タコの頭を押すときの悲喜こもごもは、大人でも十分に楽しむことができる。
Titus Tentacle
L.コロヴィーニ/ハバ(2015年)
2~4人用/4歳以上/30~45分