とりあえず「4」!
名作の数当てゲーム『ドメモ』(1975年)が発売されてもう40年になる。日本でも2009年に待望の日本語版が発売されロングセラーとなっているが、これに要素を加えた作品が昨年、韓国で出版された。今年になってドイツ語版”Simsala… Bumm?”が発売になり、ドイツ年間ゲーム大賞で推薦リストに選ばれている。プレイ感がだいぶ変わり、一発逆転のギャンブルに出たり、配牌がうまくないときでも勝てたりといった新しい戦略が可能になっている。
1が1枚、2が2枚、3が3枚・・・という札を全員に規定枚数だけ配り、各自自分は数字が見えないように、ほかの人に向けて並べる。自分の番が来たら数字を言って、その数字が自分の前にあったらとなりの人に倒してもらう。こうしてほかの人より早く、自分の札を全部倒してもらえば勝ち。ここまでは全く『ドメモ』である。
違うところは主に3つある。ライフポイント、数字があたったときの特殊効果、連続手番では数字を下げられないルールである。
まずライフポイントは各自がもっているもので、外れると減ってしまう。だから当たったときに、それ以上続けるか、やめて次の人の番に替わるかという選択肢がある。特殊効果で増減することもある。誰かのライフポイントが0になったら1人負けでラウンド終了。このため『ドメモ』と違って、まだ全部当てられていない状態でラウンドが終わることがある。自分の札がなかなか減らせないとき、ライフポイントをセーブして生き残りを狙うという戦略も取りうる。
数字が当たったときの特殊効果は、ほとんどが他プレイヤーのライフポイント減か、自分のライフポイント回復である(数字によって対象や強さが異なる)。一般に数字が低いほど効果が強まり、1枚しかない「1」を当てると、ダイスを振ってその分だけ全員のライフポイントを減らすことができる。「2」でも全員がライフポイント-1、自分だけ+1。ついつい小さい数字を言いたくなる。
ゲームのポイントとなるのは「4」で、これが当たると、配られなかった札を1枚、自分だけ見ることができる。この情報は限りなく有利なので、迷ったら「4」というのがよい(そして撃沈する)。
そして連続手番では数字を下げられないルール。数字が低いほど特殊効果が強いならば、大きい数字から消去法的にいいたくなるのがゲーマーだが、それは許されない。数字が当たった場合、連続して手番ができるが、当たった数字以上を言わなければならない。これがうまく機能していて、どれくらい低い数字から始めるかというチャレンジがドキドキする。
ラウンドが終わったら、1人負けか1人勝ちかによって得点をつけ、誰かが規定点に達するまで続ける。だいたい3~4ラウンドで終わるようだ。
5人プレイで30分ほど。推理の要素はそのままで、小さい数字をいう理由がブラフ以外にもあるが、ゲームをより一層エキサイティングにする。手札は大きい数字ばかりなのに小さい数字からいってなかなか当たらないときでも、特殊効果で誰かが負けてくれて助かったことも。「1」はなかなか言えないが、「4」は結構ありそうな数なのでついつい言いたくなるのがワナのようだった。「とりあえず4!」「ないですよー」「私も4!」「だからないって」「だったら私が4!」「あっ、ありました!」
比べると『ドメモ』のほうがシンプルでいいという方もいるだろうが、推理偏重で息が詰まるという方にはこちらをお試し頂きたい。
Abraca…what?
G.キム/コリア・ボードゲームズ(2014年)、ペガサスシュピーレ(2015年)
2~5人用/8歳以上/30分
ゲームストア・バネスト:アブラカ・・・ワット?