遺産は奴の手にあった・・・はず
カードをプレイして効果を使い、「失われた遺産」を探索するゲーム。日本ボードゲーム大賞を授賞した『ラブレター』の後継作として、ゲームマーケット2013春で発売された。今回のゲームマーケットで一番長い列ができたのは、このゲームを発売したワンドローと、制作したカナイ製作所だったように思う。ゲームマーケット後も、専門店で大人気となっている。
1枚だけの手札が織りなす思わぬドラマはそのままに、「失われた遺産」カードが最後にどこにあるか当てるフェイズが加わり、推理(またはギャンブル)の要素が加わった。
自分の番には山札から1枚を引き、1枚を出してその効果を使う。効果には、ほかの人の手札と交換したり、遺跡(場札)を見たり、指名した相手を(条件に合えば)脱落させたりするものがある。1枚なので、逃げ場なし。「今指名されたら脱落してしまう」「あのカードを引いてきたら終わりだ」というように、脱落は紙一重だ。このスリルがたまらない。
山札がなくなったら、脱落していない人の手札を公開し、強い(数字の若い)順に「失われた遺産」カードがどこ(誰かの手札か、場札)にあるかを当てる。当てれば勝利。この最後のフェイズのために、強いカードを手札に残すだけでなく、失われた遺産(中くらいの強さである)の位置も考えながらプレイしなくてはならない。どこにあるか分かっているのに無念の脱落ということもしばしば。
4人でプレイ。このゲームには基本セット16枚と、拡張セット16枚があり、ひとまず基本セットで3ゲームほどプレイした。アグレッシブなプレイで脱落者が続出し、どうしても山札がなくなる前にゲームが終わってしまう。そこで4ゲーム目は拡張セットに総入れ替え。手札からプレイできない上に、2枚捨てると脱落してしまう「負傷」でぎりぎりの状況に追い込まれる。脱落しても復活できる「聖女」を狙い、「死霊術師」で捨て札を山札に戻す。しかしその努力の甲斐もなく、2枚目の「負傷」を出して負けた。生き残った中で、見事「失われた遺産」を当てたのは長女。ドラマチックな展開が楽しめた。
「失われた遺産」を当てるフェイズが加わったことで、『ラブレター』のようなゲームの切れ味はなくなったが、その分考える要素が増えている。基本セットと拡張セットを組み合わせて遊ぶこともでき、好みによってじっくりにも、スピーディーにもできるところもよい。
Lost Legacy
カナイセイジ/カナイ製作所(2013年)
2~4人用/10歳以上/10分
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