書籍『まちづくりゲームカタログ』12月15日発売
学芸出版社は12月15日、書籍『まちづくりゲームカタログ: 研修・ワークショップが進化するボードゲームガイド』を発売した。著:安藤哲也、四六判224ページ、2640円(税込)。
神奈川県川崎市でまちづくりコンサルタントをしつつ、ボードゲームカフェ武蔵新城を運営している著者による、まちづくり・地域づくり研修やワークショップでのボードゲーム活用のすすめ。コミュニケーションのあり方を見直し、自分とは違う目線で地域を眺め、時に協力しながら、まちの未来をシミュレーションするのに役立てる。
まちづくりの中で最も重要なポイントは「楽しさ」であるとし、コミュニケーション能力を高めるボードゲーム9タイトルと、「まちづくりボードゲーム」13タイトルを紹介する。後者は入手しにくい同人作品が含まれているものの、従来のボードゲームカタログとは全く異なるラインナップで新しい視点を提示する。
「ボードゲームとまちづくりの関係」のトークセッション、ボードゲームを研修に導入する際の注意点、最後はオリジナルまちづくりボードゲームの作り方まで丁寧に解説。オリジナルを作るのはハードルが高そうだが、既存のボードゲームを参考にすることで作りやすくなるという。研修・ワークショップに携わる機会がある人だけでなく、ボードゲーム愛好者にとっても、テーマとメカニクスと接続という点において、まちづくりボードゲームは参考になりそうだ。
2024年の日本語版ボードゲーム発売、過去最高タイトル数に
今年1年に発売された海外ボードゲームの日本語版は237タイトルであることが当サイトの調べでわかった。落ち込んだ昨年から40タイトルも増加し、過去最高となった。
一昨年までの水準に回復した背景として、コロナ禍とウクライナ侵攻による流通の混乱が収まったこと、物価高や円安による価格上昇にユーザーが慣れてきた(麻痺してきた?)こと、世界各国でレベルの高い作品がリリースされるようになったことなどが考えられる。ゲーム賞を受賞したタイトルばかりでなく、小箱から重量級まで幅広く会社が拾い上げられている。
昨年200タイトルを割り込んだ際、流行り廃りが激しい中での在庫リスクや、ロングセラーや定番の人気による新規注目度の低さを原因として考察したが、それらが解消されたとは言えないだろう。新作のヒットは少なくなり、値崩れや在庫処分を多く見かける。フランスのゲームデザイナー、B.カタラ氏は、35ユーロ前後(日本円で6000円+α)のゲームは近年すぐに遊ばれなくなりがちで、出版社が消極的になっていると述べている(ソース)。
一方でリリース数の増加は多様性をもたらし、誰でも遊んでいるタイトルや、誰にでもおすすめできるタイトルが減る一方、各グループの好みに応じて好きなものを取り上げられるようになった。15分クラスの軽量級は物足りないが、3時間クラスの重量級はきつくなってきた管理人としては、中量級のユーロスタイルの選択肢が広がっていることが嬉しい。購入を絞ることで積みゲーを出さないだけでなく、同じタイトルを繰り返し遊ぶよう心がけている。
1万円以上のボードゲームも29タイトルと過去最高を記録。ぎりぎり9900円で踏みとどまっているものも少なくない。8タイトルに1タイトルの割合で1万円を超えている計算だ。