私にとって一番面白かった記事は、「新作ボードゲーム情報」(ボードウォーク提供、20タイトル)と、「ゲームレビュー」(編集部ほか、10タイトル)である。連載では、「植木屋は語らない」(平田強真氏)がよかった。
百聞は一プレイに如かず、実際に遊べれば一番よいのだろうが、残念ながら遊ぶ時間も、一緒に遊んでくれる仲間も、お金も、置く場所も限られている。なのでレビューを読んで、未知のゲームの概要が分かるだけでも嬉しい。
ネットのほうが情報が早いから、紙媒体にできることはないという意見もある。しかしそうではない。ネットで読める新作ゲームのレビューやプレイ感想は、意外と少ないのである。ましてやユーザーサイドの生の声となると、今やミクシィぐらいでしか聞けないといっても過言ではない。
メビウス系ならば、最低でも頒布会員分以上は入るので、ゲーム内容から評判まである程度はつかめる。しかしホビージャパン、バネスト、アークライトとなると、メーカーがマイナーだったり、入荷数が少なかったりして、そんなゲームが入っていたことすら知らないままでいることもある。
その点ボードウォークは各系統を揃えているので、新作ゲーム情報も満遍なく紹介されていてよい。提供をボードウォークに選んだのは編集部の慧眼であった。「このゲーム、タイトルをよく聞くけどこんな内容だったのか」と感心しきり。編集部ほかのレビュー記事のラインナップも、名前は知られているけれど内容はよく知られていないというものが紹介されていて熱中して読めた。
「植木屋は語らない」は、上記とは趣を異にするが、主旨が「あまり多くの人に知られることも、顧みられることもないないようなゲームをせめて書き残す」とあるように、未知のゲームの世界を開いてくれる。このように1つのゲームをじっくり紹介してもらえることは、ネットではまずできない(あっても、ネットでは長いと最初のほうしか読まない)。
既知のゲームを掘り下げる攻略記事や、ゲームの外側にあるものに取り組む評論記事もいいが、未知のゲームの世界を開いてくれるレビューはボードゲームメディアの王道にちがいないし、紙媒体でも「いまさら…」などと思わずに、これからもいい記事を書いてほしい。