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スリリングな我慢比べ『カバンガ!』日本語版、4月3日発売

Cabangajメビウスゲームズは4月3日、『カバンガ!(Cabanga!)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:M.モードラー、イラスト:クレアティフブンカー、3~6人用、8歳以上、20分、1800円(税込)。

カードをできるだけ引き取らないようにして手札をなくすカードゲーム。ドイツ人デザイナーの作品で、アミーゴ社から2023年に発売された。

手番には手札から1枚を、同じ色の列札の上にプレイする。このとき他プレイヤーは、同じ色で2枚の間の数字のカードがあったら「カバンガ!」と言って捨てることができ、その枚数だけ山札から引き取らなければならない。こうして誰かの手札がなくなったとき、残り手札が失点になる。誰かの失点が18点に達した時、失点の最も少ないプレイヤーが勝利。

2枚の間の数字が広いほど、他プレイヤーはカードを捨てやすくなり、手札が増えるリスクが高まる。しかし手札が少なくなるにつれて都合の良いカードがなくなっていく。先に出したほうが負けの我慢比べの中、勝負どころで思い切ったプレイができるかどうか試される。

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ボードゲームのデラックス化と「退廃」

シュピールボックス2024年1号のコラム「退廃への傾向(Tendenz zu Dekadenz)」で、F.ツィーエ氏が昨今のコンポーネントデラックス化に苦言を呈している。環境負荷が小さいはずのボードゲームで、ダブルレイヤーボード、オーバーレイ、メタルコイン、レーザーカットのインレイなどに熱狂するのは、ローマ帝国末期の退廃的状況であるという。

私は厚紙製のコインで遊ぶ「バニラ」バージョンでも楽しい。ボードゲームを遊びたい欲求は何によるのかといえば、コンポーネントのよさは私にとって優先度が低い。

「ローマ帝国末期の退廃的状況」とは、多くの映画や小説で描かれてきた古代ローマ人の堕落や衰亡になぞらえたものである。コラムではボードゲームの豪華コンポーネントを欲しがる気持ちを物質中心主義と捉えているようだ。

簡単に潰れる箱とプラスチックコマの国産ゲームを多く遊んできた日本人にとって、ドイツゲームの丈夫な箱と木製コマは、多少お値段が高くとも「大人の趣味」の象徴だった。ツィーエ氏のいう「バニラ」バージョンでも、十分に贅沢なものである。それでも丈夫な箱や木製コマには収納やプレイでそれなりの必然性があった。これがさらに豪華コンポーネントになると、逆に支障があるように思われる。

  • 価格が上がって購入しにくい
  • 重さや大きさのため準備が大変になる
  • 箱が大型化し、運びづらく、収納スペースを圧迫する
  • 立体フィギュアの奥が陰になって見えない

こういった理由から、大枚をはたいてデラックス版を購入したのに、実際はあまり稼働しないというもったいないケースが多いのではないだろうか。キックスターターでアドオンに反射的に全力投球してしまう前に、これで本当に遊ぶのか落ち着いて考えたいものである。

もちろんボードゲームの楽しみ方は人それぞれだが、お金をかけることだけがすべてではない。ツィーエ氏は『プラネットアンノウン』のトレイからタイルがはみ出さないよう、シャワーキャップをかぶせるという例を紹介し、「ライフハック」を見つけることを提案している。日本でも100円ショップの小皿やミニケースでコンポーネントを管理・収納したり、紙ペンゲームのシートにアクリル版を貼り付けて書いて消せるようにするなど、いろいろな工夫が紹介されている。創作ボードゲームデザイナーは、100円ショップを回って自作ゲームに使えそうなものを探す。このように、日常生活の中からボードゲームライフに役立つものを探すのも、楽しみのひとつといえるだろう。

記事中に通常版との比較写真が挙げられていた『ブルゴーニュの城』デラックス版