火星の砂は赤かった
東京・立川のゲームショップ、B2Fゲームズが昨年のエッセン国際ゲーム祭に出展した火星開拓ゲーム。ミニチュアゲーム扱う同店が総力を結集して製作した様子は、ブログの連載で窺い知ることができる。火星の地面を模したボードは、情景用の砂やビーズ、草が植えてあり、子供の頃に憧れた精巧なジオラマになる。どっしり重い限定のメタルフィギュアは彩色済み。このフィギュアを草の上に置いたときのしゃりっという手触りがたまらない。
ゲームはエリアマジョリティで、5種類にロボットを置いて、資源の獲得を目指す。ロボットは火星のほかに6つのラボに置くことができ、ここでは臨時収入や戦闘のアドバンテージなど特殊能力が得られる。火星でもラボでもお金を払えば戦闘を仕掛けることができ、勝てば相手の場所を奪える。戦闘は一発勝負の1ダイスロール。
手持ちのロボットがなくなるか、パスをしてラウンドから先に抜けると、自分の番が来るたびにほかのロボットにダメージを与えて収入が入るというイスタリ的な処理。だから戦闘をしかけて手番を長引かせるのも考えものである。
ラウンドが終わったら、地形ごとに1位と2位の人に資源が入る。資源はパラメータ化されていて、使わずに貯めると得点や収入が増える。また、ラボの特殊能力や土地の資源として手に入る「インゴットダイス」は、ゲーム終了時に振って出た目だけ得点。各所にオリジナリルアイデアがちりばめられている。
1ラウンド目、火星の中央を陣取って得点した私は、トップで税金を取られてしまった。そこからはお金がないので戦闘せず、防御の特殊能力を取ってひたすら得点になる資源集めへ。一方、tomokさんは次々と戦闘を仕掛けたがリロールの特殊効果も虚しく1勝3敗という散々な結果。nagaさんはインゴットダイス集めに走るが、予告通り期待値を大幅に下回った。tomokさんの挑戦を退けた鴉さんが、余剰なお金を得点にできる特殊能力で力をつけ、インゴットダイスも好調で1位。
3ラウンドしかないが、第3ラウンドでロボットが一掃されてリセットになり、前ラウンドからの布石がなくなったので短く感じない。原則1ラウンド1ラウンド別々の勝負である。ダイスロールの戦闘はリスクが喬く(攻撃を仕掛けたほうがお金を払い、負ければロボットを失い、勝っても相手はコマが戻るし、お金も入る)、あまり起こらなかった。一度配置したロボットはもう移動できないので、効率よく、トップのマークをされないようにして堅実にチャンスを狙う配置ゲームである。
Mars is Ours!
小林大樹/B2Fゲームズ(2010年)
2〜4人用/10歳以上/60〜90分
初版品切れ中
ヤポンブランド:ぼくらの火星